男女の愛を“逆行する時間軸”で描いた「ラスト5イヤーズ」リチャード監督インタビュー

キャスティングとして、ジェイミー役を選ぶのに苦労をされたようですが、アナ・ケンドリックさんとジェレミー・ジョーダンさんの役者としての魅力と普段はどんな人柄なのか、特別なエピソードがあれば教えてください。

リチャード監督 具体的なエピソードといわれるとちょっと難しいのですが、とにかく言えることは、撮影自体が非常にクリエイティブな雰囲気のなかでできたということ、みんながとても仲良く、温かい雰囲気だったということです。

かなり低予算で撮影した映画で、しかもハリウッドが絡んでこないところでやっていたので、キャストもスタッフもみんなが「一緒にやってるんだ!」という“仲間意識”がとても強かったね。

これはアナが言ってたことなんだけど、例えば、最初にキャシーが失恋してるところからはじまるけど、あの最初の歌を歌っているとき、カメラマンたちも全員イヤホンモニターをつけて、歌を聴きながら撮っているんですよ。歌に感情移入しながら撮っていたんです。「それがとても効果的だったと私は思ったわ」と。

そして、ジェレミーは結婚しているんだけど、とても真面目で、撮影が終われば週末は奥さんの元へ帰るし、実は、奥さんもカメオ出演しているんです。出版社にいた秘書役は、彼の奥さんなんですよ。とても真面目なステディな関係なんだって。

一方、アナと私とスタッフは撮影が終わると飲みに行ったり音楽を聴いたりして(笑)、4週間だけっていう非常に凝縮された期間の撮影だったので、みんなで和気あいあいやりながら撮影を進めていきました。

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キャリアップを目指す女性が観たら、共感を得られる部分もありつつ、どこか現実を突きつけられているような気持ちにもなる映画ですが、夢を抱いてそれに向かって努力している女性へメッセージをお願いします。

リチャード監督 人って、「生きていくうえで自分に何ができるか」、「自分の可能性はどこにあるのか」っていうことを探し求める、そのために生きているんだと思うんですね。

ただ、時としてそれは、誰かとの付き合いでの問題だったり、自分自身の問題だったり……、またはその両方に原因がある状態だったりすると思うんですが、結局、“よい恋愛”っていうのは、自分自身を押し殺してしまっては、絶対に成就しないものだと思っているんですよね。

やっぱり人それぞれ個性があるので、それを大事にすること、自分自身を大事にすることですよね。自分自身を犠牲にしてしまってはやはり最終的には上手くいかなくなる。だから、“真の自分であるべき”、ということです。

「真の自分である=孤独になってしまうかも」とか、「男に愛されないかも」とか、そういうことでは決してなくて、真の自分であることは、より自分にぴったりな男性を惹きつけることになるんだよ!

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“真の自分”でいることが、よい恋愛・よい結婚へとつながる……。リチャード監督からの言葉は、とてもシンプルなものでした。でも、思い返してみると、年齢を重ねるたびに、いろんなものを身にまとって、虚勢を張って生きていたんだなぁと、自分の身に置き換えて深く実感。

男女が出会って恋をして、結婚をして一生を添い遂げる……ふたりで歩む人生がどんなに平凡な毎日だったとしても、それはこの上ない奇跡で成り立っているのではないか……そう思わせてくれる映画。仕事も恋も手に入れたいのに、なかなかうまくいかない……と悩めるアラサー独女のみなさんに、特におすすめしたい映画です。(さとうのりこ)

『ラスト5イヤーズ』
YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開中
http://www.last5years.jp

(c)THE LAST FIVE YEARS THE MOTION PICTURE LLC

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