明日公開! 浜辺美波×目黒 蓮のW主演映画『ほどなく、お別れです』をしんのすけがレビュー!「箱ティッシュかタオル持参で泣きにいってほしい」

しんのすけ@今月のMOVIEコレミトコ!

TikTokの映画レビューでバズりまくりのアニキ・しんのすけさんが読者にイチオシの映画をナビ☆

紹介してくれたのは…

しんのすけ
1988年、京都府生まれ。映画感想TikTokクリエイター。映像作家、株式会社MEW Creators代表。映画レビュージャンルを開拓し人気を集める。

Q. 今年公開される映画で注目している作品は?

A. 5月公開の『プラダを着た悪魔2』、是枝裕和監督作品の『ルックバック』です!


今月の映画は『ほどなく、お別れです』

STORY

就職活動に失敗した清水美空(浜辺美波)。彼女には「亡くなった人の声を聴くことができる」という秘密があった。そんな中、彼女の秘密に気が付いた漆原礼二(目黒 蓮)から、葬祭プランナーの道へ誘われて、葬儀会社のインターンとして働くことに。美空と漆原は様々な家族の葬儀に直面する――。累計部数70万突破の「ほどなく、お別れです」シリーズが原作。


箱ティッシュかタオル持参で泣きにいってほしい

何度も泣いてしまった! 亡くなった人の声を聴くことができる美空(浜辺美波)を、葬祭プランナーの漆原(目黒 蓮)がスカウトし、葬儀を通して生と死に向き合っていく。

葬儀を題材にした映画と聞くと、重くて暗い物語を想像して身構えます。でも今作は、観終わったあとに残る感情が不思議なくらい澄んでいました。葬儀は「悲しみを扱う場所」ではなく、「最後を見守り送り届ける場所」だと、静かに視点を変えてくれます。人生の節目を支える仕事としての尊さが、最初から最後まで一貫していました。

お通夜と告別式という時間は、残酷なくらい短いのに、だからこそ濃い。今作では、葬儀を「区切りをつけるための期間」として丁寧に描きます。死と向き合うことは、生と向き合うことでもある。その瞬間が凝縮した2日間に、葬祭プランナーという職業は何をすることができるのか。

タイトルであり、葬儀の最後に言う「ほどなく、お別れです」という言葉は、最初は淡々として聞こえます。けれど物語が進むほど、遺族へ、故人へ、そして〝生きている自分〟へ向けた言葉に変わっていきます。その深まりを支えるのが、目黒 蓮さんが演じる漆原の姿勢です。感情を押しつけず、必要な言葉だけを差し出す献身が、別れの時間を優しく整えていきます。浜辺美波さん演じる美空が故人と会話できるという設定ですが、やりすぎ感がまったくありません。大事なのは、答えを出すのはいつも生きている人たちだという距離感です。「死んだあとに全部解決する」話ではなく、葬儀というタイミングだからこそ届く言葉がある。幽霊探偵ものの爽快さではなく、現実を前に進める清々しさが残ります。

特に胸に残ったのは、幼い娘を亡くした葬儀のエピソードです。死をまだ理解できない少女と、治療を続けたことを「親のエゴだったのでは」と責め続ける母親。美空は少女との会話から小さなヒントを拾い、母親へ救いを差し出します。悲しみを煽るのではなく、別れの場で〝生きる側〟の心がほどけていく。その眼差しに、何度も泣かされました。

今作を単なる悲しい映画にしていないのは、『陽だまりの彼女』、『今夜、世界からこの恋が消えても』の三木孝浩監督ならではの光の使い方や余白が、別れの時間を静かに、そして美しく包み込むのです。悲しみを強調するのではなく、見守るような距離感。その映像美があるからこそ、この映画は重さよりも、清々しさを残してくれます。

別れを描いた映画なのに、観終わったあとに残るのは、前を向くための静かな力でした。葬儀とは、生きている人が次の一歩を踏み出すための時間なのかもしれません。『ほどなく、お別れです』は、大切な人がいる今こそ観てほしい作品になっています。

『ほどなく、お別れです』

配給:東宝/2月6日公開
ⓒ2026「ほどなく、お別れです」
製作委員会 ⓒ長月天音/小学館
CanCam2026年3月号「CCC!」より
構成/小山恵子 WEB構成/久保 葵