「出産は、しんどかったです。」
「全然そんなことなかったよ、というお母さんも沢山いるかもしれない。」
「でも私には、涙が出るほどしんどかった。」
そんなまえがきから始まる、漫画があります。
女子が読んで面白い漫画を紹介していくウーマンインサイト女子マンガ部。連載第2弾は、はるな檸檬さんの描く出産エッセイ漫画「れもん、うむもん!―そして、ママになる―」(新潮社)です。
妊娠・出産〜マタニティブルーを乗り越えるまでの経験が、整った美しい線で丁寧に描かれています。四コマという形式で、同じサイズの画面で淡々とストーリーが進められていきますが、内容は壮絶。
出産後:「本当に辛い時 人はただ押し黙っているしかないのだと 私は初めて知りました」
授乳中:「胸が岩のように硬くなり これまた信じられないくらい超絶に痛い」
「その晩 私は 何年か振りに大声をあげて泣きました」
とにかく「えっ、出産ってこんなに大変なの……?」の連続で、なぜ世間ではこのようなつらさが広く理解されていないのか、なぜ出産は「素敵」「幸福」というイメージしかないのかと不思議になってしまいます。
その答えがこの漫画にあります。「出産直後のことは、つらすぎるから忘れてしまう」のです。
でも、そこではるなさんはこう決意します。
「このしんどさを忘れないまま 全部はっきり覚えたまま 2人目産みたいって思ってやるからな!!」
この言葉のとおり、「出産を経験したときどう感じたか」が、どのエピソードでも本当に詳しく描いてあります。作者・はるなさんの個人的な経験にもとづいているのですが、だからこそ誠実で、読んでいる人が出産している・していないに関わらず、強烈な共感を覚えます。
ちなみに、「子どもはそんなに好きじゃないな」という方にもおすすめ。「子どもをかわいがれるか不安」と思っていても、
「宇宙からやってきた未知の、でもものっっそい可愛い生物が家にいるしあわせ」
という気持ちになるそう。なんだかすごく納得できますよね。
出産のつらさ・痛さだけではなく、どうやっていろんな苦しい壁を乗り越えていったかも必見です。
最後に、まえがきにある言葉を紹介します。
「もし誰かが肩を抱いて、しんどいよねって、ただ横にいて、一緒に泣いてくれたとしたら、それだけできっと、前を向けていたと思う。」
言葉のとおり、優しく寄り添ってくれるような漫画です。
(たきたて玄米)
『れもん、うむもん!』
はるな檸檬 864円(新潮社)
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