2.5次元俳優が演じる独占欲が強い殺し屋
二階堂ふみさん、眞栄田郷敦さんで実写化し、話題となった漫画『プロミス・シンデレラ』の作家・橘オレコ先生による最新作『ホタルの嫁入り』(「マンガワン」連載中)。本作にて、ヒロインの相手役であり殺し屋・進平が、“愛が重すぎる”と話題になり、1巻は発売即緊急重版が決定するほど!2巻発売を記念しそんな人気キャラクター進平を、2.5次元俳優・橋本祥平さんが完全再現しました。
ミュージカル『薄桜鬼』や舞台『刀剣乱舞』といった和風の作品に数々出演し、自ら原案を手がけるほどマンガ好きでもある橋本さん。『ホタルの嫁入り』のおすすめポイントや、進平をイメージした和装での撮り下ろし写真もあわせてご紹介します♡
『ホタルの嫁入り』って?
時は明治時代。家名にも美貌にも恵まれるが、余命わずかと宣言されている伯爵令嬢・桐ヶ谷紗都子の夢は、家の利益になる結婚をすることだけだった。そんな中、突如謎の殺し屋に命を狙われた紗都子は、その場を生き延びるため、殺し屋の後藤進平に「私と結婚してください」と提案する。その場限りの嘘だったはずが、進平はとんでもなく愛が重い男で……。
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橋本祥平さんが和装で「死んだ目」に挑戦!
──舞台で和服は着慣れているかと思いますが、進平をイメージしたお着物はいかがでしたか?
こういう着流し(羽織を着ずに、着物に帯を結ぶだけのスタイルのこと)は久々に着たのですごくうれしかったですし、やっぱり和装の撮影は心躍るものがありますね。今回は殺し屋という役どころ的に、そのワクワク感はあまり表に出しすぎちゃいけないと思いつつ、楽しく撮影させていただきました。
──いろいろな表情、立ち姿を披露していただきましたが、進平らしさを出すのに意識したポイントは?
首の傾け具合と言いますか、進平くんのあまり気張っていない、脱力しているような佇まいが印象的だったので、立ち姿はこの雰囲気を意識しました。あとは目ですね。実は撮影前に作者の橘オレコ先生から「とにかく死んだ目をしてくだされば……」というアドバイスを担当編集者さん伝いでいただきまして。
──死んだ目はかなり難しいオーダーだったのではないでしょうか(笑)。
でも、僕自身もたまに死んだ目をしているときがあるんですよ。特に、朝から晩までずっと仕事をしている日とか、最後のほうになると1点をずっと見つめていることがあるらしくて(笑)。自分では気づいていないんですけど、周囲の人から「死んでるよ、目」って言われるんです。だから、あの感覚か!ってすぐに理解しました。
──髪型や着こなしの再現度も見事でした。
着付け師やヘアメイクの方、カメラマンの皆さんからどうすればカッコよくなるのかをいろいろと指示いただいたので、自分だけじゃなく全員で1つの作品を作り上げた感覚ですね。見た目以外は自分次第なので、いいプレッシャーの中で撮影させていただきました。
『ホタルの嫁入り』は考察していく楽しさがある
──ここからは『ホタルの嫁入り』の魅力をお伺いしていければと思いますが、その前に橋本さんのマンガ遍歴を教えてください。
初めて読んだマンガは『浦安鉄筋家族』です。出会いは、幼少期に親戚の家に家族みんなで遊びに行ったとき。僕は4人姉弟なんですけど、僕以外みんな女性なんですよ。しかも親戚の子供たちもみんな女性。その中にポツンと男の僕がいて、遊ぶにしても馴染めないなあと思っていたら、親戚の家にあった『浦安鉄筋家族』を見つけたんです。読んでみたら、もう声に出して笑っちゃうくらい面白くって。初めて読んだマンガにして、マンガに目覚めた瞬間です(笑)。そのあとは、王道の少年誌に行きましたね。
──そんな橋本さんが『ホタルの嫁入り』を読んでみて、どんな感想を抱きましたか?
ジャンルとしては少女マンガになると思いますが、刀で人を斬るシーンとか意外と残酷な面もあって、なんだか想像していた少女マンガと違う!と驚きました。戦闘シーンがあるから、少年誌を通ってきた僕でもすごく読みやすいというか。紗都子さんと進平くんの恋愛模様はもちろんですが、そもそも誰が紗都子さんの誘拐事件を仕向けたのかというサスペンス要素も入っているので、考察していく楽しさがあるマンガだと思いました。
──恋愛にアクションにサスペンス、どのジャンルのマンガ好きも楽しめそうですね。
しかも、とにかく絵がきれい。って、絵心がない僕に言われても……って感じかもしれませんが(笑)。絵のきれいさは、読者を作品に没入させる1つの武器なのかなと思います。
──絵のきれいさで、特に心を奪われたシーンは?
進平くんと紗都子さんが2人で蛍を見るシーンです。特に2巻に登場する、進平くんが紗都子さんの部屋に蛍を放つところが大好きです。あと忘れられないのが、2人が初めてくちづけをするシーン。進平くんに斬られた人たちが周りにたくさん倒れている中、血溜まりに2人の姿が反射してるんです。状況としては残酷ですけど、とても素敵な表現ですし、美しいなあと。こんなふうに、隅々まで見入ってしまうくらいの魅力がありますよね。
──橋本さんは、進平をどのようなキャラクターと捉えましたか?
進平くんは、最初はなんだか“ヤバい人”という印象が強いですが、読み進めていくと意外とかわいいところもある。このギャップがすごく楽しいキャラクターだなと思いました。例えば、冒頭で牢獄に閉じ込められた紗都子を悪党から助けるシーン。高い建物から飛び降りて逃げるんですが、このときのポヤーンとした表情とかすごく好きです。こんな表情もするんだ!って(笑)。あとは、とにかく愛が重い! 進平くんを見ていると、愛と狂気って紙一重なのかもしれないと考えさせられます。
橋本さんが「愛するもの」とは?
──進平の愛が重いとおっしゃっていましたが、橋本さんはご自身の愛を表現するとしたらどんなタイプだと思いますか?
ハマったらとことん追求するタイプだけど、長くは続かない……。例えば、食べ物で一度美味しい!と思ったらしばらくそればかり食べてしまうものの、割とすぐに飽きがきてしまうと言いますか。
──愛し尽くしたら次へ行く……もしも恋愛マンガのキャラクターだったら少し怖いですね(笑)。でもある意味、愛がいっぱいあるということかもしれない。
そういうことにしておきます(笑)。
──そんな橋本さんが直近で一番愛したものを教えてください。
サーティワンアイスクリームのマスクメロン味です。僕の家族はみんなサーティワンが大好きで、家族の誰かがお出かけをした際はよくお土産に買ってきてくれるんですよ。家には常にサーティワンのチラシが置いてあって、「明日行くよー」って言われたら、各々自分の好きなフレーバーに丸をつけておく。でも僕の場合は一度食べたらしばらくずっと同じフレーバーを好むと家族はわかっているから、もう勝手にマスクメロンに丸がついてます。その前は、ベビースターラーメンにハマっていて、白ご飯にふりかけのようにかけるほど好んで食べていました。まあ、そのブームは2週間で終わったんですが(笑)。
──やはり、愛し尽くして飽きてしまったんですね(笑)。橋本さんは舞台で剣術を披露されることもありますが、進平の太刀筋についてはどんな印象を受けましたか?
進平くんが紗都子さんを助けるシーンで描かれている、この1刀目の太刀筋。足を大きく開いて斬るというスタイルはすごく好きです。着流しの場合、あえて脚を見せないようにして斬るという型もありますが、僕も「薄桜鬼」で斎藤一を演じたときは足をガッツリ開いて斬っていたので。それに進平くんは、乱暴に見えて意外と太刀筋に繊細な表情があるんですよね。例えば、この刀を細かく返すような剣術とか。動と静が混じっている印象です。
──目のつけどころがさすがです。やはり着物でのお芝居って、裾捌きまで気を使わなくてはならないので大変そうですね。
そうですね。だから少しでも着慣れるために、家での普段着を着流しにしようと意気込んだことがありまして。でも縁側がある家とかだったら雰囲気も出そうですけど、自分の家だとしっくりこないし3日と続かないだろうなと思ってやめたんです(笑)。「薄桜鬼」をやってたときは舞台上でも楽屋でもずっと着流しだったんですが、いつの間にか楽屋では上下ジャージに戻ってしまって。それでも、長い時間まとっていると立ち回りや剣の捌き方が自然と身になっているというか、いつの間にか癖づいてると感じる瞬間がありますね。
──いつかもし『ホタルの嫁入り』が舞台化されて、橋本さんが進平役に選ばれたらどんなふうに演じたいですか?
やっぱり進平くんの二面性はしっかりと表現したいです。進平くん自身は本心で言っているのかもしれないけれど、傍からみたら腹の底が見えない……そう思われがちなキャラクターだと感じたので、この“腹の底が見えない”感を大切にして演じたいと思います。
──これまでに、腹の底が見えない雰囲気の人物を演じたことはありますか?
どちらかといえば、思っていることを素直に出すタイプの役が多いですね。反対に、表に出すのが下手なタイプの役を演じたこともありますが、観る人によっては腹の底が見えないキャラクターに感じられたかもしれないですね。
──橋本さんご自身はどんなタイプですか?
僕は表に出せないタイプですね。この一言を発したら相手を傷つけてしまうんじゃないだろうか、とかすごく考えちゃうんですよ。言ったら言ったで、その後に後悔して長いこと引きずってしまう。もちろん言うべきことは言いますが、基本的には自分が思っていることはあまり表に出さないですね。
──最後に、CanCam.jpの読者に『ホタルの嫁入り』をオススメするとしたら?
紗都子さんと進平くんの2人を通して、恋愛だけではなく、生と死など人の内側について深く考えさせられるマンガです。特に、進平くんの派手な戦闘シーンは少年誌を通ってきた自分が読んでも手に汗握るほどの迫力がありますし、サスペンス要素もあるので考察する楽しさもあります。一度読んだらどんどん没頭していくマンガなので、ぜひこの機会に読んでみてほしいです。
1993年生まれ、神奈川県出身。2013年に「陽炎ペイン」で舞台デビューし、2016年の歌劇「明治東亰恋伽~朧月の黒き猫~」で初主演を務めた。近年の代表作には「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼︎』」西谷夕役、「舞台『刀剣乱舞』」太鼓鐘貞宗役、「あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ」月永レオ役、舞台「KING OF PRISM」一条シン役、ミュージカル「封神演義-目覚めの刻-」太公望役、「機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-」刹那・F・セイエイ役、「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇」斎藤一役、舞台「幽☆遊☆白書」飛影役などがある。12月から2024年1月にかけて、九井一役で出演する舞台「『東京リベンジャーズ』-聖夜決戦編-」の公演を控えている。
橋本祥平さん 公式サイト
https://hashimoto-shohei.com/
橋本祥平さんX(@hashimotoshohey)
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