フィギュアスケートの光と影「想像を絶する保護者の負担…」【辻谷実夏のフィギュア裏話】

キャンパスクイーンの辻谷実夏です。

辻谷実夏（キャンパスクイーン）／慶應義塾大学3年

前回はフィギュアスケートの練習の実情について、でしたが、今回は、フィギュアスケートにかかる経済的負担、保護者の負担に関してお話ししたいと思います。

■フィギュアスケートの「光と影」フィギュアスケートの経済的負担とは…

どんなスポーツでも本格的に習うとなったら膨大なお金が必要です。しかし、フィギュアスケートはやはり、どんなスポーツよりも群を抜いてお金がかかります。スポーツの中で最も費用がかかるのではないかと感じています。

月謝、スケートリンク維持費、レッスン料など合わせて最低でも5万〜20万前後かかります。また、試合前に振付師に依頼をしたり、世界的に有名なコーチへ専属契約依頼を頼むとさらに高額な額となります。また、それだけでなく、スケート靴も非常に高額です。

安価なものでも、5万〜10万程度は最低かかります。傷んだり、サイズが合わなくなったりで、大体年に数回買い換えます。加えて、靴の刃のブレードの部分も最低5万前後します。こちらも錆びてしまったり、傷んでしまうので年に一度買い換えます。私は、何度か合わない靴と出会って短期間に二足ほど買い換えました。合わない靴を履き続けるとくるぶしに負担をかけてしまい、腫れ上がってしまうのです。そのおかげで、会う靴に出会えて当時は満足していましたが、今考えると靴にもお金をかけたなという印象です。

また、大会へ出場するとなると、さらにお金がかかります。衣装代だけでも、オーダーすると2～10万程度します。この衣装はそれぞれで、オーダーしてイチから作ってもらう人、親御さんがイチから作る人、先輩から譲り受ける人など様々でした。

でも私は、この衣装選びが楽しくて仕方がなくて、次はどんな衣装を買おうかとか、友達の衣装を見たりすることが、楽しみの一つとなっていました。

ピンクが大好きなので、全て基本的にピンクが多めでした。ベロアやスパンコールを敷き詰めた素材など豊富な種類の中から自分好みの衣装を選べることが女の子の乙女心をくすぐるなと思います。当時は、練習着や羽織るパーカすらもこだわっていて、スタイルがよく見えるパンツや、暖かくて背中のところに名前がスワロフスキーで書かれた可愛いパーカが気に入っていました。

そのほかにも、もちろんヘアメイクも重要で、衣装に合わせたヘアアクセサリーだったりメイクにはこだわっていました。その当時のシュシュやヘアゴムはいまだに持っていて使っています。

練習も試合も自分の気に入ったスタイルで取り組むことが楽しみで、モチベーションの一つとなっていましたし、衣装を着ることで自分が物語の主人公になったような気分になれる、そんな感覚がとても好きでした。

■経済的負担だけじゃない。それ以外の保護者の負担とは…

そんな楽しみはありますが、フィギュアスケートは相当お金のかかるスポーツです。加えて、保護者の負担も尋常じゃありません。前回述べたように、クラブの練習時間は変則的であるため、毎日の行き帰りの送迎は基本的に親が行っていました。練習時間も待合室に入って自分の子供の練習の様子を見ている方も多かったです。待合室から出て練習をしっかり見るときは、寒いリンクの中何時間も見ていて、本当に過酷だったと思います。試合にも毎回朝から晩までついてきてくれて、ただただ見ていた母はさぞ大変だったろうなとつくづく感じていました。

中には、パートアルバイトを掛け持ちして生活の足しににしている方もいました。生活も乱れますし、室温は低く、全くスケートを知らない親御さんが一から子供のスケートに携わるのは、多くの方が何かを犠牲にしており、共に競技に参加するようにも感じられました。

子どもがフィギュアスケートにかけてしまうあまり、借金や金銭トラブルを抱えてしまう家庭や、家庭崩壊であったり、仲が悪くなってしまう家族なども存在していました。また、才能があるのに経済的な事情により継続が困難な選手なども多く、厳しい世界であると実感していました。

次回は、宮城県でも起きたスケートリンクの相次ぐ閉鎖の問題やそれに伴う選手の環境の変化についてお話ししたいと思います。

辻谷実夏（キャンパスクイーン）／慶應義塾大学3年

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