「ファッションとは、その人のスタイルや個性を表す、いわば『名刺』」。そう話すのは、スタイリスト・亀恭子さん。6月に出版した、自身2冊目となるファッションブック『TOKYO NEW STANDARD』は、彼女のスタイリング技術のすべてが詰まった一冊になっています。
連日の撮影で多忙の中、亀恭子さんにインタビューの時間をいただき、亀さんとファッションについて、じっくりとうかがってきました。
Woman Insight編集部(以下、WI) スタイリストとして自身2冊目となる単行本『TOKYO NEW STANDARD』を作るにあたり、「こんな本にしてみたい」という希望はあったのでしょうか?
亀 恭子さん(以下、亀) スタイリストとして、ファッションに特化した私なりのセオリーをギュッと詰め込んだ一冊にしたかったので、プライベートな部分などはあえて載せずに、一冊丸まるファッションの本にしました。どこまで幅広く、スタイリングだけで見せられるかという部分で勝負したって感じです。
WI 改めて、今回の本の特徴を教えてもらえますか?
亀 リアルクローズのファッションを提案する限り、特別変わったコーディネートは何もしていないし、着ているアイテムで奇をてらったものはひとつもありません。この本を手にとってくれた皆さんも持っているようなスタンダードなアイテムにちょっとしたスパイスを加えて、新しいベーシックを提案している、そんな一冊に仕上がっています。
WI 通常のファッションページと違って、ご自身のスタイリングを一冊の本にまとめることに関して、難しかったことはありますか?
亀 この本『TOKYO NEW STANDARD』は、『AneCan』の連載「月刊 亀恭子」で読者の皆さんから人気の高かったコーディネートを中心に掲載しているんですけど、そもそも『AneCan』の連載テーマは毎回、自分で考えていて、とても自由な内容なんです。一冊目の本を出した約5年前は、自分でわかっていたようで、周りの人から言われた「このスタイリング、亀ちゃんっぽいよね」と言われるようなコーディネートをおさらいして掲載していた部分があったかもしれないのですが、最近は「私が提案したいスタイリング」が、連載を続けるなかで明確になってきた部分もあって、特に難しいことはなかったかなと思います。個人的には、自分でやってきた連載などがまとめて見られる本ができて、嬉しいなって。
WI 5年前から今までの集大成の一冊でしょうか?
亀 私、軸は変わらないんですけど、そのときどきの「マイブーム」の更新頻度が高いんです(笑)。だから、5年前から……というよりも、「今」を一冊にした感じですね。この本を5年後に開いたときにも、スタイリングのテクニックやセオリー的なものは古くならないと、自信を持って提案をさせていただいていますが、けっこうジャストナウな今の自分の技が詰まっている気がします。
WI マイブームの更新頻度が高いとおっしゃいましたが、スタイリストをはじめてから変わらず好きなファッションアイテムってあったりしますか?
亀 それは、デニム、シャツ、ジャケット……このあたりですかね。マイブームは変わっても、自分の好きなモノは揺るぎないというか。例えば「シャツが好きだけど、今年はちょっと丈が長め、オーバーめに着る」とか、そういうアップデートは常にされていても、好きなモノのベースは5年前から変わらないし、もしかしたら5年後も変わらないかもしれないです。
WI ちなみに、プライベートのマイブームはありますか? お休みの日は、どんなふうに過ごしていらっしゃるのでしょうか。
亀 ひとりでいるのは寂しいから、誰かに連絡しちゃいます(笑)。私、いろんな人に会って刺激を受けたくて、自分と違う世界のプロに会って話すことが好きだし、その時間が楽しいんです。お休みの日は掃除とか美容院とか、『ブルックリン リボン フライズ』(亀さんがオーナーを務めるフライドポテト&ジンジャーエールのお店 ※現在は移転準備中)に顔を出したりしてますね。
WI ファッションの話に戻しますね。もともとメンズの着こなしが好きというのをおっしゃっていて、マニッシュなアイテムもよく使われるということですが……。
亀 そこまで、ストイックにマニアックに、というわけではないのですが、メンズのスタイリングを見るのは好きですね。それをヒントに、スタイリングに取り入れたりします。メンズとレディースが両方あるプレスルームに行くと、メンズのアイテムも一緒に見て、「これも借りられますか?」みたいな(笑)。例えば、ニット素材のネクタイだったり、女性のファッションでもトレンドになっている小物を見つけたりすると、レディースにはないメンズならではのフォルムを活かして、スタイリングに取り入れるのが好きなんです。
インタビューは後編に続きます。次回は、『TOKYO NEW STANDARD』でモデルとして登場している蛯原友里さんについても話してくださいました。(さとうのりこ)
『TOKYO NEW STANDARD』亀恭子/著(小学館/1,200円+税)
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