スマホ広告見て買ったら…これって詐欺!?契約トラブルあるある5パターン&3つの対策

「18歳から新成人」になってから急増中。契約トラブルあるある5パターン&対策3つ

2022年4月から、日本でも18歳以上が成人とみなされるようになりました。この記事を読んでいる中にも「自分や家族が4月から新成人になった」という方、結構いるのではないでしょうか?

進路や引越し先を自由に選べたり、取得できる国家資格の種類が増えたり……成人すると嬉しい変化がありますが、同時に自己責任の範囲も増えます。悪徳業者のターゲットにされることも多いため、今までより注意深くなる必要がありそうです。

では、具体的にどんなトラブルに気をつければ良いのでしょうか? NTTドコモ、au、Softbank等にセキュリティサービスを提供しており、詐欺や「グレーゾーン犯罪」の最新事情に詳しいトビラシステムズ株式会社の岩渕るみさんに、「新成人が気をつけるべき消費者トラブル」について教えていただきました。

この春からは18・19歳も新成人。今までと何が変わるの?

未成年と成人の違いって、成人式が過ぎると意外と意識しないもの。「何が変わったんだろう」と不思議に思うこともありますよね。

でも「契約を結ぶ」という面から見ると、成人と未成年には大きな違いがあるんです。

岩渕さん「未成年の場合、契約を結ぶときに保護者の同意が必要です。スマホを持つときもローンを組むときも、未成年の場合は必ず保護者がサインをしますよね。

未成年の場合、保護者の同意がない契約は、後からでも無効にできます。これは、悪質な消費者トラブルから未成年を守るための決まりで『未成年者取消権』と呼ばれる権利です。

しかし成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、未成年者取消権も18歳以上には適用されなくなりました」

ああ、なるほど。つまり18・19歳であっても、いったん結んだ契約を「やっぱりやめます」と取り消す行為ができなくなったということですね。

岩渕さん「大人である以上、自分で結んだ契約に責任を持つのは当然の責任と言えます。ただ、世の中の仕組みに慣れていない若い方々にとっては、妥当な契約と悪質な契約をパッと見分けること自体が難しいのではないでしょうか。

自分の意志で自由に契約を結ぶことができるけれど、判断基準が備わっていない。もし騙されたと思っても、後から取り消すこともできない。こうした新成人を狙う悪質な業者は少なくありません。

彼らにとって新成人は、いわば都合の良いターゲットなんです」

消費者トラブルの相談を受け付けている国民生活センターが2021年に発表した資料によると、当時成人したばかりの人(20〜24歳)の契約に関する相談件数は、未成年に比べ約1.5倍の多さとなっています。

 

この資料は成人年齢引き下げ前のものですが、今後は同じように18歳以上の新成人がターゲットになる可能性が高い、というわけです。

では、悪質な契約や詐欺などのトラブルに巻き込まれないためには、どうしたらいいのでしょうか?

気をつけたい。10代・20代に多い消費者トラブル・5パターン

岩渕さん「まず大切なのは、正しい知識をつけること。トラブルに遭遇しそうなときも、事前にパターンを知っておけば違和感を感じて “あれっ?” と踏みとどまれる確率が高くなります」

というわけで、国民生活センター資料(同上)をもとに、新成人に多い消費者トラブルのパターンを見ていきましょう。

(1)知らずに「定期購入」パターン

動画の広告で見かけた「初回半額」の美容クリームを注文した、Aさん。1回限りの注文のつもりが、翌月も同じものが届いた。調べてみたら「定期購入」が必須の条件になっていて、6ヶ月間は解約できない仕組みだった。

(2)強引な勧誘で「仕方なく契約」パターン

街で声をかけられ、脱毛エステの無料体験を受けたBさん。有料コースを紹介されて断ったのに、別室に連れていかれて「契約するまで帰さない」と言われ、仕方なく契約書にサインした。

(3)「返金保証」がウソだったパターン

「痩せなかったら返金保証」という広告を見て、ダイエットサプリを注文したCさん。実際に使ってみて効果が出なかったため返金を申し込んだのに、結局受け付けてもらえなかった。

(4)「絶対もうかる投資」パターン

知り合いの紹介で投資家を名乗る人物と出会った、Dさん。「絶対もうかる投資の案件があるよ」と誘われ、初めての投資にチャレンジしたものの、全くもうからないどころか貯金を失ってしまった。

(5)「絶対もうかる情報商材」パターン

SNSで知り合った人から「副業で絶対もうかるやり方を教える」と言われたEさん。教材は20万円と高額だけれど「数ヶ月で元がとれる」と思い、分割払いで購入。教材のとおりにがんばって実践してみたものの、結局1円も稼げなかった。

 

これらは、とくに10代・20代からの相談が多い事例ばかりです。(※クーリングオフが適用される場合や悪質な契約の場合など、後から解約できるケースもあります)

岩渕さん「新成人は、美容・ダイエットやお金に関することに強い興味を持っている年代。また最近は、若者の間で副業やスキルアップに対する意識も高まっています。悪徳業者は、こうした人の心理や時代のトレンドをしっかり研究しているんです」

「お得かも」「役立つ情報かも」こんな心理を、悪徳業者はうまく利用してきます。ただもちろん、本当にお得で役立つサービスも世の中にはたくさんあるので、ここは上手に見分けていきたいところです。

トラブルを回避しつつ良いサービスをちゃんと選び取るためには、どうしたら良いのでしょうか?

トラブルを回避したい!意識すべき3つのポイント

契約にあまり慣れていない世代が消費者トラブルを回避するためには、次の3つのポイントを意識することが大切です。

ポイント1:「〇〇だから大丈夫」と思わない

「友達の紹介だから大丈夫」「有名企業だから大丈夫」「返金保証があるから大丈夫」……そんなふうに思い込んでしまうのは危険です。どんな契約も、申し込む前にしっかり内容をチェックしましょう。サービスの実態について、口コミをチェックするのも一つの手段です。

ポイント2:契約書をちゃんと読む

契約書って、小さい文字だったり難しい文章だったりと、読みにくいことが多いですよね。でも「初回無料の条件として6ヶ月の定期購入」といった重要な内容は、契約書の中に書かれています。見逃さないよう、すみずみまでしっかり読み込みましょう。

ポイント3: いったん時間をおいて検討する

契約書にサインするときや高額の商品を申し込むときは、その場ですぐに決断せず「時間を置く」習慣を持っておくことが大切です。一度持ち帰る、一晩置いてみる、といった工夫だけでもかなり冷静になれます。とくに、契約を急かされるなど少しでも不安を感じた場合は、必ずいったん持ち帰って誰かに相談しましょう。

 

岩渕さん「詐欺かも?と思ったら、消費者ホットライン(188番)に電話で相談してみましょう。契約の前でも後でも、そのときに実践できるベストな対処法が必ずあります。専門知識を持ったプロフェッショナルに相談するのが一番です。

トラブルに巻き込まれたときに最もNGなのが、ひとりで抱え込んでしまうこと。家族に相談しづらいときも、消費者ホットラインになら話しやすいかと思いますので、ぜひ活用してみてください」

 

自由とともに責任も増える、新成人。避けられるトラブルは上手に回避していきましょう!

文・構成 豊島オリカ
取材協力 トビラシステムズ株式会社