北条かやが語る、現代の結婚「もっと、結婚から自由になっていい」

20代も半ばになれば、Facebookでの結婚報告ラッシュが始まり、既婚者となった友人や親からは、「そろそろ結婚しないの?」という声が飛ぶ。
いつかは結婚したいと思ってる、でも今じゃない、でも今の相手じゃない……。

 

その昔、女性は25歳を過ぎたらどんどん安売りされていく、という意味の「クリスマスケーキ」という言葉がありました。
2010年の国勢調査では、20代後半女性の6割、30代前半女でも3人に1人が、今まで1度も結婚したことがないとされています。中でも東京などの都市部では、女性の未婚化・非婚化が、特に強い傾向となっています。

 

そんな「結婚しない」現代女性たちの女心をひも解いたのが、北条かやさんの『本当は結婚したくないのだ症候群』

Woman Insightは、北条さんに現代女性の結婚、「モテ」や「愛され」の問題についての独占インタビューを実施。「あぁ、わかる……」とうなずく女性たちも、「えっ、そうなの!?」と驚く人もいることでしょう。
現代女性のリアル、とくとご覧ください。

北条かやさん

◆「自由」な時代に「自由ではない」ことを選ぶ女性たち

Woman Insight編集部(以下、WI) 『本当は結婚したくないのだ症候群』、拝読しました。統計データや女性たちへの独自インタビューに基づき、現代女性の「結婚」についてをひも解いたこの一冊ですが、この本を作り上げる中で、改めて北条さんが「結婚」について思ったこと、考えを強めたことなどを教えてください。

北条かやさん(以下、北条) 結婚も出産も「自由」が最も上に来るべき価値観であることです。そして、両者の合意で結婚していいですよ、という「結婚の自由」がしっかりとあるにも関わらず、女性たちは、何かと世間の目を気にしてしまって「自由ではない」ところに生きていると、改めて感じました。

 

WI その「自由」とは、具体的に何を指しますか?

北条 産む産まないの選択、どんな伴侶を選ぶか、ということも含め、生き方にまつわるすべての自由です。この本を書くにあたり、さまざまな属性の女性たちに話をうかがっていると、結婚相手について親に圧力をかけられたり、好きな人がいても本当にこの人でいいのかと見定めてしまったり。他にも、相手の男性が煮え切らず悩んでいる、という方がいて、そこで女性側から「結婚しようよ」と言う自由もあるのに、なんとなく「結婚は男性側から切り出してもらわないといけない」という考えがあってできなかったりと、自分から「自由ではない」ことを選択してしまっているパターンが多いな、と思います。

 

WI それは最近の傾向なのでしょうか?

北条 そうですね、2000年代後半から特にその傾向が強まっているように感じます。たとえば歴史を振り返ると、1980年代のバブルの時代には、林真理子さんのように「自由に生きていきたいんだ」と主張していた女性エッセイストの方がたくさんいて、当時の女性たちから人気でした。そういう方のおかげもあって「ある程度独身の期間が長くなってもいいよ」という風潮ができて、選択肢が広がって女性の自由は拡大してきたはずなのに……今の女性たちはまったく自由そうではないし、むしろ保守的に向かっています。だから、改めてまた声を大にして「自由にしていいんだよ」と言う必要がある、と思っています。

 

WI どうして一度自由の方向に向かった女性たちが、また保守的に揺り戻ってしまったと思われますか?

北条 2007〜2008年頃に「婚活」という概念ができ、流行語大賞にノミネートされるほど爆発的に広まったことは大きいと思います。この例えが適正かはわかりませんが、たとえば「メンヘラ」という概念ができてしまうと「あいつはメンヘラだ」とくくられて、どんどん「メンヘラっぽい行動や性格」の人が増えていき、実在の現象として広まっていきますよね。

 

WI 「リア充」と「非リア充」などもそういう特性がありそうですね。この「婚活」という概念が現れたことにより、どのようなことが起きたのでしょうか。

北条 婚活という言葉ができると同時に、「婚活する」という行動ができました。そうすると、これまで確実にいた「独身で楽しい!」という層さえも、婚活ブームによって「結婚に関して、焦ってるふりをしなくちゃ」という風に、思考と行動を変えざるをえなくなった人が多いのでは、と感じます。

 

WI ……すごくよくわかります、実際は別に今は結婚しなくてもいいんですけど、そう言うと、理由を突っ込まれてむしろ面倒なので、結婚したいことにしてみたり……。

北条 そうですよね。特に20代後半になると、結婚について焦ってるふりをしないと、コミュニケーションが取れなくなる、というパターンも多いと思います。名字を変えたくないとか、家と家の結びつきが嫌だとか、そういった「今の結婚制度では結婚したくない」とか、本当は「今は」結婚したくない、何となく今の彼では嫌だ、という方もたくさんいるはずです。それを今回のタイトル『本当は結婚したくないのだ症候群』に込めました。今の婚活ブームって、今の結婚制度に不満があろうがなかろうが、うわーっとその「結婚」システムに押し掛けないといけない、という雰囲気がありますよね、あれがなんだかイヤだな……と思っていて。20代後半くらいの女子会って、絶対結婚の話が出ませんか?

 

WI 一般的な女子会だとまず間違いなく出ますね。私はアイドルが好きなので、アイドルオタク同士の集いだと20代後半女子であろうがなんだろうが、結婚の話は出ませんが、そうじゃない普通の友人の集いだと、ほぼほぼ結婚の話になります。

北条 そういう風に、共通の趣味がある人の集いや、もしくは仕事の話ができる人など、他に共通の目的や話題があると結婚の話をしなくていいから楽なんですけど、そうじゃないと、誰もの共通の話題である「結婚」話に行き着きますよね。私が最初に勤めた会社は、結婚すると、社内イントラのお知らせコーナーに結婚した社員の名前が出たんですよ 。

 

WI えっ、それは社内結婚だけでなく……?

北条 相手が社内でも社外でも関係なく、全員です。結婚するとお祝い金がある企業だったので、その関係もあると思いますが、経理部の何何さんが入籍されました……と。お昼のときの話題も、今の彼氏がどうだとか、結婚がどうだとか、そういう話がほとんど。「私は必死で仕事のことを考えているのに、みんなのんきだな」と思ってしまう自分もイヤだなって……。他にも定年間際のおじさん社員に、「君たちは未来があっていいな、結婚相手は重要だから、こんな自分みたいなおじさんと結婚しちゃダメだぞ」と、毎日結婚や出世にまつわる自虐ネタを聞かされたりもしていました。結婚の話題しか出ないのって、他に共通のネタがないからなんですよね。

 

WI 本当に象徴的なお話ですね。結婚って老若男女、ほぼ100%共通の話題になりえますからね……。

北条 女子会で近況報告をするときにプライベートの話をする、となったら、ほとんど恋愛や結婚の話ですよね。私はそういう場に行かなくなって久しいんですが、彼氏のスペックを比べたりって……今でも、しているんですかね。ごはんを食べに行ったりして、そういう女子会の集団が近くにいると、変な磁場を発していたりしませんか?

 

WI カフェで隣の席が近かったりするとうっかり聞いちゃったりするんですけど……なんか、このふたりの女性は本当に仲いいのかな? って会話をしているのが聞こえますね。

北条 わかりますわかります(笑)。たとえばマルイに入っているようなカフェに行くと、女子が多くて、隣の席の会話が聞こえてきちゃったりすると、たいてい恋愛や結婚の話、ですよね。

 

後編では引き続き、「実は、披露宴をしない人が半数」「モテ服の変化」などなど、気になるトピックについてうかがっていきます。(後藤香織)

★後編はコチラをクリック!

 

表紙

『本当は結婚したくないのだ症候群』
北条かや 著/青春出版社
1,300円+税

 

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