「ファンデーション=肌に悪い」ってウソ?ホント?実験結果と歴史から見えてきた、ある事実

「ファンデーション=肌に悪い」ってウソ?ホント?


皆さんは「ファンデーション=肌に悪い」というイメージを持っていませんか? 実は私もファンデーションに悪いイメージを持っていたひとり。

普段はミネラル成分入りのBBクリームを使用し、デートなどの特別な日だけ、ファンデーションを塗って気合いを入れるという使い方をしていました。

実際、資生堂が調査したところ、私と同じように7割の女性がファンデーションに対して「肌に悪い」という印象を抱いていることが発覚。

ファンデーションは肌に悪い?グラフ

肌に悪いと考える理由としては、「毛穴がつまりそう」(66.2%)、「肌呼吸しづらくなりそう」(52.7%)という回答が多く集まりました。※1

※1:肌呼吸とは、水分蒸散をしていること

 

最新技術を取り入れながらどんどん進化を続けている化粧品事情。実際は「ファンデーションが肌に悪いというのは、誤解で、不思議な都市伝説」なのだそうです。

ファンデーション

そこで今回は、ファンデーションが肌に悪くないという調査結果と、そもそも肌に悪いと思われてきてしまった歴史を確認してみましょう!

 

 

ファンデーションは毛穴を埋めるというのは誤解!


さっそく資生堂が行った皮脂分泌実験の結果を見ていきましょう。ファンデーション無塗布の肌と塗布した肌で、1時間後の皮脂の分泌を観察しました。テストでは男性の鼻部位にテスト用のリキッドファンデーション※2 を塗布し経時での状態を観察しました。

※2:資生堂のファンデーションを使用。皮脂による崩れの予防の対応をしています。

皮脂

上の写真の結果通り、ファンデーションを塗布しても毛穴から皮脂が出てきているのが分かります。このことから、ファンデーションは毛穴を埋めることはないと分かりますね。

ファンデーションは肌呼吸を止めるというのは誤解!


続けて、植物を用いた通気性実験の結果を見てみましょう。以下の条件のベビーリーフの種を暗室で水を与え3日後の発芽状態を観察しました。

A:無塗布(種そのまま)
B:種にパウダーファンデーション塗布
C:種にリキッドファンデーションを塗布
D:種に透明ラッカー塗布(種に覆う事で空気を遮断)

ファンデ発芽実験

写真の結果を見てみると、ファンデーションを塗布した種も正常に発芽していることが分かります。このことから、ファンデーションは空気を通していることが実証されました!

ファンデーションは本当に肌呼吸を止めていない!


さらにファンデーションは肌呼吸を止めていないことを確認する実験結果を見てみましょう。実施したのは水分蒸散実験です。

以下の条件で一定時間経過後の水蒸気の発生状況を観察しました。

A:ゴム手袋をしてビニール袋で密閉した手
B:ファンデーションを塗布してからビニール袋で密閉した手

ファンデーション

塗布して10分経過時点で、既にBのファンデーションを塗布したビニール袋は、肌から蒸発する水分で曇りました。この結果からファンデーションは水分蒸発を妨げないことが分かります。

なぜファンデーションは肌に悪いという都市伝説が広がったの?


さて、ファンデーションは肌に悪くないことが分かりましたが、それではなぜ、日本の女性の間でファンデーションは肌に悪いという都市伝説が広がったのでしょうか。

その謎について、化粧文化を長年研究している資生堂客員研究員の石田かおりさんは、以下のように答えています。

日本のファンデーション(白粉)の歴史は非常に古く、8世紀に成立した『日本書記』に、「持統天皇6年(692年)に、唐から来た僧の観成(かんぜい・かんじょう)によって日本で初めて鉛白粉(なまりおしろい)が作られ、女性であった持統天皇に献上したところ、大変喜ばれた」という記述があります。その当時、白粉に対するネガティブイメージは無く、肌を美しく演出するアイテムとして重宝されていました。また、白粉は非常に高価であったため、一部の身分の高い人々しか使えない貴重なものでした。

江戸時代になると、ファッションリーダーであった歌舞伎役者や遊女をまねた化粧が流行るなど、白粉が大衆に普及し、お化粧は成人の礼儀という考え方も浸透しました。明治維新で新しい社会制度になったことをきっかけに、白粉は全国的にすべての階級の女性に普及し始めました。そうした中、明治20年に歌舞伎役者・中村福助の足の震えが白粉による鉛中毒のためであったことが分かり、それをきっかけに「女学生白粉論争」が起きました。

明治時代の義務教育は小学校までで、平民のほとんどが小学校を卒業すれば成人でした。したがって、小学校卒業後に進学する女学校の生徒が、成人にも関わらず化粧をしないことは不作法者であると当時は考えられていたのです。一方で、良家の子女で優秀な女学生たちが白粉で鉛中毒になっては問題だということで意見が対立。女学生の白粉の是非をめぐる論争に発展しました。その後、無鉛白粉の開発が進み、明治37年には無鉛白粉が商品化されました。しかし、こうしたことが、現代におけるファンデーションのネガティブイメージに根強く影響しているのかもしれません。

(駒沢女子大学教授/資生堂客員研究員 石田かおり)

ファンデーションは肌に悪いという都市伝説が生まれた背景のひとつは、日本の白粉文化があったからなのですね。歴史、そして化学実験の結果から皆さんもファンデーションへの意識が変わったのではないでしょうか。

また、ファンデーションは、肌に悪いことはなく、むしろ塗ることによって紫外線や空気中のチリ・ほこり、乾燥などの肌トラブルの原因となる様々な外的環境から肌を守ってくれるそう。

これからは必要以上の心配をすることなくファンデーションを使えそう。ただし、もちろんクレンジングが雑では肌に良くないので、キレイに塗るのはもちろんキレイに落とすことをお忘れなく!(かすみ まりな)

情報提供元:株式会社資生堂

 

 

 

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