電車で1時間、海の近くへ。700円で行った「プチワーケーション」がお手軽で集中できて楽しかった話

コロナ禍をきっかけに「ワーケーション」という言葉を聞くようになりました。
ものすごく簡単に説明すると「work(仕事)」+「vacation(休暇)を組み合わせた造語。リゾート地をはじめとした旅行先で働くことで、リモートワークと気分転換をすることによる心身の健康を両立するというものです。

こういうやつ。

とはいえ。

経験者の方にお話を聞くと「本当にリフレッシュできていい」と言われ、試しに10月に行った旅行先にパソコンを持っていってみたものの、私の場合は「結局旅行先に行ったら普通に旅行したくなってしまって、思ったより全然やらなかった」「旅行先のいい感じのカフェはだいたい混んでいて、長時間パソコンを開いて仕事をするのが申し訳ない」ということが多発。

私のような意志よわよわの人は、

・誰も遊ぶのを止めてくれない「ひとりワーケーション」は心底向いていない
・1泊2日だと行きたい場所などをつめつめにしてしまうので、もう少し長期間じゃないとワーケーションは難しい
ということがわかりました。

試しに広島・宮島でやってみたときの図。目の前に工事中の例の鳥居が…

これです。ほんとに例の鳥居ど真ん前。やるべきことはちょっとやりましたが、結局仕事もそこそこに鹿を眺めに行ってしまいました。意志薄弱。

しかし。
そんな意志げきよわな私に、「かなりちょうどいい」ワーケーション的なものがありました。

それは「あるうっかりミス」で強制的に発生してしまったものでした。

 


 

 

「朝9時に横浜近辺の某駅集合」という、私にしてはそこそこ早い集合だったある日のこと。なんとか早起きして、時間に余裕をもって着く…はずだったのに、10年ぶりくらいに行ったその駅は、絶妙に出口が複雑。「絶対こっちだ」と思ったところから出ようとしたら、謎の通路に通され、「あれ?これどう考えても遠回りじゃないか?」という謎ルートで目指していた出口から路上に出た頃には、「この先の信号が全部青の場合ギリギリオンタイム、全部赤だった場合はほんのり2〜3分遅刻」という時間になっていて、焦りながらできる限りの競歩で集合場所へ。案の定一発目の信号が赤で引っ掛かり、もう最初に少し遅れるということをおそるおそる連絡しました。

私「本当にすみません!!!謎の出口から出てしまい2〜3分遅れます!」
仕事相手の方「え?明日だよ!」

……。

私「え?」

というわけでその瞬間朝9時、横浜駅近くの某駅でいきなりひとりで放り出された私。バカです。片道700円かかるのに。往復1400円くらいするのに。1400円もあれば結構いい感じのランチ1回食べられるのに。
ずっと「水曜日」と言われていたし手帳にも水曜のところにきちんと書かれていたのに、なぜ火曜日に行ったのか今でもわかりません。なんで?

どんなに自問自答したところでうっかり1日間違えてしまったという事実は変わりません。

「明日もあの時間に起きてまたあの電車に乗るんか…」と絶望的な気持ちになったものの「朝9時に横浜に来ることもそうないし、このまま何もせず帰るのもシャクだし、横浜エンジョイするか」という気持ちに無理矢理切り替え。

朝9時を少し過ぎたその駅は、出勤のピークタイムも終わったのか、あまり人がおらず、晴れた朝の澄んだ空気とともに歩けるのはちょっと楽しいかもしれないな、とお散歩開始。
とりあえず仕事でもするか、と、Google MAPで「カフェ wi-fi」と検索して歩き始めました。

観光スポットとして有名なみなとみらいエリア。3連休明けの火曜日の朝9時は、本当に驚くほど人が少なく、海辺の空気をほぼ独り占めしながら朝の散歩。あの赤レンガ倉庫でさえ本当に人がいない…(まだ営業時間前だから当たり前)。つい10分前まではいろいろな意味で絶望的な気持ちでしたが、「まぁ、これはこれで間違えるのが正解の運命だったのかもしれないな」と思うほどの心地よさ。
たっぷり朝の太陽を浴びながらウォーキングし、海に近い某施設のスターバックスへ到着。(いろいろ調べたのに朝9時は営業している店が少なく、結局スタバ)

 

せっかくなのでテラス席に座り、やるべき仕事を片付け始めます。(写真は撮り忘れました)
すると。

「……なんか妙に仕事が終わるぞ?」

不思議と、いつもの3倍速くらいで仕事が進みます。ずっと溜めてしまっていた仕事が次々ザクザク終わっていき「あれ? なんでこの仕事溜めてたんだっけ?」と不思議になるレベル。
1日日付を間違えたのに気づいたのと同じくらい「なんで?」という気持ちに。

「気分転換って、こんなに大事だったの?」

と、朝10時前のスタバで気付かされました。
本当に、いつもの3倍の速さで仕事が進む。頭は回り、ちょっとした作業も「面倒だな〜」と思うことなく次々終わっていく。自分でもよくわからないくらい「自分のメモリをフルで使い切れている」という感覚。

11時半になるとその某施設の無料テラス席が開放されるので、さくっとランチを食べてからそのテラス席へ。

スタバまだ飲み切れてなかった。

 

無料で、食べ物飲み物持ち込み自由で、海が見えて、(念の為セキュリティの問題もあるのでやる仕事内容は限られますが)無料wi-fiも使えて、天国か?という状態(私がさっきから「某施設」と伏せているのは快適すぎてあんまり教えたくないからです)。

私は東京在住なので横浜までの所要時間は約1時間程度で片道約700円、往復1500円かからないくらいですが、気分は完全にいわゆるワーケーション。ほぼ旅行先。ほぼバカンス。来ようと思えば比較的いつでも来られる横浜なので、旅行先で「結局遊びたくなっちゃう」という感情もそこまでなく、快適に心地よくバカンス気分で仕事ができる。

いつもと違う環境なのか、「なんか楽しい〜」という感情で心身が満ちあふれているからなのか、そのテラス席に移動してからも驚くくらい仕事が進んで、これまで「地味に時間がかかると思っていて後回ししていたこと」のいくつかがきれいに解決。

しかし、残念なのは、朝家を出た瞬間はまさかこんなプチワーケーションdayになるとは思っていなかったため、パソコンの電源を持ってきていなかったこと。電源が残り5%になったところで、帰りの電車内で急な対応をするかもしれない事態が起きることに備えて、後ろ髪引かれながらプチワーケーションは終了(ちなみにテラスはまったく満席になりませんでした)。感覚として、いつもの3日分くらいは仕事が進みました。

最後までほんとに全然人いなかった。

「ワーケーション」と呼べるほど時間やお金をかけて遠くまで行ったわけではないものの、自然を感じられる環境に身を置いて気分転換するだけで、不思議と妙に効率的に仕事を進められた「プチワーケーション」。近所のカフェで仕事をすることはたまにあり、あれはあれで気分転換になるのですが、さらにそれを上回る威力があった「海の近く×外」。

今回は偶然「朝9時の横浜に自分のうっかりミスで放り出される」ところから始まりましたが、もしかしたら山の近くや川の近くでもいけるかもしれないし、高層階のカフェなどでもいけるかもしれない(ちなみに去年の夏だかいつだったか、東京駅近くの丸の内仲通りに無料wi-fi&テーブルと椅子が整備されていたことがあり、あれも仕事が進むのでハマって結構通っていました)。

普段は見逃しているけれど、家から1時間くらいで行けるあの場所がもしかしたら「ワーケーション的スポット」になるかも。リモートワークが続いている方や、ちょっとしたプライベートの作業を進めたい…という方、改めて「普段そこまで行くわけじゃないけれど、そう遠くもない行動範囲内」を見直してみると、意外なベストスポットが発見できるかもしれませんよ♡

 

構成/後藤香織