みなさん、世界が注目する琳派デザイナーの神坂雪佳(かみさか せっか)さんをご存知ですか?
※琳派(りんぱ)……大正から昭和の美術史研究者たちが同じ画風の絵師をひとまとめにして「宗達・光琳派」と呼んでいたものの略称。
京都の武家に生まれ、伝統的な京琳派の系譜を継ぐ絵師として、また日本の美術工芸界に多大な足跡を残した希代のデザイナーとして、その才能を遺憾なく発揮した方。
“雪佳はん”と呼ばれ、親しまれた彼の傑作といえば、『百々世草(ももよぐさ)』のなかにある、仔犬とカタツムリの愛らしい交流(?)を表した「狗児(くじ)」。
『和樂』3月号には、この「狗児」をモチーフに仕立てた、『和樂』謹製「雪佳はんの懐紙(かいし)」が特別付録になっています。これは他では絶対に手に入れることができない、『和樂』ならではの懐紙!
懐紙とは文字どおり、「懐に入れて携帯する紙」のこと。
現在、懐紙がよく使われるのは、お茶席ですが、和紙が一般的だった時代は、着物の懐に入れれて持ち歩き、ハンカチやメモ代わりとして、“包む・敷く・拭く・書く・”などの役目を担っていた、なくてはならない便利な道具だったそう。
たとえば、会社でいただくお菓子のおすそ分けの敷き紙に……、外出先のメモや一筆箋の代わりに……、食事どきに口元を拭くなどのエチケットに……と、常備しておけば、あらゆるシーンで使えます。
日常の何気ないシーンにも、懐紙をさっと取り出して使えば、周囲の人からちょっと一目置かれそうですよね。
↑サイズは、14.5×8.6cm程度(二つ折りの状態/編集部調べ)ほど。
↑開くとこのようになっています。
正式なお茶席ではないので、普段はシーンに応じて自由に使ってOK。“折り目を手前にして使う”ということだけでも覚えておけば、お客様に使う場面があっても大丈夫!
「狗児」のもともとのデザインは、竹林を背景に、二頭の仔犬と一匹のカタツムリが描かれたものですが、懐紙では、カタツムリと一匹の仔犬のみを切り抜いて意匠化。
懐紙の上にお菓子をのせると、そこに置かれたものを仔犬が、いつまでもじっと見つめ続けているように見えて、お菓子を食べるのをためらっちゃいそうですよね。
↑お菓子を置くと、ちょうど仔犬の視線の先にはお菓子が……。見つめられすぎて、食べるのを躊躇しそう!?
↑懐紙にデザインされている仔犬が、『和樂』3月号の表紙にも……!
敷いたり、包んだり、書いたり……と、ひとつで何役もこなす懐紙。そして、お菓子の食べ過ぎを見守ってくれる(?)仔犬のデザインに、日本文化(というか『和樂』?)の“シャレ”を感じずにはいられません。(さとうのりこ)
(『和樂』2015年3月号)
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