2016年、和樂編集長が注目するのは、美術、京都、そして…!?

WI 高木さんはずっと『和樂』編集部にいて、最近編集長に就任されましたが、『和樂』をこうしていきたい……という考えはありますか?

高木 この編集部は人もそんなに多くないので、誰が編集長だとかは関係なく、編集部全員で雑誌の方向性をみんなで話し合って決めていたので、編集長になったところで正直あまり変わりません(笑)。でも『和樂』の社会的使命は「日本文化・日本美術をもっと身近に親しみやすくする」ことに尽きるので、今後ももっとたくさんの方に、多様な文化を知っていただける雑誌を作っていきたいと思っています。

 

WI ちなみに、編集長という仕事はいろいろと忙しいと思いますが、仕事で疲れたとき、何かリフレッシュにしていることはありますか?

高木 『和樂』はスタッフの方々がたいへん素晴らしいので、最も忙しいと言われる校了や入稿もほぼノーストレスなので……かなり思い通りの雑誌を作れていることもあり、「疲れた……」ということがあまりないんですよね。あ、でも、冬になったらとにかくスキーをしていますね。

 

WI 昔からお好きなんですか?

高木 いや、4年前くらいに始めたんですよ、子どもと(笑)。まだ始めたばかりなので、本当に下手。大会に出てもダントツで最下位で、すごく恥ずかしいんですよ。でも、僕は今45歳なんですが、そのくらいの年で自分の苦手なものに挑戦するってなかなかないじゃないですか。それがね、かなりリフレッシュになりますよ。恥ずかしいことって年とるとなかなかできませんから。

 

WI そこで「あえて恥ずかしいこと」にチャレンジする、というのが素晴らしいですよね。

高木 編集に関しては20年もやっているのでそこそこテクニックを身につけていますし、「これできないなぁ」と思うことってないんです。でもスキーはまず自分が下手なことを自覚して、いろんな人に迷惑をかけたりするんですけど、その環境に身を置くのって、かえって気持ちがいいもんですよ。あとはできるだけ「アウェイな環境」に行くことにしています。できるだけ知らない人とお話するようにしたり……。

 

WI それは「そこから新しい発想を生み出そう!」という感じでしょうか?

高木 いや(笑)。僕は『和樂』に13年いて、そうするとそこそこ日本文化や日本美術のことを知っているから、鼻高々になって「これもこれも知ってる」ってなってしまいがちです。まったく違うジャンルの人とお話していると、そんな天狗になりかけている鼻をぽきっと折ってくれるんです。

 

WI 鼻を折られるって……なんとなく、イヤではないですか?

高木 いやいや、鼻を折ってくれる人って、すごく貴重ですよ。知らないことって世界にいっぱいあるんです。たとえばこの間は、電池自動車の、プラスからマイナスに電気を流す触媒を作っている会社の方とお酒を飲んだんです。でももちろん話を聞いていても、なんっにもわかりません(笑)。そうすると冗談交じりで「お前そんなことも知らないのかバカかよ」と言われたんですが、「あ、久しぶりにバカって言われた……!」と、ふふっとなりまして(笑)。折られに行くとリセットにもなりますしね。できればそこに新しい発想が生まれると……いいんですけどねえ(笑)。

 

お話をうかがっていると、それこそ自分がいかに無知か思い知らされるくらいにたくさんのことを知っている高木編集長。けれどそれに飽きたらず、「まだ自分はこれも知らない」と、あえて違う場に身を置きにいく……「無知の知」を実践する姿勢は、さすがの一言です。

2016年、年6回の『和樂』本誌発行、そして毎日更新されるwebマガジン……『和樂』編集部は、どんな素敵なものを私たちに紹介してくれるのでしょうか? 是非、どちらもチェックしてみてくださいね!(後藤香織)

 

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