髪をバッサリ切りたい。…けど悩む。ショート特化美容師に聞いた、ショートヘアのお悩み解決Q&A

全体の印象をガラッと変えてくれるのは、なんと言っても髪型。でも、ガラッと変わるからこそ、本当に切るべきか、それとも止めておくべきか悩みますよね。
「でも、ここ最近ずっとショートがトレンドだから気になる…」と考え続けているあなたのために、ショートヘアに特化した美容師、Ash横浜西口店でマネージャーを務める、鈴木秀輔さんにお話をうかがいました。

◆前提。「ショートが似合わない」人は、ほとんどいない。

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鈴木さんが手がけた「ばっさりカット」の例。別人級におしゃれ！

「私は顔が丸いんですが…」「短くすると襟足がはねるのが気になって」「ショートにすると顔が大きく見えませんか？」などなど。さまざまな理由で「ショートにしたいんですが、似合わないんじゃないでしょうか？」という相談をよく受けます。

でも、「ショートが似合わない」人はほとんどいません。強いて言うならば「5.5cmの法則」があり、「耳たぶの下〜あご先が5.5cm以内」の方はショートが似合い、それ以上面長の方は似合いにくいパターンは多いです。ただ、ショートはバランスありきなので、5.5cm以上の方でも打開する方法はあります。

ただ、「その人を素敵に見せるショート」は人によって違います。
頭の形はどうなのか、首は細いのかしっかりしているのか。骨格も、バランスの比率も、コンプレックスも、伸ばすべきポイントも、ひとりひとり違います。それぞれの方の個性を把握して理論的にカットすれば、グッと小顔に見えて、面白いくらいにあか抜けて、スタイリッシュな印象になりますよ。

僕個人としては「冬のショート」をかなりおすすめしています。一般的には「夏は切る、冬は伸ばす」方が多いですが、夏は伸ばしてすっきり結べるようにして、冬はコートやマフラーの邪魔にならないように切ってあげたほうがセンスよくかっこよく見えます。
「思い切るなら今」です。

◆ショートに切った後にありがちなお悩みを先にお伝えします

ショートにはメリットも多いですが、人によってはデメリットと感じる現象もつきものです。よく聞くのはこんなことでしょうか。

・美容院に行く周期が早くなる
・気に入っていた服が突然「あれ？」と似合わなくなることがある
・ロングから切った場合、これまで気にならなかったクセが出やすい
・最低限のスタイリングが毎日必要になる

特に気にかけたいのは、美容院に通う周期。ショートの場合はある程度定期的に美容院に通う必要があります。ベーシックなショートの場合は、2か月経つと形が崩れがちです。「美容院に行くのは、どうしても3か月に1回が限界」というお客さんの場合は、ボブくらいの長さにとどめておくことをおすすめしています。

スタイリングも重要な観点で、アイロンは使わなくとも最低限オイルをつけて整えるくらいの時間は必要です。
さらに、縮毛矯正をかけている方は、ショートにすると毎日アイロンを使ってスタイリングをすることがマストになるため、その時間と手間をかけられるかどうかを確認してからカットしています。

◆やっぱり戻したい…は、「似合わない」じゃなくて「見慣れない」だけかも

「切ってみたいけど、切って似合わなかったらどうしよう」と悩む方、そしていざ切って「やっぱり似合わないんじゃないか」と思ってしまっている方は、たいてい「ご自身が見慣れない」ことが理由です。

見慣れずに落ち着かない、を回避するためにおすすめしているのは「顔まわりのバランスをあまり変えない」です。「今まで前髪が長いワンレンロングだった方が、いきなりショートにして前髪も作る」だと、しばらく見慣れずに「やっぱり前のほうが良かったんじゃないか…」と思うことが多いはずです。長さを大きく変える場合は、前髪のバランスを変えないほうが、しっくりきやすいですよ。

◆切る前に準備しておきたいこと

カジュアルか、モードか。少しの違いで印象は変わります

素敵な髪型になるにあたって「なりたいイメージ」はとても大事。「かわいい感じが好き」なのか、「クールでかっこい感じになりたい」のかで、バランスはまったく変わってきます。イメージや好きなものがはっきり決まっている方は決めやすいと思いますが、迷う方もいらっしゃいますよね。

どんな方にでもおすすめしたいのが「なりたい髪型」そして「これはイヤだと思う髪型」を、それぞれ写真で何枚かずつ準備することです。「イヤだと思う髪型」があると、写真をもとにイヤな理由を聞くことで、より理想に近づきやすくなります。

僕の経験上、お客さまは意外と「髪型」ではなく「モデルさんの顔」で選んでいる方がかなり多いですが、それでもまったく問題ありません。「そのモデルさんが持っている、こういう女性像に近づきたいんだな」と判断できます。それぞれの写真の髪型はかなりバラバラだけど、クールビューティーな雰囲気は共通している、なども、担当する美容師にとっては重要な情報です。考えすぎずに、感覚で「これ素敵！」と思った写真を遠慮なく見せてください！

参考写真を探すとき、つい「自分に似合うかな？」という視点で考えてしまいがちですが、本当に一切考えなくてOK！　「この写真だと顔の形が私と違うから…」ということも気にしなくていいですよ。そういった客観的な情報ではなく、ただただ「なりたい」主観を教えてください。
なりたい像とお客さん自身を見て、どうするか判断することこそ美容師の仕事で、そこにセンスが出ます。

◆初めての美容院に行くときは「一切セットしない」で仕上がりが変わる

なりたい髪型とこれはイヤだと思う髪型を何枚か用意して、いざ予約した美容院へ。そのときに、ひとつお願いしたいことがあります。

初めての美容院に行くときは特に、アイロンもブローも一切せずに「ただ、乾かした」状態で来てください。初めてであればあるほど、どうしてもセットしていきたくなる気持ちはわかります。でも「毎朝あなたが見ている、素の髪の状態」を知れるのは、美容師にとってはプラスでしかありません。その情報があると、どうカットすれば毎日のスタイリングがラクに、でも素敵に決まるのかをより考えやすくなります。

美容師としては「初めてのときは素の状態で来て欲しい、慣れたら髪質を知っているのでなんでもOK」ですが、お客さんはたいてい「初めてはしっかりセットして、慣れてきたら素の状態で来る」ことが多いんです（笑）。ぜひ、逆にしてみてください。

◆切ったら終わりじゃない。毎朝のスタイリングで、髪型は変わる

なりたいイメージと、なりたくないイメージ。そこに加えて、毎日のスタイリングに、どこまで手をかけられるかも重要な要素です。
「乾かしてパッとオイルをつけるだけでまとまるショート」がいいのか、それとも毎日ある程度アイロンなどを使ってスタイリングをする余裕があるのかで、仕上げる髪型は変わります。できれば美容師から聞いてほしいとは思いますが、もし聞かれなければ最初のカウンセリングの際に、どのくらいのスタイリングで仕上がる髪型が希望なのか伝えて、仕上げも同じ条件でやってもらってみてください。

僕のお客さんは「乾かしてオイルをつけるだけ」で決まるショートにすることが多いです。カットのあとも、僕は毎日お客さんがやっているスタイリングと同じ条件で仕上げます。アイロンを使わない方なら、使いません。乾かしてオイルをつけるだけです。

美容院に行ったその1日だけキレイに仕上げるよりも、いかにお客さんが毎日続けられるリアルの範囲で、素敵なものに仕上げられるかに気を配っています。

◆ドライヤーの使い方、セットの仕方

同じカットでも、ドライヤーの使い方とオイルのつけ方で、印象はまったく変わります。
ドライヤーで乾かすときに「根本の向き」を意識してください。「右側が跳ねるのが気になる」ならば、頭皮に対して「90度の角度で引っ張る」状態で乾かすと、9割方おさまります。

ワックスやバームを使ってセットする場合は、親指の爪くらいのサイズを手のひらに出したら、まずは見えなくなるまでしっかりと伸ばしてください。手のひらだけじゃなくて、指の間にも伸ばしてくださいね。
最初は襟足。次にこめかみからもみあげ、その間の側面の順にしっかりとつけていきます。この頃になると指先にはあまり残っていないはずなので、手のひらに残っているワックスやバームを髪の内側につけ、最後に表面は少しさわるくらいの感じでつけます。

「毛先がきちんとセットされているかどうか」で、見栄えが変わります。ぜひこの順でセットしてみてくださいね。

◆ショート上手な美容師さんを見つける方法

ショートは美容師の技術が出やすく、美容師選びが重要です。
僕は横浜のお店で働いているので、お近くの方はぜひいらしていただきたいのですが、遠方の方から「どうしてもお店に行けないんですが、うちの県なら誰に切ってもらえばいいですか？」と相談をいただくことがあります。
どんな美容師であれば素敵なショートにできるのかの判断基準は結構難しいのですが、ひとつの指標としてお伝えすると「インスタグラムのアイコンに、黒い輪っか【scratch認定バッジ】がついている美容師」は、ショートの技術が保証されています。これは僕が参加しているショートヘアに特化した日本最大のオンラインサロン「scratch」のものなのですが、そこに技術を認定された美容師だけが、アイコンの周囲に黒い輪っかがついています。北海道から沖縄まで、いろいろな都道府県に認定美容師がいます。
お近くにいる美容師さんの中からさらに、あなたの好みにより合う人を探してみてください。きっと素敵に仕上げてくれるはずですよ。