初めて明かされる気仙沼時代と、アンジュルム気仙沼公演の裏話。【佐々木莉佳子×SCK GIRLS3代目リーダーまりかさん スペシャル対談(2)】

花王が特別協賛する「ネクストとうほくアクション」という、東北のみなさんとともに未来を考え、未来につながる活動を支援していく取り組みの一環。CanCam.jpではそのプロジェクトの中で、気仙沼(宮城)・釜石(岩手)・富岡(福島)の、東北3県の沿岸エリアで地元のために力を尽くし活躍する女性たちをピックアップし、ご紹介する全3回のプチ連載をお届け中。

気仙沼編で登場したのは、気仙沼市出身のCanCam専属モデルの佐々木莉佳子。そして、「まりか」こと鈴木麻莉夏さん。莉佳子がアイドル人生を始めた気仙沼のご当地アイドル「SCK GIRLS」時代にともに活動し、現在も気仙沼市役所の観光課で働きながら、SCK GIRLSの3代目リーダーを務めています。

それぞれグループに加入した2011年秋から、もはや13年以上の仲になるふたり。話をしていると、SCK GIRLS時代の思い出話、そして2024年5月に開催された莉佳子の凱旋公演・アンジュルム気仙沼公演の裏話など、レアな話が盛りだくさん♡

せっかくなので、番外編としてお届けします!

★気仙沼編の記事はコチラ

今振り返る、SCK GIRLS時代の思い出

―まりかさんから見て、SCK GIRLS時代の莉佳子はどんな存在だったんですか?

まりか 莉佳子は当時からダンスが得意だったので、最年少にしてセンターで、本当にすごかったです! さらに振り付けにもチャレンジしてくれていたよね。でも、莉佳子が踊れて元気いっぱいだったから、みんなできなくて(笑)。莉佳子の家にお邪魔して、みんなで自主練したこともあったよね。練習の日々も、全部いい思い出。

りかこ あった…! 3〜4人くらいでうちに来てくれた日ね。青春。

こちらはレッスン場での風景。レッスンでも全力で元気いっぱい(以下、当時の写真はすべてSCK GIRLS提供)

まりか そうそう。ダンスってよく「緩急」っていうけど、莉佳子は「急急」って感じの振り付けをするから(笑)。その元気の良さとダンスを教わりに。

りかこ あの頃の私の振り付けは、自分が踊れるか踊れないかで考えていて、「自分が踊れるならみんなもできるでしょ!」って感じだったもんね…。

まりか ダンス未経験のメンバーがたくさんいるのに、「振り付けできました」から「お披露目します」までのスパンが短かったから「集まれる人!」で結構自主練したよね。莉佳子は特に思い出に残っていることはある?

りかこ 私はね、ご当地アイドルNo.1決定戦に出たこと。ご当地アイドルがたくさんいた頃だったけど、私たちは大きな大会に出ることはほとんどなかったから、初めて出たときはみんなで同じところに向かって突っ走って、楽しかった。決勝を東京の原宿の会場でやったこと、今でも覚えてる。

まりか ね、私たちはマイペースに気仙沼で地元の方とお会いする活動が中心だったけど、あのときはすごかった。視聴者投票もいただきながら、あのご当地アイドル戦国時代に全国のベスト11に選抜してもらえたんだよね。他のアイドルさんと会う機会が当時は珍しかったから、新鮮だった…!

りかこ そこから他のご当地アイドルが集まるイベントにもいろいろ出たよね。それこそ、後でハロー!プロジェクトで一緒に活動する子にもたくさん会ったし…。かむ(※元アンジュルムの川村文乃さん)がいた「はちきんガールズ」はそれこそ超有名。くるみん(※BEYOOOOONDSの高瀬くるみさん)も最初はそこで出会って、その後もう一回ハロー!で出会って…人生って面白い!

まりか そうそう、そこから莉佳子がハロプロさんに憧れて「上京します」となったときは「これからのSCK、どうなるんだろう?」ってすごく不安だった。SCKはどんどんメンバーが増えながら活動していたけど、ずっと莉佳子がセンター。そんな中、莉佳子の卒業が決まって。

最年少にして、常にセンターを務めていた莉佳子

まりか 最初は「最近の莉佳子、なんか忙しそうだな」と思っていたら、「莉佳子が新しいチャレンジのため上京する、その準備が着々と進んでいる」話を聞いて…それを知ったとき、確か、一緒にライブができるのが、あと1日だけ。SCKは最初の頃は「ただただ歌って踊るのが楽しい!」から始まったけど、その頃はSCKの活動をやらせてもらっている環境や、応援してくださる方への感謝の気持ちをしっかりお話しするようになって、ちょっとずつステージが変わってきた頃。莉佳子がSCK最後のライブで歌った2曲めのバラードが、曲のテーマ自体が震災で亡くなった方への追悼で、お別れを悲しんだり、「でもまた会えるなら笑顔で会いたいよね」って歌詞で。みんなそこに莉佳子とのお別れを重ねて感情移入して、わんわん泣いて…。

2013年3月10日、莉佳子がSCK時代ラストステージとなったライブハウス・新宿MARZにて

りかこ あのときは本当に寂しかったな…。でも、人生って決断の連続。そこから上京して「これからどうなるんだろう!」という期待が大きくて、怖いもの知らずで何事にも飛び込んでいけるメンタルで「自分の夢を叶える、絶対負けない!」って熱い気持ちで気仙沼を出て小学6年生で上京したけど、やっぱり当時は「気仙沼に戻りたい、寂しい」と思うことがあった。東京という場所がまず怖かったし、レッスンもSCK時代より断然厳しい。小学生だったから「なんでこんなことで怒られなきゃいけないの?」と思うこともあったし(笑)、今思えば本当によく乗り越えられたなと。

まりか 上京前、新幹線で通っていた時期もあったよね。

りかこ そう、それが本当に大変だった! 土日に家族で過ごす時間を全部さよならしてレッスンに行くから、最初は「なんで東京に行かなきゃいけないの?」と思うときもあったし、集団生活は本当に大変だったけど…でも、続けていてよかったな、って思う結果がたくさんついてきて、今が掴めているから、後悔はない。良くも悪くも怖いもの知らずで、前進し続けられる性格で本当によかった。でも、その環境でいろんな人がいると学んできたから、人の気持ちを汲み取ってあげることもできるし、寄り添って抱きしめてあげることもできるようになったし。

まりか 莉佳子って、SCK時代は常に楽しんでいる印象だったけど、「これ大変だったな」って思うことはあるの? そもそも「大変だ」って概念はある?

りかこ SCK時代は…ない(笑)。小学生の頃の私が何を考えていたか鮮明に覚えていない部分もあるけど、やっぱり活動当初はSCK自体がいろいろ言われることもゼロではなかった。でも、それをバネにして頑張れたし、私はそういうのにくじける人じゃない。それに、みんな優しくて、私という存在をみんなが受け入れてくれて、のびのび生かしてくれた。今でも帰ってきたら、いつも安心感をくれて、あの頃の私を思い出させてくれるみんなが大好き。なかなか普段はすぐに本当の私を出せるとも限らないけど、やっぱりみんなは素の私を出してくれる、貴重な存在だよ。

まりか 莉佳子が思う「あの頃の私」ってどんな感じ?

りかこ 天真爛漫、自信家、目立ちたがり屋さん。…今もそうか(笑)。変わってるようで変わってないのかな。今を楽しんで後先考えず行動することは変わってないけれど、自分の中ではだいぶちゃんと考えられるように成長したかな、と思ってる。なんだろう、自分の中に大人と子どものスイッチがある感覚。昨日も宮城でお仕事があって、そっちは大人スイッチで頭フル回転だったけど、今日はね、子どもスイッチ(笑)。

どこからともなく猫じゃらしを発見してきて「えいっ」とまりかさんに攻撃するなど、いつものモデルでの大人の表情や、アンジュルムを引っ張った強気のお姉さんはどこへやら、気仙沼で暮らしていた頃の小学生モード全開でした

観光課の仕事で、気仙沼市の観光キャラクター「ホヤぼーや」のマネージャーを務め、イラストも得意なまりかさん。ホヤぼーやのイラストを砂浜にサラサラと描いていました

左:まりかさん、右:莉佳子作。莉佳子は「私が描いたホヤぼーや、性格悪そう…」と言っていましたが、どうですか?

ホヤぼーやを描いた後の木の枝で「ゾンビごっこ」を突然始め、やりきった後の1枚。いい笑顔です

りかこ 今のSCKのメンバーは、みんなまりかちゃんより年下?

まりか ステフィーが私の2歳上だけど、あとはいちばん歳が近くて10歳下の高校生。小中学生もいるよ。「みんなの担任の先生って何歳?」って聞いたら、24歳って言われて…先生さえ私より年下(笑)。でも、メンバーと一緒にじゃんけん列車して遊んでるよ。

りかこ ちょっと、かわいすぎるー!

まりか 普段はそんな感じだけど、取材の方が来ると「何しゃべったらいいかな」ってみんな恥ずかしがっておとなしくしていた感じ。そういえば莉佳子は、当時からカメラマンさんとかに果敢に話しかけにいってたよね(笑)。

りかこ 大人を怖いって思ったことが一度もなかったし、友達だと思ってた! 今もその感覚でしゃべりにいっちゃうかも。「怖そうだな」って思った人の笑顔を見るのが好き。その人の笑顔を引き出したら勝ちだな、みたいな(笑)。

今よりさらに怖いものなし時代。カメラを向けられても物怖じしません

気仙沼市民会館史上初があった。アンジュルム気仙沼公演の裏話

―おふたりはよく会うんですか?

まりか ずっとなんとなく会ってはいたけど、ちゃんとしっかり話したのは、この間のゴールデンウィーク、莉佳子がアンジュルムのコンサートで来たとき。久しぶりにごはんに行ったよね。長時間しゃべるのが久しぶりで緊張しちゃって、もうひとり別の子に仲介してもらって(笑)。

りかこ そうそう、隣に座ってたのに、全然見てくれなかった(笑)。なんでそんなに緊張してたの?

まりか 莉佳子が人生でいろんな場所でたくさんの人と会って、広い世界を見てきたことが、言葉の節々から感じられたからかな…。でも、蓋を開けたら、相変わらず天真爛漫、内面は面影8割で、変わらなかった。どこがいちばん変わったかって、身長だなって思うくらい(笑)。私が莉佳子のことおんぶしてたのに、今日はおんぶしてもらう側に…。

お姉さんメンバーたちによくおんぶしてもらっていたSCK時代の莉佳子

今では莉佳子のほうが大きくなりました

りかこ 私ちっちゃかったもんね。でも落ち着いたし、大人になったと思わない?

まりか なったよ! 5月に気仙沼市民会館でやったアンジュルムのライブのときに、パフォーマンス中に大人の表情をいっぱいしてくれて「かっこいい、すごい!」って思った。MCでは子どもが出てたけど(笑)。あの日は一生分泣いたんじゃないかってくらい泣いたよ。

りかこ それは何泣きなの?

まりか ずっとアンジュルムのライブに行きたいと思いながらなかなかタイミングが合わなくて、動画ではたくさん見ていたけど、生で見たことがなかったのに、まさか気仙沼で見られるなんて…。というのと、私たちは莉佳子のことを家族だと思っているけど、莉佳子はハロプロさんでお世話になった新しい家族の皆さんがいて、その新しい家族を「私たちのファミリーよ」と紹介してもらった気持ちになったからかな。莉佳子は私たちからすると末っ子だけど、アンジュの中ではすっかりお姉さんで、引っ張る側。そんな、今までの話を考えたら、大号泣。

りかこ 私もあの日は、「アンジュルムとして気仙沼に来ることは、最初で最後になるだろう」と、めっちゃ緊張して、魂を込めてステージに立ってた。最初は余裕がなくて、みんなのことが見えなかったくらい。でも、見なくてもそこにいてくれる存在はわかるから、いてくれて、本当に心強かった。「かっこいいところ見せよう、かまそう!」って。SHI-SHOW(※SCK GIRLSの現代表)も泣いたって言ってた。

まりか そうそう、SHI-SHOWは目を開いたまま泣いてたよ。

(この日取材に立ち会ってくださった「SHI-SHOW」ことSCK GIRLS代表・佐藤 健さん:「メンバーもいるので絶対泣かないつもりだったんですが、オープニングで莉佳子が登場した瞬間の立ち姿で、涙腺が崩壊しました。動画で活動を見ていて、立派に成長した姿を想像してはいたけど、それを遥かに超えるかっこよさで。アイドルとかそういう枠ではなく、人として美しすぎて、「やられた」と。これまでメンバーの前では泣いている姿を見せたことはなかったけど、泣きました。死ぬ瞬間、あのシーンが走馬灯で絶対流れるだろうなというくらい、衝撃でした」)

りかこ やばい! 超嬉しい!

まりか しかも、地元民からすると、市民会館は表彰式やコンクールで使う方が一般的だし、コンサートがあっても演歌の方だから、「あの市民会館にセットがある! 光ってる!」ってことにもまずびっくり。アンジュルムのコンサートは、歴代の気仙沼市民会館のいちばん豪華な使われ方だった可能性もある。市民会館の皆さんも張り切って「アンジュルムさんにこれは使わせられません!」と、メンバーの皆さんが使う裏の部分まで改修してたよ。

りかこ えっそうなの!? すごい…ありがとうございます。

(佐藤さん「ちなみに、舞台装置が持ち込まれた民間のコンサートは、気仙沼市民会館史上初だったみたいです」)

りかこ やっぱり! リハーサルのときにステージの上でスタッフの皆さんにご挨拶するときに「市民会館にセットがあるなんて信じられない、よく作ってくれたな…」と思って。しかも、会場によってステージに乗せられるセットの重量が決まっているそうなんだけど、実は気仙沼だけ他より重いセットが持ち込めない規定があって、スクリーンを他の会場より少し小さい特別仕様で手配してくださったみたいで。「これ、いつものとサイズ違いますよね?」と聞いたら、「そうだよ」と。ありがとうございます…という感じでした。

まりか もし莉佳子のお父さんが、最初のSCKのオーディションのときに「お願い!」って頼み込んでいなかったら、今頃どうなっていたんだろうね?

りかこ うちは家族みんな服飾の学校に通っていたから、自分もそうなっていたのかな…? いや、でも、元々ずっと目立ちたがり屋だったから(笑)、表に出る仕事をしたいと思って、きっといつかは今のルートに来ていたような気がする。

まりか 気仙沼の人たちは、莉佳子のことをスターって呼んでるよ。莉佳子が小さい頃から知っている人もたくさんいるから、「莉佳子ちゃん大きくなって! テレビでこの間見たよ〜」ってみんな言ってるよ。

りかこ でも、まだまだこれから! 私はまだ23歳で、地球規模で言えば赤ちゃん。これからいろんなことがなんでもできると思ってるから、もっといろんな活動を頑張っていけたらいいな!

▼ふたりの気仙沼への思いなど、対談前編はこちらをチェック♡

(莉佳子衣装)コート¥28,600(レイ ビームス 新宿<レイ ビームス>)、シャツ¥14,960(LILY BROWN ルミネエスト新宿店<リリー ブラウン>)、スカート¥9,680(フリークス ストア渋谷<フリークス ストア>)、靴¥36,300(ドクターマーチン・エアウエア ジャパン<ドクターマーチン>)、”mag.by c”の手袋¥8,800・”TUWAKRIM”のピアス[下]¥6,380(ROSE BUD ルミネエスト新宿店)、ベスト・ピアス[上/3つ]/スタイリスト私物
撮影/安川結子 スタイリスト/奥富思誉里 ヘア&メイク/室橋佑紀(ROI) モデル/佐々木莉佳子(CanCam専属) 構成/後藤香織