【ぼる塾連載vol.213】嘘は「笑える嘘」だけついていく!あんりさんのお仕事論

こちらは、人気芸人「ぼる塾」のメンバー4人によるリレーエッセイ連載。
213回目は、あんりさんのターン!

今回は、あんりさんによるお仕事論エッセイ。学校をずる休みしていた幼少期の話から、最近のぼる塾の活動、メンバーについての思いなど、正直な気持ちを書いてくれました。日々一生懸命働くあなた、必見です!

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「午前中だけで仕事が終わるのって一番うれしいわよね」by 田辺さん

CanCamをご覧の皆様、お疲れ様です。
いきなりですが、こんなことを思ったことはありますか?

「今日、仕事行きたくないなぁ」

私はこんなことを思ってばかりです。
それはそれは頻繁に思っています。
人生であと何回思うんだろう?って最近考えるほどです。

でも、仕事は好きなんです。
私のしている仕事は、休みだと思っていた日に急に仕事が入ることもあれば、急になくなって休みになることもあります。
急に仕事が入ったときは少し文句を言えば気がおさまりますが、急に休みになり、それが続くと不安な気持ちになり落ち込んで厄介です。
面倒な職業、面倒な性格だなといつも思います。

仕事って行くまでは面倒だけど、いざ行ってしまえばあっという間に終わって、行ってよかったって思える。
それが分かっているのに、私はまた次の日も懲りずに「今日は仕事に行きたくない」と嘆くのだ。

私は知っているんです。
ずる休みした日って、1日の前半は楽しいけど、だんだん罪悪感が出てきて最悪な1日として終わる。
なぜそれを知っているのか。

それは私が学校をずる休みするような子供だったからです。

学校をずる休みしていた幼少期のあんりさん。

今でもよく覚えている。
学校のずる休みは、まず親に嘘をつくことから始まる。私が風邪を引いたと思っているお母さんやお父さんは、いつもより優しい。
午前中はそれがうれしくて、心が温かくなって、ぽかぽかして二度寝する。
お昼は、空腹との戦い。
本当は元気なんだから、おかゆや果物じゃ足りない。
だけど、私は今、具合が悪いことになっているのだからいっぱい食べたら変。
お腹の音を、嘘の咳で隠す。
こんなことを頑張るなら、絶対勉強を頑張ったほうがいい。
今頃、みんなは給食を食べているのかな。
学校に給食だけ食べに行けるなら、私はずる休みなんかしないのに。

午後、漫画を読んだり、テレビを見たり。でも笑うのはなるべく堪える。
爆笑したら元気だと思われる。
夕方、下校する子供たちの声が外から聞こえてくる。
たった1日だけど、「今日学校に行ったみんな」と「ずる休みをした私」にはとんでもない差ができてしまった気がする。

夜、仕事から帰ってきたお父さんがジュースとプリンを買ってきてくれる。
お父さんは今日1日ずっと、仕事をしながら私を心配してくれていたのかもしれない。
プリンやジュースの甘さに泣けてくる。
ごめんなさい、ごめんなさい、心の中で何度も言う。
なかなか眠れない。

次の日学校に行くと友達が心配してくれて、私はまた嘘をつく。
みんなが昨日のプリントやノートの写しをくれる。
優しさが苦しい。
自分がいない日の学校での出来事を聞く。
休み時間のお絵描き、給食のデザートじゃんけん、嫌いなはずの授業さえ、今は何だか羨ましい。

なんで昨日ずる休みなんかしちゃったんだろう。
罪悪感や後悔はさらに深まる。
私はこんなことを何度もしてしまった。
もう二度としないって思うのに、時々忘れてしまって繰り返してしまう。

でも、こんな子供だったからずる休みをしない大人になれた。
1回の後悔じゃ気づけなかったけど、何度目かで私はちゃんと気づけた。

何より今は、私ひとりじゃない。
はるちゃんや田辺さん、酒寄さんの相方が、ずる休みするようなヤツではダメだ。
私はぐうたら休むんじゃなく、ぐうたら働きたい。

ぼる塾4人の近影。はるちゃんの写真展で。


1人の仕事のときに、相方のエピソードを話すことがある。
それで助けられるときがある。
仕事終わり、ぼる塾の3人に「あのエピソードのおかげで助かった」と報告してお礼を言うと、みんなも「ありがとう。」と言ってくれる。

相方のエピソードを話すときは、自分のエピソードを話すときより気合いを入れなきゃいけない。
自分のエピソードで滑っても、相方のエピソードじゃ滑れない。
頼るなら損はさせたくない。

はるちゃんや田辺さんや酒寄さんも、1人の仕事で私のエピソードを話したと報告してくれることがある。
私がいないときでも、私が役に立てているならすごくうれしい。

とはいえ、相方のエピソードで滑ってしまうことも、恥ずかしながらある。
正直、結構ある。
それをはるちゃんや田辺さんや酒寄さんに怒られたことは1度もないけれど、許してもらっているということは、当たり前ではない。
失敗したからには成長したい。

ぼる塾にしがみつくのではなく、ぼる塾を背負う。

1人で仕事をしていても、2人で仕事をしていても、3人で仕事をしていても、4人で仕事をしていても“ぼる塾”。

それを忘れたくない。

こんなことを時々、田辺さんと話し合うことがある。

はるちゃんのサイン会でボディーガードを務めるあんりさん&田辺さん。

「私たちっていいこと言いたがりだよね」って笑い合う。
それが楽しい。

明日の朝も私はきっと「今日は仕事に行きたくないなぁ」と嘆くだろう。

仕事はめんどくさい。
アラームかけずに寝たい。
食っちゃ寝しながらお金がほしい。

そんな気持ちをなんとか家に置いて、私はぼる塾を背負って仕事に向かう。

ずるは時々するけど、ずる休みはしない。
嘘は「笑える嘘」だけついていく。

しんどい時は正々堂々と休む。
誰かに頼り、治った時はお礼を忘れない。

そして、誰かがしんどそうだったら、次は自分が助けれたらいいなと思う。

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ぼる塾PROFILE
(写真左から、きりやはるかさん、酒寄希望さん、あんりさん、田辺智加さん)
『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。「女芸人No.1決定戦 THE W」2020・2023・2024決勝進出。各種メディア、ライブ出演など精力的に活動中! 公式YouTube 『ぼる塾チャンネル』 https://www.youtube.com/@borujuku
●きりやはるか――――ボケ担当。かわいい顔して意外と毒舌! マイワールドがあり、アニメや音楽が大好き。個人公式instagram  @kiriyaharuka  個人公式X @shinboru1001 個人公式YouTubeチャンネル https://youtube.com/@wagamamaharuchan
●あんり――――ツッコミ担当。鋭いツッコミ&独特なキャラクターが魅力。酒寄と共同でネタを執筆! 個人公式instagram @f_y_e_b 個人公式X @takobu7 個人公式YouTubeチャンネル https://youtube.com/@anri_borujyuku
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●酒寄希望―――フォロー担当。子育て中のためメディア出演は控え、ライブ・執筆活動に専念中。精力的にネタ作りしているぼる塾のブレイン的な存在。個人公式note https://note.com/anhatasa 個人公式X @no_zombie 
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文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/衛藤理絵