スタイリスト亀恭子にとって、モデル蛯原友里の魅力とは?

スタイリスト、亀恭子さんのスタイリング技術のすべてが詰まったファッションブック、『TOKYO NEW STANDARD』発売記念インタビューの2回目です。

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Woman Insight編集部(以下、WI) 個人的にお聞きしたいことがあるのですが、本の中に、初代アシスタントの柴山美香さんに「本当に強くなった」と言われたという話が載っていましたが、何かそう言われるエピソードってあったのですか?

亀恭子さん(以下、亀) 当時、25歳ぐらいかな。スタイリストという仕事に自信がなかったし、自分の言いたいこともちゃんと伝えられないというのもあったけど、元々の性格もあって、自分と違う意見を言われても、「わかりました、そっちでやります」という感じだったんです。自分の思っていることも言えなくて。でも、スタイリストだからというわけではなく、社会人として自分の意見を持って、相手とディスカッションできるようにならないとダメなんだというのを、強い人たちとぶつかりながら学び、葛藤しました。その変化の過程を見てきたアシスタントさんだったので、「本当に強くなりましたね」って言われるんです(笑)。

WI スタイリストという仕事は、毎シーズンごとにアップデートされる膨大な数のブランドのアイテムを把握した上で、企画に合わせたコーディネートを考えなければいけないので、足だけでなく、かなり頭も使うお仕事ですよね。いつもどのようにコーディネートを考えていらっしゃるのですか?

 普通の買い物であれば着たい服のイメージが決まっているので、ふらっとお店に入っても持っている服と合わせやすいアイテムを選んだりすることが多いですけど、仕事のときは、「このパンツとあのニットを組み合わせよう」という感じにあまり決め込まないタイプですね。企画のテーマに合ったブランドをいくつかピックアップして、そのブランドのプレスルームを回りながら、ひとつのアイテムに対して、頭の中でいくつか可能なコーディネートを考えます。「さっきのパンツだったら、このニットでもこっちのジャケットでも似合うかも」とか。それで借りてきたアイテムを、コーディネートルームで組み合わせます。

スタイリスト亀恭子にとって、モデル蛯原友里の魅力とは?

WI 頭の中で、洋服を借りながら、何パターンかのコーディネートのイメージをされるんですね。写真を撮ったり、細かくメモをとって回るのかと思っていました。

 私は違いますが、そういう方もいらっしゃると思います。以前、クリエイターの箭内道彦さんの本に「アイディアはメモしない」という言葉を見つけ、感銘を受けたことがあります。箭内さんは頭の中で思い浮かんだことをメモしないそうなんです。アイディアをメモした時点で、それ以上のものにならないから、と。あまりガッチリ決め込んでしまうと、身動き取れなくなってしまうので、現場で見たこと、知ったこと、話し合ったことを吸収して自由に表現することを大事にしたいですね。

WI 『TOKYO NEW STANDARD』では、様々な表情の蛯原友里さんが登場されていて、どれもとても印象的ですが、蛯原友里さんとの撮影で想い出に残っていることはありますか?

 いつも楽しく撮影しているので、特にひとつというのはないのですが、この写真とかすごく絶妙ですよね(下の写真参照)。服って、人が着てはじめて命が宿って、より表情が出てくるもので、そういう意味で友里ちゃんにはとてもお世話になっています(笑)。洋服の雰囲気を毎回上手に表現してくれるんです。ファッションの魅力は、服そのものだけでは良さは伝わらなくて、ヘアメイク、そして着た人の内面的なものがプラスされて生きてくると思っています。だから、表現者としての友里ちゃんに、毎回とってもとっても脱帽してます。

スタイリスト亀恭子にとって、モデル蛯原友里の魅力とは?

WI では最後に、亀さんにとって「最高に幸せ!」という瞬間は?

 自分の買い物をしてるとき、かな。素直に自分が欲しいもの、自分が好きなものを、スタイリストという仕事を抜きにして、ひとりの普通の女性としてお店のスタッフの方と情報交換しながら、使命感なく自由にファッションを楽しんでる瞬間が好きですね。

 

亀恭子さんをよく知るAneCan編集部のスタッフいわく、「一般の人が使う定番のアイテムを、どうすればおしゃれな着こなしに変えられるか? を常に模索している人。定番アイテムを格上げするスタイリングに長けている」のだそう。デニムやジャケットなど、誰もが着るシンプルなアイテムが、あっという間に今っぽく仕上がる。しかも、着る人を選ぶような難しい組み合わせでもない。そこが亀流スタイルのすごいところ。

スタンダードに“+α”するそのテクニックがたっぷり詰まった、ファッションブック『TOKYO NEW STANDARD』。ベーシックなアイテムをおしゃれに着こなしたいけど、何かが足りない……というお悩みの方は、この一冊の中に、必ずそのヒントが見つかるはず!(さとうのりこ)

TOKYO NEW STANDARD表紙

『TOKYO NEW STANDARD』亀恭子/著(小学館/1,200円+税)

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