数百円から100万円以上まで…安いワインと高いワインって何が違うの?ワインのプロに聞いてみた

安いワインと高いワインって何が違うの?ワインのプロに聞いてみた


ワインとは不思議な飲み物です。
1本数百円でコンビニやスーパーで買えるものから、100万円を超えるような超高級品もある。
でも、たとえばテレビの格付け番組を見ていても、意外とそこまで高すぎない数千円のほうが美味しく感じる人もいたりして…。では、ワインの値段はいったい何で決まるのでしょうか?

(c)Shutterstock.com

ワイン専門商社が運営する、ワインECサイト「Firadis WINE CLUB」の店長を務める、五十嵐祐介さんにうかがいました。

 

Q.高いワインって、なんで高いんですか?


A.ブドウの生産量が少ないワインは、値段が上がる傾向にあります

一概にこうとは言えず、いろいろな要素がありますが「1ヘクタールあたりのブドウ畑から、どれだけのブドウを収穫するか」は、かなり値段に関わる大事な要素です。

ブドウ畑に多くの木を植えてたくさん収穫すると、もちろんそのぶんたくさん作れるため安くなります。ただ、ひとつひとつの味わいが弱くなり、あまり深い味わいのものを作るのは難しいですが、作って比較的すぐに出荷できます。

逆に、それと同じ大きさの畑に、できるだけ少ない本数のブドウの木を植えてひとつひとつ丁寧に育てると、収穫量は少なくなり、1房のブドウに味わいがぎゅっと詰まり、価値が高くなって値段が上がります。

ただ、こういったワインは非常に味わいが濃いぶん、味がこなれて飲みやすくなるまで時間がかかります。たとえば赤ワイン用のブドウで収穫量をおさえて栽培されたものは、皮が分厚くなって、すごく甘く力強い味の果実ができるものの、渋みもかなりあります。そういったブドウで作ったワインは、できたてだとまだ味が落ち着いていなくて、渋みが強すぎてとても飲めないため、何年も樽に入れて熟成させます。つまり、作ってからなかなか現金にできないので、そこでまた値段が上がります。

そこに、人気があるけれど年間何百本しか作れない、などの争奪戦要素が加わってくると、さらに値段がつり上がることもあります。

(c)Shutterstock.com

 

Q.やっぱり、値段が高いワインほど美味しいんですか?


A.実はそうとも限りません。

高いワインも安いワインも、それぞれの美味しさと、飲み頃のタイミングがあります。

カジュアルなワインは味わいが軽いぶん、飲みやすくなるまでも時間がかかりません。その年に収穫したブドウで作るボジョレー・ヌーヴォーなどはその代表格ですね。

(c)Shutterstock.com

逆に、高価格のボルドーワインだと「1番美味しくなるのが30年後」という、長期熟成型のものもあります。

作り手は、だいたいいつ頃が飲み頃かになるかを考えてワインを作っています。たとえば「このワインは20年後が飲み頃だ」と想定して作られた1万円のワインを1年めに開けてしまうと、その瞬間は作ってすぐに飲み頃になる500円のワインと比較すると「カジュアルな500円のワインのほうが美味しい」ということがあります。

高いワインは高いワインなりに「いつが飲み頃か」をきちんと知った上で飲まないと、そのワインの本当の実力を知らずに飲んでしまうことがあるので、非常にもったいないです。

わかりやすい例だと、通称ドンペリと呼ばれるドン・ペリニヨンという有名なシャンパーニュがあります。誰もが名前を聞いたことがある有名な高級シャンパーニュで美味しいですが「ドンペリを飲んでみたけど、別に普通のシャンパンでたいしたことなかった」という声を聞くことがあります。

でも、実はドンペリは長期熟成することで美味しくなるシャンパンのひとつで、ものにもよりますが、良さが出てくるのは20年後というものも。だから「たいしたことなかった」という人は、ドンペリの本当の実力を知らずに飲んでしまい、もったいないことをしている可能性があります。

もちろん「どんなワインも熟成したら美味しい」というわけではなく「買ってすぐ飲んだほうが美味しいワイン」もあります。そういったワインを20年寝かせたところで、まったくおいしくないくたびれたワインになってしまいます。

だから、もしワイン専門店で相談して買う場合は「今飲み頃のワインが欲しい」「10年くらいは寝かせてもいい」など、ひとことお店の人にお伝えするといいと思います。

 

▼INFORMATION
Firadis WINE CLUB https://firadis.net/
デイリーに楽しめる3000円以下の厳選人気ワイン・本格派シャンパーニュの専門店・特別な日に飲みたい高品質ワインの3つのECサイト。
好きな食材や合う料理、価格帯などからワインを検索可能。
取材協力/株式会社フィラディス
構成/後藤香織

 

★父の日ギフトにも家飲みにも♡ワインのプロに聞いた、本当に美味しくてコスパが良いワインの選び方

★余った!「飲みきれないワイン」ってどう保存すべき?残ったワインの正しい保管法

>CanCam.jp TOPにもどる