久保田利伸、30年すべての現場に、必ずいたのは僕だけ。【インタビュー 後半】

久保田利伸,コラボレーションアルバム,THE BADDEST,デビュー30周年

デビュー30周年を迎えた久保田利伸さんロングインタビューの後半をお届けします。前半では11月23日に特別企画第2弾として初のコラボレーション・アルバム「THE BADDEST~Collaboration~」や30周年を迎えた気持ち、気分転換にしていることなどをお届けしました。後半は、意外な人とコラボレーションをしたことなど、人をテーマにお届けします。

Woman Insight(以下、WI) 前半、30周年続けられたこととして、“運”を挙げてらっしゃいましたが、誰に出会うかは、重要ですよね。
久保田利伸(以下、久保田) “出会い”も大事なんですが、“相性”もあるし“理解してくれる”というのも重要だと思います。仕事で長く付き合う人以外にも、1度しか会わなかった人でも良いことを言ってくれます。また、僕は、知らない人とたくさん会うので、悪い奴とか悪い癖の人を反面教師だと“体”で感じます。それはいい経験があったからなんだと思いました。

WI アーティストとして、ほかのアーティストの皆さんと、レコーディング以外でフェスでの共演もあります。刺激になりますか?
久保田 曲としてやる場合は、相手がいることで歌い始めるまで何があるかわからない。初めての曲を歌いあうのは、何がくるのかわからないワクワク感ですね。相手が予想以上に上手かったり、予想を超えた癖があったりなので、それだけでもコラボレーションレコーディングは楽しいし、刺激になります。

WI ライブだと?
久保田 皆さんは「ライブのほうがなにが起こるかわからない」と思うと思いますが、ライブはリハーサルをやるんです。その時に相手の癖がわかったりするので、こう出てくるとわかっていて、しかもオーディエンスもいる。楽しさが増しますね。セッションよりも“予想した”楽しみがありますね。

WI アルバムの中に、小泉今日子さんが入っているのに驚きました。
久保田 この流れでは意外ですよね。“この人とやりたい”と同時に、やりたい音楽のために知人にお願いすることもあります。小泉さんはポエトリーリーディングという音楽をバックに“詩を語る”というスタイルがアメリカでブームになったことがあるんですが、それをやりたいと思ったときに甘えちゃった感じです(笑)。

WI 小泉さんは、友人のひとりなんですね。
久保田 昔からファンでもあるんですが、時々会う人なんです。行きつけの飲み屋が一緒だったり10年以上前に、「俺のミュージック・ビデオ出てくれない?」って言ったら出てくれて。僕がデビュー前に彼女に曲を書いているので、おかげさまで良い関係が続いています。

WI では改めて、出来上がったアルバムを聞いていかがですか?
久保田 いろいろな人とコラボレーションしてきたんだと思いました。「バラードをデュエットしたな」とか、「ラッパーとやったな」とか改めて思います。また、レコーディングした時の状況や気持ちも思い出します。僕だけなんですよね、すべての曲の制作現場にいたのは。

WI そうですね! 30年すべての現場に、必ず久保田さんはいらっしゃいました。
久保田 そう。日本もアメリカもすべての現場にいたのは俺しかいない。曲を聞くと相手もスタジオも経緯も“絵”として思い出せるんですよ。相手のいることで具体的なんだと思いました。ひとりだと記憶をたどっても、どこの曲だったか、時代もあやふやなんですよね。