WI:ほかに、ヒットした企画はありましたか?
鈴木:秋号では、「紳士の妄想世界旅行コーディネート」がとても話題になりました。男って、いつだって妄想が必要なんです。今ではもう会えなくなってしまった昔の有名な作家に会いに行ったり、イギリス統治下だったマフィアが集まる昔の香港だったり、「ありえない時代の、ありえない場所に出掛けたい!」という男のロマンが詰まった妄想を散りばめて、それに合うコーディネートを提案しました。
WI:発想がまた面白いですね!
鈴木:ジャケットなどアイテムをカタログのように紹介するファッション誌が多いなか、同じようなことをやっていては個性がないですよね。それよりは、すごく狭くても、その中にしっかりと刺さる読者に向けて強烈なメッセージを発信する。これからの雑誌は、個性がないと生き残れないと思います。世界中で、この雑誌しかない、この一冊しかない、というものをこれからも作っていきたいです。
ちなみに、『MEN’S Precious』の紙質もこだわっているそうで、印刷にもとても時間をかけているそう。見せ場の静物カットは、今となっては雑誌撮影で当たり前になったデジタル撮影ではなく、カラーポジという時間のかかるフィルム撮影をしており「なぜかちょっとだけ滋味が出るんです」と鈴木編集長は話していました。
さて、次は高額商品を購入していく『MEN’S Precious』の読者層について伺っていきます。(松本美保)
『Precious』2015年冬号(小学館)
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