【なんで?】ストレスがたまると甘いもの・高カロリーのものが食べたくなる!理由と対処法を徹底解説

疲れるとやたら甘いものやカロリーが高いものが食べたくなる理由って?


イライラしたときや疲れたときって、どうして甘いものや脂っこいものが食べたくなるのでしょうか。

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おやつや高カロリーのものをついつい必要以上に口に運んでしまい、そして食べ過ぎた自分にまたイライラ……という悪循環に陥ってしまうことは誰しも一度は経験したことがあるはず。
でも、この「ストレスがたまるとなんだか甘いものやカロリーが高いものを食べたくなる」って、考えてみたらどうしてなのでしょうか?
生化学を専門としている、医学博士の前川みどり先生にうかがいました。

 

◆ストレスがたまると、高カロリーのもの・甘いものが食べたくなる理由


これは、ストレスを乗り越えるために備わっている、自然な欲求です。
適量の甘いものを「頑張ったご褒美」として食べることは、ストレス時に必要なエネルギー補充にもなるストレス対処法のひとつとして、なんら問題ないことです。
食べたくなる理由はこのようになっています。

<STEP1 ストレスがたまると、脳が疲れる>

ストレス度合いが高いときは、交感神経(活動時に働くものです)が優位になり、脳が疲れ、イライラしやすくなり、通常よりも多くのエネルギーを必要とする…など、さまざまな体の変化が起きています。
そのとき、糖分や脂肪分をたくさん含む食品を見たり思い出したりすると、食欲が刺激されやすい状態になっています。

<STEP2 糖分や脂肪分は、食べたときに喜びを感じる脳内物質を出す>

糖分や脂肪分の「美味しい」という味覚情報は、脳内にエンドルフィンという物質を作らせます。なぜか。私たちにとって、糖分や脂肪分は大切なエネルギー源なので、食べたときに喜びを感じるようになっているからです。
このエンドルフィンによる幸福感は、不安感・イライラ感・緊張感をやわらげる効果があります。
その心地よい体験は、「報酬系」という神経回路を刺激し「もっと食べて癒されたい」という欲求を高めます。

<STEP3 食べ過ぎると危険……>

適量なら問題のない「ご褒美」ですが、食べ過ぎるとこの「報酬系」に強く作用しすぎてしまい、満腹時に食べるのを止めるように指示を出す脳の働きを抑制してしまいます。甘いものや高カロリーなものをどうしてもやめられない…というときは、すでにこれらのご褒美依存が始まっている可能性があります。
食べ過ぎはもちろん体に悪影響を及ぼしますので、食習慣を見直しましょう。たとえば「週に2回までにする」「食べるならお昼の時間帯まで、夜は控える」などの自分なりのルールを作って、ストレス対策として「甘いもの」を上手に食生活に取り入れるのがベストです。

 

◆ストレスがたまると「お酒が飲みたくなる」のも同じこと?


お酒を飲み、血中アルコール濃度が高くなると、脳内では神経が興奮しすぎるのを鎮める回路が活発になり、ストレス感が弱まります。さらに快楽ホルモンも分泌されるので、高揚感が高まります。その感覚を覚えていると、お酒が飲みたくなるのも自然なことかもしれません。

ただし、お酒は一時的に緊張感を解きほぐす効果は大きいのですが、ストレスが強い場合は、酔いがさめると元の状態に戻ってしまいます。そのため「またストレスをなくしたい、高揚感がほしい」とアルコール依存症になる場合もあるので要注意です。

お酒を飲むときは、誰かと一緒に飲み「会話をする」ことが重要です。会話をすることで愛情ホルモンの「オキシトシン」が分泌され、緊張した心がさらに解放されます。こちらは酔いがさめた後でも満足感が残り、より癒しの効果があると思われます。

環境変化に対処するために、脳内ではさまざまな物質が分泌されます。その中には麻薬のような効果があり、依存症につながるものもあります。「私はストレスがあったら甘いものを食べなきゃダメ」「お酒を飲まないとやっていられない」などのように「ある行為」にのみ固執するのではなく、自分なりの限度をわきまえながら、その利点を上手に利用しましょう。

 

◆甘いものや嗜好品以外でストレスを和らげる方法


「甘いもの」「高カロリーなもの」「お酒」だけにストレス解消を求めるのではなく、他のストレス解消法も知っておきたいところ。

前川先生は、「まずはしっかりと睡眠や食事をとり、副交感神経を優位にして、疲れた脳を回復させるのが基本です」と語ります。その他できることとしては「ウォーキングなどの運動」「スキンシップ」「ショッピング」などをおすすめしています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

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<1>ウォーキングなどの運動

ウォーキング、ジョギング、ヨガなどの「ゆっくりした繰り返しのある有酸素運動」は、血流が良くなり、脳が活性化され、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。
「セロトニン」はネガティブな気分を打ち消し、幸福感を高め、自律神経のバランスも整えてくれます。運動を習慣づけている人はストレスホルモンの値が上昇しづらいという報告もあるため、適度な運動で「ストレスに強い体質」を作りましょう。

<2>スキンシップ

恋人とのふれあい、家族や友人と会話をする、ハグする、ペットと遊ぶ、マッサージやエステに行く…。これらのさまざまな「スキンシップ」によって、愛情ホルモンでもある「オキシトシン」が分泌され、幸福感や安心感を生み出し、ストレスを和らげてくれます。
この「オキシトシン」は、分娩時や母乳を与える際に分泌されるホルモンですが、実は良好な人間関係が築かれているときにも分泌されることがわかってきました(もちろん男性もです)。集団生活を営むサルが毛づくろいをしてストレスが高まるのを防いでいるのも同じです。
先ほどお酒の部分で出てきた「会話」もそう。不調なときに話を聞いてもらえるだけでも心が安らぎますし、話を聞く側も満足感や安心感が高まるのもこの一環です。

<3>ショッピング

こちらは女性に特に多いかもしれませんが、かわいい小物や服、贈り物などを選んでいるときは、迷う楽しみや素敵なものと出会うときめきで、イヤなことを忘れられます。
そのとき脳内では、快楽ホルモンでもある「ドーパミン」が分泌され、快感や幸福感が高まります。甘いものを食べたときのように「報酬系」が刺激され、喜びや達成感を感じます。店員さんとの会話が弾むとさらに心地よくなります。
ただし、買い物での高揚感は長続きしませんので、ストレス時の衝動的な買い物で、あまり高価なものを購入するのは避けましょう。購入した後でも、まあよかったなぁ、と小さく満足できる程度の金額にとどめておきましょう。

 

◆最後に、絶対に摂っておきたいのは「タンパク質」と「ビタミン」


ここまで紹介してきた、ストレスを和らげてくれる「エンドルフィン」「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」などの物質は、すべて「アミノ酸」から合成されます。
体の中で「アミノ酸」として分解され吸収される、非常に大事な栄養素が「タンパク質」です。さらにビタミンも化学反応を進めるために必要なので、積極的に摂りましょう。

また、最近は腸の状態がストレスに関係している、ということも報告されています。腸内環境を整えるため、ヨーグルト、納豆、チーズなどの「善玉菌」と、善玉菌のエサとなる食物繊維を意識して摂ることをおすすめします。

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ストレスがたまると、甘いものやカロリーが高いものが食べたくなる!お酒が飲みたくなる!というのは誰しも訪れる自然な現象。「食べたい!」の気持ちを抑えこみすぎることは、またさらなるストレスになりかねません。

何かとストレスフルな時期が続きますが、「睡眠・食事の基本に改めて気を配る」「上手にご褒美と付き合う」「ウォーキング・スキンシップ・軽いショッピングなど他のストレス解消法を取り入れる」などの方法をうまく組み合わせて、ストレスと付き合っていきましょう♪

お話をうかがったのは…
大手前大学 健康栄養学部
医学博士 前川みどり教授
構成/後藤香織

 

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