第一印象は最悪!? 直木賞作家・西 加奈子と『サラバ!』担当編集、出会い秘話

 これはもう西さんにも100万回くらいネタにしていただいてますけど……。最初に会ったときに、リラックスさせるつもりで「詐欺じゃないですよ、大丈夫ですから」って言ったら、逆に本当に怪しまれてしまいました(笑)。そもそも僕の名前は「石川和男」という、昭和初期的な名前で。しかも会社の名刺がシンプルなので、「これ、クイック名刺ちゃうん!?」「この人、ホントに詐欺っぽい」と思われたらしいです。しかも、編集者だったら「ここをもっとこうしましょう」みたいな話をしそうなイメージがあるのに、僕はその場で「本にしましょう」という話から切り出しまして。

WI それは、たしかにかなり嘘っぽいですね……。

 当時西さんは、「就職が決まった」とお母さんに嘘をついて、原稿だけ持って大阪から上京されてきていたんですけど、その話があった後で初めてお母さんに電話をして、実は東京に来ていて、こういう編集者に会ったという話をされたそうです。お母さんも、あんた、お金渡してへんやろな!となったそうで(笑)。西さんのお母さん、当時のメモを今でも持っていて、よっぽど訝しかったのか、私の名前にペンでぐるぐる何重にも囲みがされているそうです(笑)。

そんな際どい!? 初対面を果たしたふたりの、「10年愛」の結晶ともいえる『サラバ!』。次回は石川さんが見た、その誕生エピソードに迫ります!(五十嵐ミワ)

 

cover『サラバ!』西 加奈子/著(小学館/1,600円+税)

http://www.shogakukan.co.jp/pr/saraba/

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