春先の「ゆらぎ肌」の原因は?医師に聞いた、スキンケア・生活の改善ポイント4つ
季節の変わり目に気になるのが、肌の調子がちょっと変わること。この春先、なんとなく肌が気になっていませんか? その「ゆらぎ肌」を正しく理解して、適切な対策を行いましょう。
今回は、皮膚科医でアンチエイジングドクターの日比野佐和子先生に、ゆらぎ肌の原因と対策を教えていただきました。
■ゆらぎ肌って?
まずは、ゆらぎ肌とはどんな肌なのか知っておきましょう。
「ゆらぎ肌とは、季節の変わり目に肌の状態が不安定になることを言います。どの季節の変わり目にも起きますが、とくに夏から秋には感じやすいでしょう。紫外線をたくさん浴びた夏の肌は、とても過酷な状況になっているので、秋に移行するときに吹き出物や乾燥肌などの肌トラブルを起こしやすくなります」
ゆらぎ肌を感じる場合、肌の表面だけではなく、体の内側に原因があると考えられるようです。
「人間の肌は『内臓の鏡』と言われていて、ゆらぎ肌などの肌トラブルは、体の内側に原因があることが多くあります。腸には免疫細胞の6割が集まっており、免疫の中枢といわれます。腸管と皮膚はすべてつながっているので、生活習慣や食生活が乱れて内臓に負担がかかると、免疫力が下がって、肌が敏感になってしまいます。逆に免疫力が高ければ、多少、外からの刺激を受けたり、ホルモンバランスが乱れたりしても、バリア機能が働き抵抗できるので、結果、肌トラブルが起きにくくなるのです。
四季がある日本では、温度や湿度、日照時間など環境が大きく変わり、ずっと安定した状態を保つのは、ただでさえむずかしいものです。毎日のスキンケアもとても重要ですが、日頃から栄養のある食事や生活習慣に気を付けて、環境の変化に対抗できる免疫力をキープすることがとても大切です」
ゆらぎ肌の対策としては「免疫力」というのが一つ、大きなキーポイントになりそうですね。
■冬から春にかけての「ゆらぎ肌」の原因と対策
冬から春への季節の変わり目の揺らぎ肌について、日比野先生は特に次のような原因があるといいます。
「紫外線、睡眠不足、不規則な食事、心理的ストレスなど、私たちの肌は一年中、あらゆる『ゆらぎ』の因子に囲まれています。その中でも、特に冬から春にかけての時期は、花粉やPM2.5、ホコリなどによるアレルギー症状のほか、気温の寒暖差によって自律神経の乱れも生じやすくなりますし、紫外線量も増えていきます。
また、春は環境が大きく変わる時期でもあります。新年度が始まり、社会人になったり、新しい職場に移ったりするなど、人生の転機を迎える人もいるでしょう。気分が一新されますが、無意識のうちにプレッシャーやストレスを溜め込んでしまうこともあり、こうした要因が重なり、一時的に肌がゆらいでしまうことがあります」
こうした肌がゆらぎやすい時期、どのように対策をとればいいのでしょうか?
●しっかりと保湿を
「ゆらぎ肌のバリア機能を上げるために、しっかりと保湿をすることが重要です。化粧水と美容液で水をたっぷり与えたあとは、クリームなどの油分でしっかりフタをしましょう。
指先でトントンと肌を軽く叩く、タッピングによる軽いマッサージもおすすめです。少し刺激を与えることにより、血流もよくなり、成分が浸透しやすくなります」
●紫外線対策
「紫外線対策も重要です。肌の老化の8割は紫外線によるものなので、UVケアは一年中必要です。肌に負担の少ない日焼け止め選びを行いましょう。おすすめは、アルコールや防腐剤、鉱物油などが無添加の刺激が少ないもの。UVB(紫外線B波)を防ぐ効果指数である『SPF』値は1~50+までありますが、30で十分です。30以上でも効果は変わらず、30を超えた日焼け止めには、紫外線吸収剤が過剰に含まれるため、肌への負担が強くなります。屋外に長時間いるときにはSPF50+を使用しても良いですが、化粧下地などはSPF30がおすすめです」
●食事からの対策~善玉菌とたんぱく質
「腸内環境は体質に影響するため、善玉菌を増やすことが大切です。おすすめは寝ている間に腸内環境を整えてくれる『夜ヨーグルト』。乳酸菌のエサになるオリゴ糖を少し加えて食べるとより効果的です。
また、朝にたんぱく質をとることで15時間後にセロトニンというホルモンが分泌され、良質な睡眠をとることができます。質の高い睡眠は細胞の再生、ホルモンバランスの調整などに役立ち、健康な肌に導いてくれます」
●ストレスホルモンを増やさない
「陰口や文句などのネガティブワードはストレスホルモンを増やし、余計なものを体に溜め込んでしまいます。言うべきことはしっかり言いつつ、仕方ないことについては、くよくよせず、楽観的に考えることも大事です」
近頃は、寒暖差も激しく、新型コロナウイルスや花粉の影響もあり、ストレスを多く感じている人も多いかもしれません。もし肌のゆらぎを感じているなら、ぜひこれらの対策を実践してみてくださいね。(西村朝子)
医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾統括院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学特任准教授、医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、アンチエイジングドクター(日本抗加齢医学会専門医)。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。
中医学、ホルモン療法、プラセンタ療法、植物療法(フィトテラピー)、アフェレーシス療法(血液浄化療法)などを専門とする。アンチエイジングの第一人者として国際的に活躍するほか、テレビや雑誌などにも数多く出演。