「オンライン恋愛」で出会った夫婦はどう出会い、なぜ結婚した?
リアルの場で多くの人に会うことが以前より難しくなっているwithコロナ時代で、出会いのツールとして「マッチングアプリ」が注目されています。
でも、会わないのに相手のことを好きになれるのでしょうか?
結婚したいと思える相手にはどうやって出会ったらよいのでしょうか?
今回は、マッチングアプリを中心とした出会い・婚活メディア「マッチアップ」の編集長を務める、婚活事情のプロ・伊藤早紀さんが、「オンライン恋愛」で結婚したあるご夫婦に徹底取材。
取材したIさんご夫妻は、2018年にマッチングアプリ「ゼクシィ縁結び」で出会い、電話やビデオ通話を重ね、初めてデートしたその日から交際開始、出会って53日で入籍まで至った超最短婚活をされたそうです。
いったいどう出会い、どのように相性を見極めて結婚にいたったのか……。出会いから結婚までの過程を詳しく見ていきましょう。
妻:Mさん(30歳):インフラ勤務
夫:Sさん(35歳):会社経営
効率を求めるカップルにはマッチングアプリはおすすめの出会いツール
伊藤早紀(以下、伊藤):お二人が結婚されたのは2018年ですよね。現在のコロナの状況下ではなくても電話やビデオ通話をされていたのはすごく合理的ですね。そもそも、マッチングアプリを始めた理由はなんだったのでしょうか?
妻・Mさん(以下、Mさん):私は当時28歳で、20代のうちに結婚したいという気持ちが強かったんです。そんな中「20代」の強みを生かしながら、最短で効率的に相手を探せるのがマッチングアプリでした。
相手は、自分より年収が高い男性を希望していたので、年齢35歳以下、都内住み、休みが土日という条件で探していました。
伊藤:最初からすごく戦略的に考えられていたんですね! Sさんはどうでしたか?
夫・Sさん(以下、Sさん):僕は当時33歳だったので、そろそろ結婚しなきゃ、という気持ちで始めました。相手は同い年か年下を希望していて、相手も結婚への真剣度合いが高い人がよかったので、写真の登録枚数やプロフィール文章など、プロフィールの充実度は気にしていました。
伊藤:結婚への真剣度が高いという意味では、男女共に有料の「ゼクシィ縁結び」はうってつけですね。
リクルートマーケティングパートナーズが運営する「ゼクシィ」から生まれた婚活サービス。マッチングアプリ、結婚相談所、パーティと3つの業態を持っていますが、マッチングアプリは、男女ともに有料。そのため数あるマッチングアプリの中でも、真剣に婚活したい人が集まる傾向にあります。
電話、ビデオ通話は低コスト・短時間でコスパ最高?
伊藤:電話やビデオ通話でコミュニケーションをとるのはどちらの提案だったのですか?
Sさん:僕ですね。僕はもともと効率を求めるタイプで、最初の頃は実際に会ったりもしていたのですが、お会計をしたり、お店を決めたり、移動時間などがかかる上にドタキャンされることもあるので、途中から最初に電話をするように切り替えました。
伊藤:男性はお店決めたりお会計問題があったり、何かとコストがかかりますしね。
Sさん:そうですね。それで相性が合わないということを繰り返すといろいろともったいないので…。
伊藤:Mさんは「電話をしよう」と言われてどうでしたか?
Mさん:初めはびっくりしたんですけど、逆に「面白い人だな」と興味を持ちました。嫌だったら切ればいいですし。
伊藤:あんまり電話しようという人は、当時はいなかったと思います。
Mさん:はい。それに私もマッチングアプリをきっかけに何人かと会ったけれど、まだ好きになる前ですし、会いたくて会ってるわけじゃないので、毎回モチベーションが上がらないんですよね。ドタキャンしちゃったことも実はあります。笑
3時間の長電話!会う前の時点で結婚も意識
伊藤:マッチングした時のお二人の第一印象はどうでしたか?
Mさん:私はプロフィールが好みでした。私はミーハーでキラキラしたものが好きなので、恵比寿に住んでいるところもいいなと思いましたね。
伊藤:恵比寿住みは女性ウケがいいですよね。Sさんは正直、それは狙っていたんでしょうか?
Sさん:はい、狙ってました(笑)。東京タワーが見えるマンションに住んでいます、とも書いてましたね。
Mさん:あと、まだ登録したばかりの人とか、いいねが少ない人を探していたんです。ライバルは少ない方がいいので。彼はいいねが少なかったので気軽にいいねもできました。
Sさん:え、僕少なかったの(笑)?
伊藤:(笑)。電話したときの印象はどうでしたか?
Mさん:それが、最初から面接みたいだったんですよ。「なんでこのアプリ使ってるの?」「結婚したいの?」とかズケズケ聞かれました。でも、電話だったし、彼が取り繕わないからこっちも気負いせず済みました。素直に「年収高い人がいい」とか言っちゃってましたね。たしか、他愛ない話もして、3時間ぐらいは電話してたと思います。
伊藤:顔が見えないと、確かになんでも話せちゃうかもしれないですね。その3時間の電話の次に、テレビ電話をしたのでしょうか?
Mさん:そうですね。私は会っても良かったんですけど、「次はどうしよう?」という話をしたら、彼が「明日テレビ電話」しようって。
Sさん:会話はすごく楽しかったし気が合いそうだったので、あとは顔がタイプかどうかを確かめようと思ってテレビ電話を提案しました(笑)。
伊藤:そこはアプリのプロフィール写真じゃダメなんですね。
Sさん:プロフィール写真は加工していることも多いので…。実際動いているところが見たかったです。
伊藤:ビデオ通話をしてみてどうでした?
Mさん:「僕の顔、これで大丈夫ですか?」と聞かれたのが印象的でした。
伊藤:(笑)相手の顔だけじゃなくて、ちゃんと自分のことも気にされているのが面白いですね。やっぱりメイクとかは気合いを入れましたか?
Mさん:そうですね。平日の夜仕事終わりでしたが、メイクを直して参加しました。でも後からわかったのですが、彼はパジャマでしたね。
Sさん:素を見せてリラックスしようと思って。
Mさん:着飾ってもしょうがないと思ったんでしょ(笑)?
伊藤:すごく仲良くていいですね。電話・テレビ電話を経て、やっと初デートですね!
Mさん:結婚相手の条件を聞かれた時に「自分より身長が高い人」と言ったら、彼が「身長はさすがに会わないとダメだなー」って(笑)。
出会ったその日に交際開始!答えあわせの初デート
伊藤:いざ初デートの日、どんなところで会ったんですか?
Sさん:恵比寿の韓国料理屋です。あんまりきれいなお店じゃないんですけど、電話していて「そういうお店でいい」と言われて気が楽でした。普通の初デートなら個室の店とか気にしなきゃいけないですけど。
Mさん:初めて会うのは、「初めまして」って言ってみたり初々しかったですね。でも、電話やビデオ通話で普通の初デートのような話は既に済ませていたので、話す内容は日常会話でしたね。本当にビデオ通話通りの人か、確かめる、という感じでしたね。
伊藤:そのまま交際に進まれたと。
Mさん:はい。もうこのまま結婚に向けて付き合おっか?と言われて、そうだねって。でも軽い気持ちではなくて、それはもともと3時間の電話やビデオ通話を2回していたから。結婚前提の踏み込んだ話もしていたんです。
Sさん:会う前に、結婚前提で考えてくれているなら「付き合った後はすぐに一緒に住みたい」という話もしていました。
伊藤:なるほど。電話やビデオ通話で、人となりや気持ちはすでに伝えていたんですもんね。実際に会う初デートが、最終関門だったと。
Mさん:会ったのが月曜日で、その日に「今週末に親に会ってください」と言われました。「こんなチャンス逃したらいけないから」と言われたのはすごく嬉しかったです。
Sさん:結婚式でも、「ゼクシィ縁結び」で出会ったという話は堂々としました。周りのみんなも、「ゼクシィ」って言葉を出すとものすごく納得してくれますね。
コロナ時代のオンライン恋愛は絶好のチャンス
伊藤:お二人が思う、ビデオ通話や電話のよさってなんでしょう?
Sさん:無駄に会わなくていいことですね。女性って「付き合うまでに3回は会いたい」とかあるじゃないですか? でも直接3回も会うのって、僕みたいに効率を求める人間にはコストなんです。でも電話やビデオ通話をしたあとに会うと、初めて会っても3回目のデートのような関係でいられます。
Mさん:電話しないで会うと、「合わないな」と思う場合が多いですよね。その時間は勿体無いし、「合わないな」と思った時にデートを終わらせにくいです。
伊藤:マッチングアプリで出会うことについてはどう思いますか?
Mさん:普段出会わない人と出会えたのは本当によかったですね。会える幅が広がりました。合コンだとどうしても同じコミュニティになりがちです。また、自分より年収が高い人がよかったので、合コンだとそういうセンシティブなところを探らなきゃいけないですし、大変です。
Sさん:真剣度がある程度わかるのもいいですね。結婚する気があるのかどうか、とか。
伊藤:条件を明確に持っている人、効率を重視する人、特に結婚相手を探している人にはとても有用なツールですよね。Sさん、Mさん、今日はありがとうございました!!
オンラインで出会い、通話して、効率を求めるのは本来の恋愛にある偶発性や運命などは確かに感じにくいかもしれません。でも、実際に会う前に、見た目や雰囲気に流されずにしっかりと会話をすることで、本来結婚に必要な相手の価値観や考え方を知ることができます。
特に「会う」ことの価値が高くなっている今、オンラインの出会いや通話は婚活男女にとってより必須のツールになっていくはずです。
恋愛婚活ラボ所長。マッチングアプリの総合メディア「マッチアップ」を運営し、結婚相談所の仲人も務める所長伊藤早紀が自ら未婚男女に聞き込みをして得た知見を調査に活かしている。自身も20個以上のマッチングアプリをやりこみ、出会った男性は100人以上。2018年の夏に「出会い2.0 スマホ時代の「新」恋愛戦術」を出版し、最旬のマッチングアプリ情報を発信。
また、2019年8月に開設された「堀江貴文の女性限定オンラインサロン」では、特任教授にも任命されている。
★マッチングアプリ代表に聞いた!本気で出会いを求める男性と要注意人物の見分け方