■「推しの卒業」って、どんな気持ち?アイドルオタクに聞いてみた!
推しの卒業。
はい、そこのあなた、ビクッとしましたね? トラウマをお持ちですね?
そう、アイドルオタクにとって、常に隣り合わせなのが、推しとの別れ。「いつも応援してくださっている皆様へ」というタイトルのブログ更新があった時なんて、もう、心臓が止まりそうです。
アイドルオタクの人は、「推しが卒業する」と知ったときにどういった気持ちになるのでしょうか。今回は、アイドルを愛してやまない方々に、推しが卒業したときの心境を聞いてみました。
■時が止まる
「『え……』という表情のまま、固まりました」
月並みな表現ですが、まず最初はこれだそうです。周囲のあらゆる音が遠くに聞こえ、視界も一瞬、ぼやけていきます。全てが止まるあの瞬間。ファンの間では、卒業が発表された日付を口に出すだけで、「あの日か…」と、全てを分かりあい、当時抱いた感情を共有してしまいます。持っているものを落としそうになるということも、ベタですが本当にあるんですね……。
「あの日以来、僕の時計は凍り付いたままです。」
受け入れることが出来ない限り、このように詩人のような言葉を口にしながら、空にため息を溶かす日々が続くのです。
乗り越えるということは、なかったことにすること。これは出来ません。ならばせめて、受け入れるための努力をしていくしかないのです。
■ひたすらに放心
「その日は電柱に三回激突しました」
この日の車の運転は非常に危険です。冗談抜きで、人を轢きそうになります。というより、外出全般が危険です。気持ちは完全に卒業の発表に持って行かれてしまっているので、抜け殻としか言いようがありません。
アイドルファンの知人は、「だめだ。体が動かない」という連絡が来たっきり、音信不通になりました。体は元気でも、心が死んでしまうのです。この状態のファンに何を話しかけても、「あぁ…」しか答えられません。
■自然と涙が出てくる
「気がついたら嗚咽していた」
「悲しい」「寂しい」という感情を知覚するより先に、身体が反応してしまうのですね。とめどなく流れ出る涙に、自分でも驚いてしまいます。
もうこうなってしまっては、あらゆる物事がトリガーとなって、涙に結びつきます。卒業するアイドルにメンバーカラーが設定されているなら、その色を目にしただけで視界がにじみます。
その色を見ると悲しくなると分かっているのに、知らず知らずのうちに視界の端にその色を求める自分がいます。
そして、その色が二度とメンバーには戻ってこないことを自覚し、再び涙するのです。
以前にとあるアイドルが卒業を発表し、そのファンを慰めるために一緒に飲みに行った日がありました。
しかし、彼はそのアイドルのメンバーカラーであった緑色を見るたびに嗚咽する体質になってしまっており、サラダを見ては泣き、モヒートに入っているミントを見ては泣き、たまたまその日に着ていた自分の緑色のシャツを見るたびに泣いていました。
また、店内にかかっていた有線を聞きながら、「今はあらゆる歌詞がしみる」と泣き崩れていました。
■虚無
「喜怒哀楽、どれでもない顔をしていると言われた」
無。ただただ、無。自分って、こんなに綺麗な真顔が出来たんだ……と驚くぐらいに、何の感情も表に出てこなくなるのだそうです。あと、「え、老けた?」と聞かれます。
「そういえば、あの子辞めちゃったね」なんて話を振られようものなら、その瞬間に表情筋が機能しなくなります。
■ちょっと怒る
「どうして裏切るようなことをしたんだ!という気持ちは、ちょっとだけあります」
落ち着いてくると、「どうして」という思いが、だんだんと怒りに変わることもあります。ただ、これは嫌いになるというより、ショックの落ち着かせどころとして「怒り」という感情に一時的になっている部分が大きいと思います。かつては愛してやまなかった推しに対して、怒りを覚えてしまっている自分に気づいたとき、再びショックを受けてしまうのです。
■でもやっぱり、推しの幸せを願う
「最終的に、それが本人の判断ならしょうがないと思います」
どういう事情があるにせよ、事務所や本人が「それが一番」と判断した結果なら、受け入れるしかありません。
推しの幸せは、ファンの幸せ。この世界のどこかで、健やかに生きてさえいてくれればと願うファン心理、健気です。
様々な想いが去来する瞬間。アイドルを応援する以上、心のどこかで覚悟しておかなければいけない瞬間。それでも、いざその瞬間が訪れたときの衝撃は、はかりしれません。今ある推しを大切に。今推せる奇跡を大切に。(あまみず)
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