公開直後から話題となっているスリラーエンターテイメント映画『ミュージアム』(11月12日(土)公開)。
「あの過激な原作、映画にできるのか?」「ヤバすぎる」などの声がSNSで拡散される中、主演の小栗旬さんは、それらとどう向き合い、克服したのでしょうか。映画公開記念のスペシャルインタビュー、精神的にも肉体的にもギリギリだった撮影現場について話していただいた前編に続き、今回は後編をお届けします!
- あのシーンは、「本当にただの事故だった」!
Woman Insight編集部(以下、WI) 大友啓史監督は、完璧を求めることでも知られていますが、『ミュージアム』でそれが表れているところはありますか?
小栗旬さん(以下、小栗) 随所に表れていますが、僕自身の印象深いところでは、沢村が車にひかれるシーン。僕が車のフロントガラスに叩き付けられるんですが、監督は“(沢村が)振り向いた瞬間にひかれる”というタイミングを狙いたいと。つい自分からアタリに行ってしまうところを、ギリギリまでガマンして、本当の事故さながらに車に当たりました。それを見ていた妻夫木くんは、「本当にただの事故だった」と言ってましたけど。20キロの鉄のかたまり(車)が当たったのはさすがに痛かったですね(笑)。でもそのお陰でリアルなシーンになったと思います。
WI 車の事故シーンだけでなく、夫婦のやりとりでもリアルさが出ています。
小栗 あんなふうに、奥さんから「父親としては最低」と言われたら……、傷つくでしょうね。まあうちでも、近いようなことをけっこういろいろ言われてますけど(笑)。僕の仕事は特殊で、しかも僕自身は働きすぎなくらいで、子供と過ごす時間が取れないことは、よくあります。かつては、子供が僕のことを父親だと認識してくれないという時期があって、そうすると、この子にとって自分はなんなんだろう、と悩むこともありました。
小栗 それで、一緒にいられるときは、できるだけ一緒に過ごそうと頑張ってます。まあ、頑張ろうという時点で、どうなんだろうって気もしますけどね。今になってようやく、家に帰ると子供が走って迎えてくれたりして、幸せだなぁと思います。
- 僕には「働きすぎ」がちょうどいいみたい
WI ご自身の「働きすぎ」は、これからも変わらないのでしょうか。
小栗 オファーしてくれる人がいるかぎり、今の状況を続けていこうと思います。仕事しすぎだって周囲からは言われるけど、出来上がったものがよければ、やがて誰も言わなくなるだろうし。
小栗 本当はもう少し時間に余裕をもって、じっくりやっていくのもいいのかもしれないけど、時間があったらあったで、だらけてしまったり、あれこれ悩んでしまう。いろいろ選択肢が増えるほど、その分考えてしまうんです。働きすぎでいつも時間がないくらいのほうが、あれこれ悩まなくてすむし、追い詰められるくらい精神的に余裕がないほうが、考えることがシンプルになる。人それぞれにリズムややり方はあるだろうけど、僕にはこのやり方が合ってるみたいです。
WI では最後に、Woman Insightの女性読者に向けて、映画『ミュージアム』をおすすめすると……。
小栗 この映画には、沢村の男イズムが流れています。こんな男を好きだと思うもよし、こんな男はしんどいなと思うのもよし。しんどいと思ったら、こういう男は選ばないほうがいいですよ(笑)。
スリラーエンターテイメント映画としての話題が多い映画『ミュージアム』ですが、仕事に賭ける男イズムを堪能するのも、また一興。どんなところに共感ポイントを見出すかは、人それぞれ。『ミュージアム』を奥深いものにしている理由も、そんなところにあるのかもしれません。(南 ゆかり)
小栗旬
1982年東京都生まれ。1998年に俳優デビュー。主な出演作は、映画『クローズZERO』『宇宙兄弟』『ルパン三世』『信長協奏曲』、NHK大河ドラマ『天地人』『八重の桜』、ドラマ『貧乏男子 ボンビーメン』『リッチマン、プアウーマン』『Woman』『コウノドリ』、ドラマ&映画『花より男子』『信長協奏曲』シリーズ、など多数。
★映画『ミュージアム』については公式HPをチェック!
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