方向性を見失ったC級アイドル、最後の賭けとは?劇プレ第10回公演

ストーリーの中心は、5人組のB級……というよりC級よりのアイドル「東京オードル」のお話。デビューして10年、何度も名前を変えてデビューを繰り返し、年齢も30歳を過ぎて完全に方向性を見失い、潮時と考えていました。そんなとき、彼らと苦楽を共にしてきた事務所の社長兼マネージャーの提案で、“最後の賭け”に出ることに。

「10年」という月日、それ以外にも随所に感じられる「劇団プレステージ」との共通点。猪塚さんも「自分たちの境遇に近くて、ズシンとくることも多い」と話していましたが、実は、演じている側だけでなく、“誰かのファンである(またはファンだった経験がある)”という観ている側の人たちにとっても、ちょと胸を突かれる……いやエグられる(?)部分が……。

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こう書くと、重い話のように思われてしまいそうですが、そんなことはありません。ただ、さっきまで声を出して笑っていたのに、急にやってくる涙のトラップがあるという感じ。遊園地でアトラクションに乗っているようなドキドキと面白さと、そしてパレードを観て感動するような瞬間が散りばめられています。

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だから、正直、1回観ただけでは物足りない! 19人が入れ代わり立ち代わり(なかには役を変えて)登場し、話の展開もテンポがいい。

そして過去の思い出と現在の葛藤の中、あらゆる感情に揺さぶられる。そんなふうにしていると、ついうっかり見逃しているシーンもあるんじゃないかと思ってしまいます。

それに、舞台は“ナマモノ”ですから、ハプニングやアドリブで、観に行くたびに違った彼らに出逢えてしまうのでは?と。