尾上寛之×玉置玲央×青柳文子の「初恋」の話

長塚圭史さんの戯曲『イヌの日』が、2000年の初演、2006年のリメイク上演を経て、2016年夏、松居大悟さん演出で新たによみがえります。

本作は、小学校の初恋の女の子を、15年間“防空壕”に監禁する物語。

Woman Insight編集部では、物語の中心となる、尾上寛之さん、玉置玲央さん、青柳文子さんにインタビュー。監禁をする男─尾上さん、監禁をされる女─青柳さん、監禁を任される男─玉置さんと、舞台上では奇妙な関係の3人に、作品のことから自身の“初恋”のことまで聞いてみました。

舞台,イヌの日,尾上寛之,玉置玲央,青柳文子

(写真左から:尾上寛之さん、青柳文子さん、玉置玲央さん)

>【前編監禁をする男、される女、任される男…舞台「イヌの日」キャスト放談

 

Woman Insight編集部(以下、WI) ところで「初恋」がひとつのカギになっていますが、みなさんは自身の初恋を覚えてますか?

玉置玲央さん(以下、玉置) 覚えてます……幼稚園の先生。テンプレ(笑)。でも当時ちゃんと初恋と自覚していたのは、小学1年のころかも。

尾上寛之さん(以下、尾上) 早いね。俺は4、5年のころ、すごく好きな子がいました。当時はそれが“恋”かどうかわからなかったんですけど、気になって気になって。それでちょっかいを出しすぎて、相手にすごく嫌がられたというさみしい思い出が(笑)。好きっていうその感情を、相手にどう表現すればいいかわからなくて嫌われるようなことをしてしまってました。どういうふうに接したらよかったんですかね。

青柳文子さん(以下、青柳) 私もちょっかいされる側だったから、「私のことを好きだって言ってたけど、なんでいじめてくるの?」って思ってました。……でも、嫌いだったかも。そういうことをしてくる男の子。

尾上 やっぱりそうかぁ……。

青柳 私が好きだったのは、クラスの目立つ子。レンジャーでいう“赤”みたいな存在。だけどやっぱり、その子にはいじめられてましたね(笑)。小突かれたり(笑)。

玉置 ヤギはやっぱり魔性の女か(笑)。

青柳 だけど、そういうことをする人って、大人になっても変わらなくないですか? 素直じゃなくて、意地悪言っちゃうみたいな感じ。

玉置  あるなぁ……僕もいまだに好きな子は、いじっちゃうタイプ(笑)。大人になって倫理観を手に入れたので、「殴ったら痛い、こう言ったら傷つく」というのはわかったので、それを回避しつつ、それじゃない方法でいじってるかも(笑)。

尾上 僕はけっこう積極的かな。とにかく誘って、ふたりでいる時間を作るために積極的になるタイプですね。

青柳 積極的なの、いいですね。

尾上 だって人を好きになるって、すごくいいことじゃないですか。好きになってもらうために頑張ろう!って、自分も輝けるし。

玉置 人生の張り合いにもなるしね。

尾上 しようよ、恋!!

(全員笑)

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WI 青柳さんは恋をしたら積極的なほうですか?

青柳 消極的で自分からはいけないですけど、周りにけっこうバレちゃいます(笑)。何も言ってないし、「好きじゃない」って態度をしてるのに。好きという感じを出してるつもりはないけど、相手にバレてることもありますね。

尾上 だけど、好きな人の近くにいたら嬉しいでしょ。だからみんなその感情が多少なりとも出てると思うけど……周りや相手にもバレるってことは、ヤギは人よりも出てるってことなんじゃない?(笑)

青柳 意識しすぎて、変に冷たくしちゃってるんだと思います(笑)。だから、そのわかりやすい態度のおかげで上手くときは上手くいきますね。言わなくても相手に気持ちが伝わるので。でもダメなときは気持ちが伝わる前に、玉砕って感じです。……はぁ、ヤダヤダ。早く結婚して落ち着きたいな(笑)。

尾上 一気に話が飛んだな(笑)。

 

WI 稽古中などで、お互いの気になる行動ってありました?

尾上 昨日、ヤギと最強(本折最強さとし)さんが話していたとき、悪いなぁと思いつつ、「最強さん、いまちょっと大丈夫ですか?」と声をかけたんです。その後、僕と最強さんが話していたら、ヤギが、手に持っていた明太子みたいな棒(小道具の野菜)を“ポーン”と投げてきたんですけど……あれはなんだったの?(笑)

青柳 なんだっけ?(笑) ああ! あのとき私、“菊沢”だったんです。休憩中だったけど、子どもごっこをしてたので「相手にしてもらえなかった~野菜飽きた~」って感じで、ポイッと投げてトイレに行っただけです(笑)。

尾上 そっか。でも謝っとくわ。ごめんな。

青柳 大丈夫です(笑)。

玉置 昨日のヤギは、けっこう菊沢モードだったよね。ある場面のエチュードやってるときも、急に入ってきて、なんか不思議な動きをしてたし(笑)。

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WI お芝居なのか素なのか、それはなかなか読めませんね(笑)。

青柳 私、演じる役のモードにずっと入ってないとお芝居ができないんです。だからこれからどんどん菊沢モードになっていくと思うし、なっていたいです。ただ、切り替えが上手くできないのが悩み(笑)。みなさんどうやって役づくりしているんだろうって、いつも思います。

玉置 僕は、自分と役をなんとか意識して切り替えてるって感じですね。それが意識しないでもできるようになったらいいのになって思いますけど。

青柳 レオさんは、広瀬とあまり差がない気がする。

尾上 でも、ある役を演じてると、自分も役のほうに寄せられていくことあるよね? 性格も変わっていくから、自分自身もよくわからなくなっちゃうんですよ。例えば、ごはん食べに行ったら「あれ、俺って何好きやったっけ?」みたいな。役を演じている期間はそうなりがちなので、さっきレオくんが言ってたみたいに、意識的に切り替えていかないとってやっぱり思いますね。

青柳 だけど私、最近発見したんですよ。空(くう)を見つめていると菊沢モードに入っていけるんです。空中に“見えない虫さん”を見つけるとスイッチが入る。

(全員笑)

WI なんだか青柳さん観察日記をつけたいですね(笑)。

尾上 それ本当に面白いと思いますよ(笑)。

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ある意味では、これ以上ないほどに純真で、その反面、残虐さも持ち合わせている。そんな子どもの心のまま、15年も経ってしまった大人たち。世間と断絶されている防空壕の中は、安息の地かはたまた……。真夏の下北沢で彼らが演じる『イヌの日』、本日(2016年8月10日)上演スタートです。(さとうのりこ)

舞台『イヌの日』
http://inunohi.wixsite.com/2016

2016年8月10日(水)~21日(日)@下北沢 ザ・スズナリ
高校を卒業後、進学も就職もせずに悪友たちと遊び暮らす広瀬幸司(玉置玲央)。ある夏の始め、仲間のひとりである中津正行(尾上寛之)からある仕事を頼まれる。それは、中津が留守にする間、「ある人たち」の面倒を見てくれというものだった。大金に釣られ安請け合いした広瀬だが、その「ある人たち」とは恐るべき状況下にある者たちだった──。
■作:長塚圭史
■演出:松居大悟
■出演:尾上寛之 玉置玲央 青柳文子 大窪人衛 目次立樹 川村紗也 菊池明明 松居大悟 本折最強さとし 村上 航
/加藤 葵 一色絢巳

 

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