ロンドン留学で得たこと「自分たちがいちばん音楽で救われている」【WEAVERインタビュー】

Woman Insight編集部(以下、WI) 先ほどロンドンの話が出たので、留学中の話を聞きたいのですが、何がきっかけで留学しようと思ったのですか?

杉本 数年前から海外でライブする機会が増えていて、音楽以外でもコミュニケーションをとりたいなと思い、各自で勉強していたんです。だけどロンドンに行く1年前の春、ツアーをひとつ終えたころ、翌年結成から5周年を迎えるというタイミングで、3人の中にどこか行き詰っている感覚があったんです。どう打ち破っていったらいいんだろうと考えた結果、いままでやっていないこと……思い切ってロンドンに行ってみたらいいんじゃないかという話になりました。普通だったら、日本で活動ができなくなるので不安ですよね。だけど3人の中で、そのロンドンで「WEAVERがいい方向に変われる」と、そんな気がしたんです。期待のほうが強くて、ロンドンで語学を勉強しながら、自分たちの音楽を変えていきたいという思いで、留学を決めました。

 

WI 留学してみて、どういった部分に大きく影響しましたか?

杉本 向こうの人たちの意志の強さとか、自分が好きなことを貫いてやっている……そういった部分は、当時の自分たちが見失いかけていたところでもあったので、WEAVERがやっている音楽への信念や意志の持ち方を貫く強さは、ロンドンに行って得たことですね。それと、ロンドンでいろんなミュージシャンとスタジオに入ることで、僕たちがやってこなかったジャンルの音楽も開き直ってやることができたし、そこから新しいプレイスタイル身につけられたような気がします。

 

WI ロンドンでは3人一緒に住んでいたのですか?

河邉 語学学校もバラバラ、生活も別で暮らしていました。海外の文化に慣れるため、いろんな人に出逢うためにも、一緒じゃないほうがいいんじゃないかと思ったので。ただ、週に2回はスタジオに入って音を出していたので、まったく会わなかったわけではなかったです。結果的に、それぞれの生活ができて幅が広がったし、語学上達の面でいちばんよかったと思います。

WEAVER,杉本雄治,奥野翔太,河邉徹

WI 高校から10年以上も一緒にいますが、3人が共有している思い出の中でいちばん楽しかった記憶は?

奥野 やっぱり学生のときかな。僕たちの高校に軽音楽部がなくて、思いきり音を鳴らせる場所がなかったんです。そういう環境で、街のスタジオを借りて音を出すだけで楽しかったですね。夏休みに、スタジオがついた旅館で2泊3日ぐらい過ごしたのは、いまも楽しかった思い出として残ってるし、当時は音を鳴らせるだけで幸せでした。

 

WI ただ純粋に音楽を楽しんでいたころですね。

奥野 実は、ロンドンに留学したとき、楽器がなかなか届かなくて弾きたいのに弾けなかった日が続いたことがありました。留学を始めて1か月ぐらい経ってからスタジオに入り、3人で音を出したんですけど、そのとき、高校のときにカバーしていた曲をやったりして(笑)。高校のころに戻ったような、純粋な気持ちで、スタジオで音を鳴らすことの楽しさを実感した瞬間でしたね。バンドを始めて5~6年経ったころ「なんで音楽をやっているんだろう」と考えたり、音楽をやっていても楽しくないと思う時期もあったんです。でもロンドン留学を経て、自分たちには音楽しかない、音楽で人を幸せにしたい、そして何より、自分たちがいちばん音楽で救われているんだと気づかされた気がします。