会見の後に行われた完成披露試写会の舞台あいさつでは、監督から「佐藤さんは、スタッフ全員の名前を覚え、座長として現場を考えていました。お父さん(三國連太郎さん)は自分のことしか考えない迷惑な役者で(笑)。でも似ている瞬間もあってそろそろ二代目・三國連太郎を襲名しても」と会場を沸かせました。
『釣りバカ日誌』シリーズでもメガフォンを取った監督の発言に、それまでクールだった佐藤さんも堪らず「勘弁してください」と苦笑いしていました。続いて監督は樋口さんについて「いつもゲラゲラ笑っている明るいおばさんでした(笑)。ナイーブな役柄を『女優はやる気になったらやるのよ』としっかりと務めてくれました」と語り、その横で樋口さんがゲラゲラと笑っている姿が印象的でした。
杉咲さんの恋人役を演じた野村さんが「自然体で場をなごませてくれる。妹みたいで彼女というのを忘れていました」と語ると、「同じです。お兄ちゃんみたいに接してくれて、『恋人としての距離感を大切にしたいから』と気さくに話しかけてくれて」と杉咲さん。その姿を見つめる樋口さんの心配そうな顔が印象的でした。
最後に監督より「プロデューサーより声をかけていただいて4年以上の時間が経ってしまいました。アメリカの小説を日本に置きかえたり、主人公の年齢を若くしたり、息子を娘に書きかえたり、いまの脚本の形ができたのも2年前。僕のなかで脚本を2年間あたためた作品は初めてです。登場人物に過剰に感情移入をしてしまいましたが、キャストの方が素晴らしく演じてくれました。彼らを愛していただければ、幸せな期間だったと思います。地味な映画ですので、足を運んでいただけるだけでもありがたいです」と締めくくりました。