「糖質オフダイエット」のつもりが「脂質太り」に!危険な「隠れ脂」の落とし穴

「糖質オフダイエット」のつもりが「脂質太り」に!危険な「隠れ脂」の落とし穴


ダイエットをしたいと思ったとき、まず変えるのが「食事」ですよね。
糖質制限を行ったり、お肉を食べてたんぱく質を多めに摂ったり…。でも、もし「食事に気をつけているのにやせられない」というときは、その食事法が無意識のうちに「脂質太り」の原因になっている可能性があります。

ついつい「糖質=太る」にばかり目を向けてしまいますが、実は日本人の約6割は「脂質太り」タイプという説もあるほど。
では、この「脂質太り」というのはなんなのでしょうか? 管理栄養士の篠原絵里佳先生にうかがいました。

 

◆油もの以外でも脂質オーバー!?「隠れ脂」の落とし穴


体重を気にしている人の中には、揚げ物やこってりした肉類、ラーメンなど、いかにも脂質が多く含まれていそうな食べ物は避けているという人も多いと思います。

ところが、このような「目に見える脂」だけでなく、ふだん何気なく摂っている食品の中に、意外に脂質が多く含まれているんです! 特に、コンビニ食や加工食品には、思いのほか脂質が多く含まれていたり、パンにはバターやショートニングなどの脂質がたっぷり…!
摂っていないつもりで摂っている、「隠れ脂」には注意が必要です。

たとえばこんな感じ。

・クリームパン(脂質:11.4g)
・カルボナーラ(脂質:31.8g)
・シーザーサラダドレッシング大さじ1分(脂質:5.8g)
・卵サンドイッチ(脂質:18.4g)
・クロワッサン(脂質:17.1~26.6g)

出典:守口徹『カラダが変わる! 油のルール』朝日新聞出版、2016

「いやいや、でもなんとなく脂質が多いものはわかります」と思っているあなた。それでは「天丼」と「牛丼」、「とんこつラーメン」と「五目ラーメン」は、どちらが脂質が多いかわかりますか?
クイズ形式で「意外な落とし穴」を見ていきましょう。

 

◆隠れ脂クイズ6問! 脂質が多く含まれているのはどっち?


1.「天丼」vs「牛丼」

…正解は「牛丼」

(c)Shutterstock.com

天丼(1人前)の脂質は12.0g、牛丼(1人前)の脂質は22.9g。

 

2.「とんこつラーメン」vs「五目ラーメン」

…正解は「五目ラーメン」

とんこつラーメンの脂質は11.4g、五目ラーメンの脂質は23.8g。

 

3.「ハンバーグ」vs「牛タン」vs「ウィンナー」

…正解は「ウィンナー」

ハンバーグ(100g)の脂質は13.4g、牛タン(100g)の脂質は21.7g、ウィンナー(100g)の脂質は28.5g。

 

4.「ミルクチョコレート」vs「高カカオチョコレート」

…正解は「高カカオチョコレート」

ミルクチョコレート(100g)の脂質は17.5g、高カカオチョコレート(100g)の脂質は40.0g。

 

5.「ハムレタスサンド」と「おにぎり2個(明太子・ツナマヨ)」

…正解は「ハムレタスサンド」

ハムレタスサンド(100g)の脂質は9.1g、おにぎり2個(明太子・ツナマヨ100g)の脂質は2.6g。

 

6.「冷やしサラダうどん」と「天ぷらそば」

…正解は「冷やしサラダうどん」

冷やしサラダうどん(100g)の脂質は15.8g、天ぷらそば(100g)の脂質は8.4g。

ヘルシーだと思って食べているものでも、実は脂質が多いものがたくさんあります。

 

◆でも「じゃあ脂質が多いものを避ければいいの?」という話ではありません


今回は「脂質」に着目しましたが、では「脂質が多いものを避ければダイエットに成功する」という単純な話ではありません。脂質は糖質・たんぱく質に並ぶ三大栄養素のひとつで、1日の必要量も多いため、ある程度は摂る必要があります。

上記6つの質問は「どちらの食べ物が良いか・悪いか」を比べているのではなく、「見落としがちな脂質の量」を比べています。脂質量自体は、ひとつならどれを選んでも問題はありません。大切なのは「何と一緒に食べるのか」です。

ダイエットの食事に必要なことは、何よりも「栄養素のバランスがとれた食事」です。

大切なことは「自分の食の傾向」を知ることです。特に女性は、糖質オフの観点からパンやごはんなどの主食を避け、おかずを増やしたために脂質が増えている傾向があります。

サラダうどんや卵サンドなどの「一見ヘルシーに見えて脂質が多いもの」を好んでいる場合、自分が「脂質を多く摂っている」ことを自覚していないことがあります。よく食べるもの、ヘルシーだと思って食べているものについて、どんな栄養素があるのか一度調べてみるのもおすすめです。

調べた上で、「脂質が多いものを好んでいるな」とわかれば、たとえば前後の食事を脂質が少なめのものに調整したり、黒烏龍茶など、脂質の吸収を抑えるドリンクを一緒に飲むことで脂質対策をするという方法を選ぶこともできます。

 

◆栄養バランスの観点から、どの食材をどう選ぶといい?


まず前提として「揚げ物を使った天ぷらそば」と「マヨネーズたっぷりのマカロニサラダ」など、脂質が多いもの同士を組み合わせて食べることは避けましょう。
その上で、ランチに食べる機会も多い「麺類」の食べ方の例をご紹介します。

 

<とんこつラーメン・五目ラーメンの場合>

まず、どちらも糖質は多いので「麺をある程度残す」「連日ラーメンは食べない」などの調整が必要です。

その上で、
とんこつラーメン:糖質にかたよっているので、卵や野菜をトッピングする
五目ラーメン:たんぱく質が少ない傾向にあるので、チャーシューや卵をトッピング

など、足りない栄養素を意識的に補いましょう。

 

<サラダうどん・天ぷらそばの場合>

実はマヨネーズが揚げ物の油以上に多く入っているので、脂質だけを見ると天ぷらそばのほうが脂質は少ないですが、栄養のバランスを考えると、どちらも単品では心もとないです。

天ぷらそば:食物繊維がとれないため、もずく酢などの海藻やきのこ、酢の物、漬物などの野菜を追加しましょう。
サラダうどん:糖質と脂質が多く、たんぱく質がほとんどとれないため、たんぱく質を追加する必要があります。

「きちんと知ること」が重要なのは、この例がわかりやすいと思います。
天ぷらそばは「揚げ物だから脂質が多い」ということはみなさん知っているので、さらに脂質が多いものを追加する…という発想はあまり出てこないですよね。

ただ、「サラダうどんは実は脂質が多い」ということを知らないと「サラダうどんはヘルシーだから唐揚げを追加しようかな」と脂質過多になる可能性があります。でも、脂質が多いことを知っていれば、温泉卵やサラダチキン、冷奴などの脂質が少ないものをチョイスし、ヘルシーに栄養バランスを整えられます。

 

◆ダイエット中、どうしても脂質たっぷりのものが食べたい! どうしたらいい?


ロース肉、ベーコン、マヨネーズ、麺類、パン、洋菓子、スナック菓子…脂質が多く含まれているものは美味しいものばかりですよね。

たまには脂質たっぷりのものを食べたい! というときもあると思います。そういうときは「次の食事は脂質を減らす」「翌日は全体的に脂質の少ないものを選ぶ」など、2〜3日で調整すればOKです。
また、夕食は食べたものをためこみやすいので、夕食や遅い時間に揚げ物を食べることは控えたほうが良いでしょう。

ちなみに、脂質は食品の中に含まれる脂質(肉・魚・大豆製品・卵・乳製品等)と、調理で使う脂質(調理油・マヨネーズ・ドレッシング等)があります。食品の中に含まれる脂質は主菜に当てはまる食材なので、主菜を毎食食べることを考慮すると「調理で使う油は大さじ1〜2杯程度まで」が目安です。
この「調理で使う油」は、調理油のほか、マヨネーズ・ドレッシング・バラ肉・ベーコン等も該当します。揚げ物は大さじ1杯以上(衣が多ければ2杯)の油が吸収されますので、1日の量を簡単に超えて摂りすぎてしまいます。

 

◆多くの人が陥りがちな「脂質過多」の対策方法


そもそもの油脂を摂り過ぎないことや食べ過ぎないことも大切ですが、動物性油脂・植物性油脂・魚油を偏らずに、まんべんなくとったり、油脂の代謝を促す栄養素(ビタミンB2、ナイアシン)と吸収を抑制する成分(烏龍茶重合ポリフェノール)を一緒にとることも大切です。

<覚えておきたい脂質対策>

・肉の脂身、ベーコンやウインナーなどの加工品、マーガリンや揚げ物は食べすぎないように。
・魚類やオリーブオイルから脂肪を摂取。また揚げ物を煮物や焼き物にするなど、調理方法を変えましょう。
・脂肪をエネルギーに変える「ビタミンB2」「ナイアシン」を摂取。
ビタミンB2:レバー(豚・牛・鶏)、うなぎ、卵、納豆、きのこ、牛乳、アーモンドなど
ナイアシン:魚、落花生、きのこなど
・脂肪の吸収を抑制する「ウーロン茶ポリフェノール」を摂取。市販の烏龍茶に含まれています。

 

◆揚げ物は「脂質過多=悪者」ですか?


脂質の減らしすぎも健康に良くないものの、よく「揚げ物は食べすぎないほうがいい」といわれるのは、ここまでお伝えしてきたように、私たちは「隠れた油を知らず知らずのうちに摂っていることが多いから」です。そのため、脂質が多い揚げ物は控えめにしたほうが、脂質のコントロールはうまくいきます。

たとえば「昼は唐揚げ、夜はとんかつ、翌日の朝にベーコン、昼はサラダうどん、おやつに菓子パン、夜は揚げ出し豆腐」…など、脂質過多が続くと良くありません。でも、この食事の揚げ物部分をもっと脂質が少ないものに変えればそれだけでも変わってきます。

調理方法もバランスが大切なので、揚げ物に偏らず、生・蒸し物・焼き物・煮物・炒め物など、さまざまな調理方法の料理を選ぶことが重要です。調理方法によって吸収されやすい栄養素が変わるので、栄養もバランス良く吸収されやすくなります。

 

「控える」ということは「食べない・ゼロにする」ではありません。「頻繁に食べない」であればOK。頻繁に食べ過ぎなければ、揚げ物は悪者ではありません。食べるときには美味しくいただきましょう。

■今回お話を伺ったのは…

篠原絵里佳 先生

栄養管理士・Health & Beautrition主宰
日本抗加齢医学会認定指導士/睡眠改善インストラクター/野菜ソムリエプロ/ダイエットスタイル認定トレーナー

総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験とアンチエイジング(抗加齢)医学の活動を通して、体の中から健康と美を作る食生活を見出し、分かりやすく発信することを得意とする。フィーカレディースクリニックで栄養相談・睡眠相談を実施している。

構成/山口彩楓・後藤香織 写真/(c)Shutterstock.com

 

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