全部法律絡みっぽいけど…「弁護士」「司法書士」「行政書士」って、何が違うの?

世の中の仕事って、意外とよくわからないものが多いですよね。
たとえば法律にまつわる仕事の代名詞と言えば、誰もが知る職業であろう「弁護士」。
でも、他にも「司法書士」やら「行政書士」やらも街中の看板で見かけることもありますよね。
いったい何が違うのか、それぞれどんな仕事をしているのか……日本弁護士連合会に所属する弁護士、宮崎翔太さんにうかがいました。

弁護士
(c)Shutterstock.com

Q.「弁護士」「司法書士」「行政書士」は、いったい何が違うのでしょうか?


まず、おおまかに分けると

「弁護士は、すべての分野を取り扱うことができる」
「司法書士と行政書士は、取り扱うことができる分野が限られている」

というイメージです。

◆弁護士

行政書士や司法書士の取扱分野を含め、金額や種類を問わず、すべての事件の相談を受け、依頼人に代わって交渉や裁判をすることができます。つまり、法律業務に関して「オールマイティカード」ともいえる存在です。
料金相場は行政書士・司法書士に比べて高い、ということはありませんが、そもそも弁護士しか取り扱えない、規模や金額が大きいものも多いので、比例して必然的に高くなる傾向にはあります。

◆司法書士

不動産の登記申請を代理することや、裁判所に提出する書類作成をすることができます。
また、「認定司法書士」という資格を持っていれば、「140万円未満」であれば、事件の相談を受けたり、依頼人に代わって交渉や裁判をすることができます。
けれども、

・離婚・相続などの家事事件
・140万円以上の金額の事件

上記を取り扱うことはできません。離婚や相続については、当事者の言い分を整理して書類としての形式を整えた、裁判所に提出する書類を作成することが限界です。

また、「140万円以上の金額」というのは、紛争となっている対象物の評価額や額面の金額のことを指します。たとえば「130万円貸したお金を返してもらえない」というときは、認定司法書士が取り扱うことができます。でも「150万円貸したお金を返してもらえない」という場合は、対象物が「150万円の債権」なので、認定司法書士でも取り扱うことができません。

◆行政書士

飲食店の開業や古物商許可、建設業許可など、世の中にはありとあらゆる許認可が存在します。これらの官公庁に提出する申請書類などを依頼人に代わって作成したり、提出手続きを代理することができます。権利を証明する契約書や内容証明の書類を当事者の言い分どおりに作成することもできます。(「言い分どおりに」というところがポイントで、行政書士の意図を入れて契約書や内容証明を作成することはできません。)
ただ、離婚・相続・交通事故などの一般的なトラブルの相談を受けたり、依頼人に代わって交渉や裁判をすることはできません。

弁護士はオールマイティとは言っても、実際には「餅は餅屋」で、不動産の登記や官公庁へ提出する申請書類の作成業務などは、司法書士や行政書士の方にお任せしたほうがスムーズにできることもあります。そのため弁護士も、司法書士や行政書士とタッグを組んで、それぞれの専門性を活かしながら仕事をしていくことが多いです。

そんなわけで、何か法律に関わるトラブルで悩み事がある場合は、まずはどんな業務でも取り扱うことのできる弁護士に相談してみるのがいいかもしれません。弁護士の団体である日本弁護士連合会が日本中のいろいろなところに「法律相談センター」を開設していて、どんなお悩みでも気軽に相談できる場所を用意しています。ネットから相談予約をすることもできるので、「ひまわり相談ネット」で検索してみてください。あなたの街の相談センターが見つかるはずです!

なんとなく「弁護士」と「司法書士」はわりと近いところにいて、「行政書士」はまた違うジャンル……というイメージですね。
そして法律関係の悩みってなかなかどこに聞けばいいかわからない、というものが多そうですが、そんな人に対する窓口がしっかり設けられているのは嬉しいポイント。迷ったら是非調べてみてくださいね!(後藤香織)

回答してくれたのは…
弁護士 宮崎翔太さん
九州大学法学部卒業、広島大学法科大学院修了。2013年1月から弁護士。
広島の大本卓志法律事務所に所属。不動産関連事件や債務整理事件、家事事件のほか、多くの刑事事件も手掛けている。

取材協力/日弁連法律相談センター

 

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