向田邦子、川端康成…おいしいものを知り尽くした作家が愛した「昭和のおやつ」5選

『和樂』6月号の大特集は、文士、文化人が愛した懐かしい! 「昭和の味」。

なかでも、おいしいものを知り尽くした作家たちが愛した「昭和のおやつ」には、昔ながらのオーソドックスな味の背景に、老舗の心意気や、その菓子にまつわる物語まで見えてきそうな感覚さえ覚えます。

向田邦子さん、中里恒子さん、獅子文六さん、沢村貞子さん、川端康成さん……と、5人の文化人たちと菓子のエピソードも添えて、ご紹介します。

 

向田邦子さんが愛した「菊家」の水羊羹

自らを“水羊羹評論家”と称した向田邦子さんが、毎年心待ちにしていたのは、東京・青山「菊家(きくや)」の水羊羹。上質な小豆の香りを生かした水羊羹は、店の奥の小さな工房で手づくりされています。毎年5月上~中旬の、桜の青葉が出る時期のみ店頭に並ぶのだそう。短期間だけの味だからこそ、美学をもって楽しめたのかもしれませんね。

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1個350円。美しい箱に入った進物用は、6個入り2,350円。きくや 東京都港区南青山5-13-2/03・3400・3856/9時30分~17時(土曜 ~15時)、日曜・祝日休

 

中里恒子さんが愛した「長門」の久寿もち

「日持ちのする菓子は飽きる」と綴った作家・中里恒子さんが愛したのは、日本橋の老舗「長門」の“久寿もち”。葛ではなく、わらび粉と砂糖で練り上げ、優しい甘みのわらび餅と甘さのないたっぷりのきな粉は、冷蔵庫で冷やすとおいしさも増すそう。包装紙には葵(あおい)の紋が。「長門」が代々徳川家の菓子司(かしつかさ)だった印です。

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12切れ890円。ながと 東京都中央区日本橋3-1-3/03・3271・8662/10時~18時 日曜・祝日休