ママになった元CanCamモデル押切もえ独占インタビュー!現在のプライベートを直撃

ママになった元CanCamモデル押切もえ独占インタビュー!現在のプライベートを直撃

 

2009年にエッセイ『モデル失格~幸せのためのアティチュード』を出版、13年には『浅き夢見し』(小学館)で小説家デビューし、作家としての顔も持つ押切もえさん。このたび、「第29回山本周五郎賞」にノミネートされた短編集『永遠とは違う一日』(新潮社)が、文庫本になることが決定。プライベートでは2016年に結婚、現在は一児のママとなった押切もえさんに、近況を伺いました。

――ご結婚、ご出産、そして『永遠とは違う一日』の文庫化決定と、いろいろとおめでとうございます。

押切もえさん(以下、押切) ありがとうございます。

――3月にママになったばかりですよね。表情からはママらしい優しさが感じられますが、体形はすっかり元通り、という雰囲気でさすがだと惚れ惚れしています。

押切 ママらしいと言われるのは本当に嬉しいです。今は、それこそ子供中心の生活。家事と育児と、家族のために自分は何ができるかなって考えながら過ごしています。でも、体形は元通りというわけではないんですよ。まだ授乳中だし、赤ちゃんのための体というところもあるので、妊娠前の体重に戻すということよりも、ヨガやピラティスなどで、心身共に「整える」ということを心がけているんです。

――押切さんは、CanCam専属モデルからAneCan専属モデルとファッション誌の第一線で活躍している間ずっと、ストイックに自分の体と向き合ってきたという印象があります。妊娠による体形の変化をどのように感じていましたか?

 

押切 高校時代けっこう太っていたので(笑)、実は体重に対する驚きというのはさほどなかったんです。でも、本当に、食べたものがそのまま身になるというか、数日で1kg、2kgと増えていくのは、おおっ!と(笑)。素直な感情でいうと、おもしろかったです。こうやって赤ちゃんの栄養になっていくのか、と。神秘的な気持ちになりました。

――ファッションに対する気持ちやセレクトするものに変化などはありましたか。

押切 妊娠中は、お腹のラインがわかるような、ピタッとした服を着るのが楽しかったです。限られた期間しか着られないからと、積極的に選んでいました。日々の自分の体の変化を嬉しく受け止められて、幸せでしたね。

最近は、着心地がよくて、自分らしくいられる服ということに今まで以上にこだわっているかもしれません。でもそれは、AneCanを卒業して、結婚したころからの感覚かも。

モデル時代って、ファッションもそうですけど、ヘアもメイクも、プロフェッショナルな方々が「もえっぽいのはコレ」「今流行ってるのはコレ」というものを与えてくれていたんですよね。私は毎日、撮影スタジオに行って、メイクルームに座っていればキレイに仕上げてもらえたし、服も選んでもらったものを着ればよかった。自分で考えなくてもいい立場だったんです。当時、プライベートでは真逆なテイストのアイテムを着るということもあったんですが、それは言ってみれば反動みたいなもの。本当に自分は何が好きなんだろうと深く考えたり、直感を信じたり、自分にちゃんと向き合いながら……ができるようになったのは、最近なんですよね。

――その変化はママになったからということも関係しているんでしょうか

押切 うーん、どうでしょう。単純に、長く在籍していた雑誌を卒業して、結婚して……とライフスタイルが変わったからということもあると思います。あと、最近では、小説だけでなく絵を描くことにも興味が高まっているんですが、慣れない育児で時間的には余裕がないことも多々ですが、だからこそ「自分の心の声に耳を澄ます」ということを意識していて、それが習慣になってきたからかもしれません。

――なるほど~。

押切 あと、思い当たることと言えば……、そう、今、3冊目の小説の準備中なんです。妊娠中に書き終えるつもりで準備していたものなんですが、なかなか進まなくて(笑)。それで、出産後に書こうって気持ちを切り替えて、しまっておいたんです。

でも、いざ、構想ノートを見ながら改めて書き出そうと思ったら、なんとなくピンとこなくて。当時思っていたことが、今は、なんだか違う……と感じてしまうんです。1年も経っていない「近い過去」の私が考えたことに、今の私が共感できないという感覚は、ある意味では納得なんですよね。それで、今は、まったく別の、今、自分が描きたい新しいストーリーを練っているところです。

人の気持ちや考えって、生活の変化によって変わるんですね。もちろん、その軸はブレないけれど、好きとか嫌いとか、居心地がいいとか幸せの置き場は変わる。だからこそ、その変化に自分が気付いてあげられるのは大切なことなんじゃないかなと思います。

今回、『永遠とは違う一日』の文庫化にあたっても、かなり加筆修正をしました。書籍化されたのは2016年で2年前ですが、文庫用に読み直しながら校閲をかけていると、当時の自分はこんな書き方をしていたんだなぁと懐かしくもあり、照れくさいところもあり……(笑)。単行本で読んでくださった方は、ぜひ文庫本も手に取っていただいて、違いも楽しんでもらえたらと思います。

永遠とは違う一日カバー

『永遠とは違う一日』押切もえ/新潮文庫 590円(税別)

(撮影/黒石あみ 取材/簗場久美子)