石 これはもう西さんにも100万回くらいネタにしていただいてますけど……。最初に会ったときに、リラックスさせるつもりで「詐欺じゃないですよ、大丈夫ですから」って言ったら、逆に本当に怪しまれてしまいました(笑)。そもそも僕の名前は「石川和男」という、昭和初期的な名前で。しかも会社の名刺がシンプルなので、「これ、クイック名刺ちゃうん!?」「この人、ホントに詐欺っぽい」と思われたらしいです。しかも、編集者だったら「ここをもっとこうしましょう」みたいな話をしそうなイメージがあるのに、僕はその場で「本にしましょう」という話から切り出しまして。
WI それは、たしかにかなり嘘っぽいですね……。
石 当時西さんは、「就職が決まった」とお母さんに嘘をついて、原稿だけ持って大阪から上京されてきていたんですけど、その話があった後で初めてお母さんに電話をして、実は東京に来ていて、こういう編集者に会ったという話をされたそうです。お母さんも、あんた、お金渡してへんやろな!となったそうで(笑)。西さんのお母さん、当時のメモを今でも持っていて、よっぽど訝しかったのか、私の名前にペンでぐるぐる何重にも囲みがされているそうです(笑)。
そんな際どい!? 初対面を果たしたふたりの、「10年愛」の結晶ともいえる『サラバ!』。次回は石川さんが見た、その誕生エピソードに迫ります!(五十嵐ミワ)
http://www.shogakukan.co.jp/pr/saraba/
【西加奈子さんインタビュー】
★【祝!直木賞】西加奈子に聞く、5%の喜びが支えた「サラバ!」誕生秘話
★【祝!直木賞】「作家になる気はなかった」西加奈子、ずっとなりたかった職業とは?
★【祝!直木賞】「普通でずるい人間だった」西加奈子が作家生活で得たもの、変わったこと
★【祝!直木賞】作家・西加奈子が「人生で唯一後悔していること」とは?
【あわせて読みたい】
※【独占インタビュー】人気マンガ家・東村アキコ、衝撃の素顔…着物とキッチンが○○だった!
※新コミック誌『ヒバナ』編集長が発刊の舞台裏を激白「今までの小学館にはない雑誌を!」
※竹宮惠子×内田樹が語る!「天才が感染する」オープンソースの効用とは?