アパートやマンションでよく使われる「コーポ」「ハイツ」「メゾン」って基準はあるの?
アパートやマンションの名前って、本当にさまざまなものがありますよね。
わかりやすく「○○マンション」「○○ハウス」と名付けられているものもある一方で「○○コーポ」「○○ハイツ」「メゾン○○」……などなど、一度は耳にしたことがあるけれど、よく意味がわからないものも多数。「そういえば、これって何か名付けられる基準ってあるの?」「どういう語源なの?」と気になるところです。
そんなふと気になる「アパート・マンションの名前の基準や語源」について、旭化成マンション建替え研究所にうかがいました。
Q.マンションやアパート名によく使われている「コーポ」「ハイツ」「メゾン」って、何か基準や違いはあるのでしょうか?
実は……明確な基準はありません!
この名称を使用する上で何か区別やルールがあるものではありません。ネーミングの一環であり、建物のオーナーさんや販売者が自由に決めて良いものです。
それぞれの語源はこちら。
コーポ:英語のcorporative house(コーポラティブハウス)、corporate house(コーポレートハウス)からきている和製英語。「共同住宅」(複数名でひとつの建物の権利を所有する)という意味です。
ハイツ:こちらも英語の「heights」。意味は「高台」です。
メゾン:こちらはフランス語の「maison」から。意味は「家」です。
他にはヴィラ(イタリア語・別荘)、シャトー(フランス語・城)、ハイム(ドイツ語・家)、カーサ(スペイン語・家)、コート(英語・邸宅)、パレス(英語・宮殿)などもよく使われます。
建築したオーナーの思い入れや、建物への愛情を感じる名前、入居者や購入者への愛を感じる名前が多いように感じます。
このように海外のネーミングが使われることが多いのは、日本より古く集合住宅の歴史を持つアメリカに影響を受けているためです。たとえば、民間の分譲マンションが日本で初めて誕生したのは1956年に新宿区内に建った「四谷コーポラス」というマンション。アメリカのコーポラティブハウスの形式を取り入れたことからこのように名付けられました。
その後、1960年に「マンション」という名称が誕生し、「大型の分譲集合住宅」の意味で使われることが多くなりました。しかし、2000年前後から、「マンション風に見える賃貸の集合住宅」も「マンション」とネーミングするケースも出てきており、時代によって変化してしまうくらいゆるいものです。
なお、特にバブル期には、「カーサ」「エステート」等他との差別性をつけるために、名称に工夫をした物件も多くあるようです。
また、「半径数百m以内に同じ名前の物件がかぶってはいけない」などのルールも実は特に定められてはいないので、世の中にはごく近隣に同じ名前の物件がある可能性はあります。
(もちろん、同じ名前のものがすでに存在していないかどうかは地図やネットなどで事前に調査いたしますが……)
ちなみに、カタカナ部分はゆるい一方で、これまたマンション名に入ってくることが多い「地名」は「最寄り駅から直線距離○km以内なら使用可」「ただし、ある単語を入れればOKなど若干逃げ道がある」などなど、複雑なルールがあるそう(ここでは割愛)。
普段なにげなく見ているマンション名も、実はオーナーのさまざまな考えが詰め込まれているはず。じっくり観察してみたら楽しそうです♪(後藤香織)
取材協力/旭化成マンション建替え研究所