withマスク時代の肌荒れ対策!皮膚科医が教える正しいスキンケア

マスクを毎日つけていると、肌荒れしたり、ニキビができたりと、何かと肌トラブルが起こりがち。
とはいえ、マスク生活はまだまだ続きそう…。できれば早いうちに、withマスク時代の正しいスキンケアを知っておきたいもの。

今回は、マスクによる肌トラブルの原因と対策を皮膚科医の慶田朋子先生に教わります。

Q.マスクを毎日つける生活で肌荒れするのは、何が原因ですか?

「マスクによるこすれや刺激が原因で、肌が敏感になっている可能性がありますし、マスクの中が高温多湿になり、汗が長時間放置されて不衛生になっていることから、肌の表面を覆っている『常在菌』のバランスが崩れてしまっている可能性も。

肌にいる常在菌には、肌を健やかに保つことに役立つ『美肌菌』(『表皮ブドウ球菌』が代表格)、と、肌のトラブルの原因となる『悪玉菌』、また、『アクネ菌』のように、いい菌にも悪い菌にもなりえる『日和見菌(ひよりみきん)』があります。

これらの菌がバランスをとっていれば肌が健やかな状態を保つことができますが、マスク着用によってバランスを崩してしまうことも。これが肌トラブルを招くことも考えられます」

Q.これから秋に向け涼しくなると、マスク肌荒れはしにくくなりますか?

「夏から秋へと移り変わる時季には、夏の間に浴びてしまった紫外線によるダメージも蓄積されていますし、気温や湿度の変化から角層水分量も変化。夏バテ・秋バテで体力が落ちることによる新陳代謝の滞りも起きやすく、常在菌バランスを崩してマスク肌荒れにつながるリスクはあります」

Q.常在菌バランスが崩れると、どんなことが起こるのでしょうか?

「肌を守ってくれる『美肌菌』は、肌のうるおいを保つグリセリンや、肌を弱酸性に保ちながら黄色ブドウ球菌などの悪玉菌の繁殖を防ぐ脂肪酸や抗菌ペプチドを生成し、肌のバリア機能を保つ役割を持ちます。いわば、肌を有害物質からガードしたり、天然のうるおいクリームを作ったりしてくれているのです。
しかし、『美肌菌』が減少して『悪玉菌』が優勢になると、バリア機能低下による炎症で肌の赤みやかさつきなど、いわゆる敏感肌といわれるようなコンディションに。
そこへ、マスクの摩擦が刺激になり、ニキビやかゆみ、皮むけなどの肌荒れを引き起こすこともあります」

Q.美肌のために気を付けるべきマスクの選び方・使い方は?

「できるだけ刺激が少なくなめらかな、シルクや柔らかいガーゼ、シルキーな化学繊維などを使ったものを選びましょう。
また、可能な時にはマスクを外し、できれば日中1回は汗や汚れを水で洗い流して、保湿クリームや乳液を塗ることを習慣付けると、悪玉菌の増殖を防ぐことにつながります」

Q.常在菌バランスを整えて「美肌菌」を育成するケア方法を教えてください。

「美肌菌を育成するためには、美肌菌にとって居心地の良い環境を整えることが大事です。
スキンケアだけでなく、食生活、生活習慣などをトータルで見直してみましょう」

1.洗顔

「美肌菌育成のためには、洗顔で皮脂をしっかり落とすことが大事です。
酸化した皮脂が肌に残っていると、悪玉菌を増殖させてしまいます。

また皮脂が毛穴に詰まるとアクネ菌が過剰に増殖し、ニキビができる原因に。
アクネ菌は皮脂を好む性質で、自ら皮脂の分泌を促す作用も発揮してしまうので、アクネ菌が増殖することで皮脂がさらに増えてしまうという悪循環が起こるのです。

洗う際は、刺激を与えたり、ゴシゴシこすったりすると美肌菌がすむ角層を傷つけてしまうのでNG。低刺激設計の洗顔フォームをしっかり泡立てて、優しく洗います。
人肌程度のぬるま湯で洗い、15回はすすいでください」

2.スキンケア

「選ぶ化粧水や美容液は、美肌菌が育つ環境づくりに役立つ成分入りがよいでしょう。例えば酵母エキスなど、美肌菌のエサとなる成分が入ったものや、菌が効率よく育つための水分たっぷりの環境を作るための高い保湿効果をもたらすグリセリンやセラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分が入ったものを選ぶとよいでしょう。
肌トラブルが気になりがち、という方は、美肌菌育成をコンセプトにしたコスメの中でも敏感肌用のブランドをチョイスして。
美肌菌が少ないと敏感肌である傾向があるという研究結果もあります。日頃敏感肌だと自覚している人こそ、自分の肌自体の持つ美肌菌を育ててあげるケアにトライしてみてほしいです」

3.食事

「美肌菌が育つ環境づくりのための食事としておすすめなのが、腸内環境を整えてくれるヨーグルトや納豆などの発酵食品と腸内細菌のえさとなる野菜。腸内環境が整うと角層の水分量がアップし、美肌菌がすみやすい環境になると思います。
また、セラミドやコラーゲンといった、肌の水分貯蔵を助ける成分を食べることで角層の水分量が高まることがわかっています。美肌菌の増殖には”湿った環境”が大切で、肌の水分量を増やすことが美肌菌を育てることにつながります。

アクネ菌を増やさないための食生活というのも研究されています。
いわゆる“地中海式”といわれる食品の組み合わせ、例えばタンパク質豊富な魚、お肉、豆類、抗酸化物質であるビタミンA、C、Eやポリフェノール類を含むトマト、ナス、ズッキーニ、キウイなどをバランスよく食べることで、アクネ菌の過剰な増殖を抑制してくれるといわれています」

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Q.特に頑張りたいときのスペシャルケアはありますか?

「美肌菌ケアは自分が本来持つ肌の力を取り戻すための肌環境を整えることですから、日常のケアが重要です。
それを前提に、あえてスペシャルケアを挙げるとすれば、くすみケアにもおすすめのヨーグルトパックをしてみるのはどうでしょうか。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌が肌の新陳代謝を促進し、ターンオーバーの周期を整えます。また、ヨーグルトに含まれるサーモフィリス菌は、美肌菌の一種でもあります。
肌に合うかどうか試しに腕などにつけて数分放置してみて、問題なければ行ってください。軽くぬるま湯で洗顔した後、プレーンヨーグルト(無糖)肌全体に塗り、そのまま5~10分程度おきます。その後、ぬるま湯で優しく洗い流しましょう」

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マスク肌荒れを防ぐためには、自分の肌の持つ、肌本来の美肌菌パワーを助けてあげる努力が重要!マスクに負けずにキレイになれるよう、美肌菌を育てて、守ってあげましょう♪

お話をうかがったのは…皮膚科医 慶田朋子先生

東京女子医科大学医学部医学科卒業。同大にて皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、銀座ケイスキンクリニックを開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本レーザー医学会認定レーザー専門医。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング(R)」(メスを使わない若返り)を叶える美容皮膚科医として活動。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。