「仕事で失敗=悪い」は思い込み!失敗しても評価が上がる3つのコツ

仕事で失敗したとき、逆に評価を上げるコツ


仕事をする上で「メンタルのコントロール」が非常に重要…ということは頭ではわかっていても、社会が全体的に不安になっている今、それもなかなか難しいことですよね。

「できる限りポジティブに仕事に向き合うべき」ということがベストだと思っていても、新型コロナの影響でなんとなく落ち込んでしまったり、5月病を引きずって「6月病」のようになってしまっていたり…。

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そんなときに考えを変え、前向きに仕事を乗り切るコツは、どんなところにあるのでしょうか。
企業の人材育成や組織活性を研究し、支援する、リクルートマネジメントソリューションズの主任研究員・桑原正義さんにうかがいます。

 

Q.前向きに仕事を乗り切るためには、どうしたらいいでしょうか。


A.「ものの見方」を切り替えてみるのはどうでしょうか。

どんなことも、とらえ方が大事です。
たとえば「失敗」も「失敗したらどうしよう」と恐れるより「失敗したらそこから次に活かそう」と思えばいい。
こんなこともできないなんて自分はダメだと「マイナスの部分」に着眼するよりも、「こんなところはできている」とプラスの部分に着眼したほうがいい。
「周囲に迷惑はかけられない」と思い込んでいるよりも、実は「仕事を進めるためには周囲の協力をもらったほうがいい」ということもあります。
とはいえ、一気にそう考えるのは難しいと思うので、少しずつコツを解説していきます。

今回は「失敗」のとらえかたについてご紹介します。

Q.失敗したら周囲の目が気になります。


A.「失敗=絶対悪いこと」と思い込まないのがポイントです。

まず、失敗は悪いことではありません。
失敗が気になるという方は、おそらく「失敗するのは良くない」「失敗したらダメな人だと思われる」という、思い込みの不安があるように思います。
でも、どんなに優れた業績をあげている人でも、常に成功している人はいません。仕事に失敗はつきものです。失敗するのは、ダメではなく、当たり前なんです。
仕事上たくさんの「上司」側の方に会ってきましたが、ほとんどの上司は、部下に対して「失敗するのはしょうがない」「むしろ失敗はしたほうがいい」と言っています。
失敗そのものはむしろしたほうがいい。悪くない。「そこからどう挽回していくのか」を見ています。

「失敗をしないこと」よりも「失敗したときにどうするか」に目を向けてみましょう。
以前、上司や育成担当者に「忙しいときでも、力になってあげようと思えるのはどんな人?」と聞いたところ、最も多かった回答はこのふたつです。

・人からの指摘やアドバイスを素直に受け止め、次に活かそうとしている人
・任された仕事を、何とか最後までやりきろうと努力している人

失敗は避けられませんが、自分なりの努力はしていたのか、そして失敗を次に活かそうとしているのか。周囲はこのふたつを見ています。

 

Q.失敗したらどのようなことをしたらいいのでしょうか?


A.しっかりと次に活かせるアクションをしてみましょう。

具体的には、以下の3つをおすすめします。

【1】自分を振り返る

失敗の原因は環境や他の人など、さまざまなものがあります。ですが、周りのこれが悪かったと愚痴を言うのではなく「自分の中でもっとこうしたらよかったのではないか」と思うことを振り返ってみてください。

【2】アドバイスは言い返さず、一度受け止める

失敗について、周囲から注意されたりアドバイスをもらった場合、つい感情的になり言い返したくなることがあるかもしれません。でも、一度言い返さず、受け止めてみてください。いったん持ち帰って時間をおいて、冷静になってから、改めて言われたことについて思い当たるところがないか、自分でできたことはないか振り返ってみてください。

【3】気づきや学びを言語化する

その失敗から気づいたことや学んだことを言語化し、次に活かしましょう。
もし失敗したことによって迷惑や影響を与えてしまってしまったと思う上司や先輩社員がいるならば、その振り返りを伝えてみてください。特に話しやすい人がいるならば「こう振り返りましたが、何かアドバイスがあればお願いします」まで言うことができれば、さらに次に向けて効果的な方法が見つかる可能性が高まりますし、その人たちも安心できます。さらに信頼も上がります。

「失敗は成功のもと」という格言があります。
私自身も「失敗は自分で動いた証(=何もしなければ失敗しない)」「失敗しても次に活かせば大丈夫」と解釈して、日々仕事をしています。

 

Q.とはいっても、失敗すると上司が怒ります。どうしたらいいでしょうか。


A.上司はなぜ怒っているのか人によって違います。対処法を知りましょう。

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実は、そういう「怒る」人こそ、まさに「失敗したあとにがんばれば、逆に信頼が上がる」ことが多いものです。怒るというのは「期待の裏返し」だからです。成長の期待や、「自分もそう怒られて育ってきた」などの愛情が含まれていることがあります。期待されていなければ、何をしても、何も言われません。

【1】その上司の対処法を知る

まず、「なんでこんなに怒っているかがわからない」ときは怖いですよね。でも、その上司がどんなときに怒るか原因がわかってさえいれば、対処のしようがあります
人によって、さまざまな期待があります。同じ「お前何やってるんだよ」という言葉にも、「もっと早く言って来い」「もっと自分で考えろ」など、人によって裏にはまったく違う期待が込められています

その「何を期待しているか」がわかれば「この人は早いうちに確認がほしいんだ」「まずはクオリティよりスピード重視だ」など、対応できるようになります。

同じ部署の先輩に「こう怒られたんですけど、正直どのポイントで怒られたのかいまいち掴めなくて」と打ち明けてみると「あの人はスピード重視なんだよ」「言葉づかいにうるさいからきちんと敬語を学んだほうがいいかもしれない」など、上司の対策法を学べることもあります。そこに対して頑張ろうとした姿勢が見えるだけでも、上司からのあなたへの見方は変わると思います。

【2】怖いなら、無理しなくていい

怒られることは怖いものです。どうしても合わない上司だったり、逃げたくなるときは、無理をしなくていいです。
攻略方法のひとつとして、まずは素直に「申し訳ありません」と謝ります。
そして、相談しやすい周囲に協力してもらいながら、少しずつ力をつけていきましょう。そうすれば徐々に怒られる回数も減っていきます。「絶対にこの上司に頼らなければいけない」ではなく「頼れる人から頼る」でいいんです。

【3】「上司を避けている」を感じさせない保留の技術

ただし「成長を諦めていること」や「その上司を避けていること」は、上司にはなんとなく伝わってしまいます

そこで大事なのが「保留の技術」です。価値観も多様で、正解がないことも多い現代は、なにごとも白黒つかないことが多いです。「さまざまなことは、時間がかかる」ととらえて、しばらく保留する。今上司が言っている理解できないことも、状況が変わったり、時間が経てば理解できる可能性もあります。だから今は「理解できないけど受け入れる」でも「逃げる・諦める」でもなく「保留する」を選ぶ。

苦手な上司との関係は時間がかかるものだ、と思っていればOKです。それを最初から「苦手だな」と距離を置いてしまうと、そこでおしまいです。
そんなに積極的に関わる必要はありません。ただ、挨拶だけは絶対にキープしてください。「おはようございます」でも「お疲れ様です」でも、挨拶だけはすることで「業務の相談には来ないけど、避けてるわけじゃないんだな」ということが上司には伝わります。

 

上司とうまくやっていく原理原則は「上司の期待を知ること」です。
スピード重視で早めに聞いてほしいのか、とにかくできるところまでやってから来てほしいのか。人によってまったく異なります。大事なことは、よく知らないうちから「きっとこうだろう」と決めつけてしまわないこと。本当は仕事ができる人でも、思い込んでしまうとうまくいかないことが多いです。相手のことを理解して、そこに沿うよう行動する。
これは上司に限らず、すべてのビジネスに通じる、コミュニケーションの原理原則です。

▼お話をうかがったのは…
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 主任研究員 桑原正義さん
1992年4月、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業、商品開発、営業企画、コンサルタント職を経て2015年より現職。
新人・若手が育つ職場づくりを専門テーマとした10年以上にわたるコンサルティング経験の中で、今の時代で実効性のある育成ノウハウを構築。現在は研究・開発の立場でさらに研究を深めつつ、ノウハウの体系化・汎用化に取り組んでいる。
取材協力/リクルートマネジメントソリューションズ
構成/後藤香織

 

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