働きやすくて面白い。就活の新たな選択肢「国の研究所」がスゴすぎた|NICTで働く先輩を突撃!

人生を変える大きなできごとのひとつである「就職活動」。知っているモノやサービスを提供している企業、働きやすさランキングで上位にくる企業。さまざまな基準でエントリーする企業を選ぶはず。「何かいい会社はないかな…」と探しているあなた、公務員と会社員のいいとこ取りをできる「国立研究開発法人」を知っていますか? 国に属する研究機関だから安定性も働きやすさも抜群なのに、自分がやりたい仕事があれば提案して実行できる…なんて、そんな夢のような話、あるんです。

そんな「国立研究開発法人」の中から、今回ピックアップするのは、東京都小金井市に本部がある「NICT(エヌアイシーティー)」こと「情報通信研究機構」

情報通信技術(ICT)にまつわるさまざまな先端研究を行う研究機関。難しそうに聞こえますが、その技術は驚くほど当たり前に日常に活かされています。身近なところでいえば、「日本標準時」を決定・維持して電波時計に電波を飛ばしていたり、すでに約620万DLを数える多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」を提供していたり、普及が進んでいる「5G」をさらに超える「Beyond 5G」(!)を研究していたり…などなど、非常に幅広い分野での研究が行われています。

そこで、現在就活真っ只中のCanCam編集アシスタント浜崎真衣が、実際に働いている3人の先輩たちに「NICTってどんなところ?」「どんな就活をしたの?」「正直理系じゃなくても大丈夫ですか…?」など、本音を根掘り葉掘り直撃♡

左から:桑原万苗さん、空 稚那さん、徳田 綾さん、浜崎真衣。

◆1人目の先輩:広報部 徳田 綾さん(25)4年目

最初にお話をうかがったのは、広報部の徳田 綾さん。「そもそも、NICTってどんなところで何をしてるの?」「働きやすさはどうですか?」など、実際に働いているからこそわかる本音を聞きました。

徳田 綾(とくだ あや)さん PROFILE
最初は人事で採用担当を経験し、現在は広報部で一般の方に向け、「メディア」の力を借りてNICTのさまざまな情報を発信する仕事を行う。
学生時代は数学を専攻。日本の理数力を上げつつ、世界をリードする科学力を持つ国にしたいという思いが強く、国の研究機関で変革型リーダーとなり、科学力アップに貢献し、科学への関心を世に広めたいとNICTに入構。

浜崎真衣(以下、浜崎)本日はよろしくお願いします。まず単刀直入な質問なんですが…「NICT」は、どんなところですか?

徳田 綾さん(以下、徳田)「国研(こっけん)」と呼ばれている「国立研究開発法人」のひとつで、日本で唯一の情報通信専門の、公的な研究機関です。他の国研でいえば、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」や「理化学研究所(理研)」が有名ですね。NICTには大きく分けて「電磁波」「ネットワーク」「サイバーセキュリティ」「ユニバーサルコミュニケーション」「未来ICT」の5つの研究所があり、日々さまざまな先端研究を行っています。Beyond 5GやAIなど、面白い研究がたくさんあるんですよ。働いている私自身も、正直まだまだ謎に満ちているところがあるほど(笑)、日々さまざまな研究が行われているんです。

浜崎 結構難しそうですが…文系の私がエントリーしても大丈夫ですか?

徳田 研究者の方々はもちろんそれぞれの研究に特化したスペシャリストですが、その研究を一緒に推進する私たち総合職はむしろ文系出身のほうが多いですよ! 広報や人事、財務や経営企画などの組織マネジメント、産学官の連携や知的財産の管理、技術の社会展開など、さまざまな仕事を経験することができます。男女比率も今は全体で見れば男性のほうが多いですが、ここ4年くらいで採用した方は女性が多いですね。

浜崎 ハードルが下がりました…! 最近女性が増えた理由はありますか?

徳田 NICTは公的機関ということもあり、安定して長く働き続けたい…という方の応募が多いんです。産休や育休が充実しているのはもちろん、お子さんが急に熱を出したときなど当日のお休みにも、対応することができる体制が整っています。年休を取りたいときは、業務に支障がない限りは「休んでいいよ」という穏やかな雰囲気です。

浜崎 ものすごく働きやすそうですね…! 就活生の立場だと福利厚生は気になりつつもなかなか聞けない部分なのですが、急に誰かが休んでも問題ないように仕事を進めているんですか?

徳田 部署によって多少異なるとは思いますが、私たちは普段から仕事の進捗を共有するなど、誰かが休んでもサポートしあえるような体制にしています。とはいえバリバリ働きたい方はもちろんしっかり働けるなど、それぞれのライフスタイルの希望に合わせて、多様な働き方ができるのが魅力です。たとえば2021年4月にはNICT初の女性研究所長が誕生しました。研究所長は、日々研究者たちの士気を上げて引っ張っていく研究職のリーダーなのですが、女性初の所長・盛合志帆さんとは、実は部活で出会ったんです(笑)。

浜崎 部活があるんですか?

徳田 運動部も文化部もいろいろ盛んに行われていますね。たとえばスポーツ系はサッカー、野球、卓球などがありますし、文化部は秋には文化展を行うのでそこでバンドをしたり、自作の模型を展示したりと活動しています。私はカラオケ部に入っていて、カラオケ大会で特に役職も知らずに盛合さんに出会って、すごく歌の上手い方だな〜と思っていたんですよ(笑)。

浜崎 かなりフラットな組織なんですね。

徳田 そうですね、上下関係の距離感が近く、横の交流に積極的な職場だと思います。私が就活中にNICTの採用説明会に来たときも、誤解を恐れずに言えば「きっちりしすぎていない感」がすごく気に入って(笑)。一般的な説明会って、人事のベテランの方が説明されて、みんなそれを静かに聞いている…というイメージじゃないですか? でもNICTの説明会は、説明する人事の方の雰囲気からも「あ、ここは本当にアットホームな職場なんだな…」と体感。その空気感が気に入って、私もこの先輩方と一緒に働きたい、と思いました。

浜崎 徳田さんはNICTに入ってからどんなお仕事をしているんですか?

徳田 今は広報ですが、最初は人事に配属になりました。当時新卒の採用活動をそこまで活発に行っていなかったんですが「科学にすごく興味があるわけではないけれど、ちょっと気になるくらいの人にもっとNICTを知ってほしい!」という思いで、webで情報発信をしたり、参加者が楽しめるインターンや説明会を企画したりと、自分からどんどん採用活動の強化を提案しました。その結果、「科学にはこれまで興味がなかったけれど、NICTを知っていくうちに第一志望になった」という学生さんも来るようになって嬉しかったですね。

浜崎 1年目からすぐにその提案をされたんですか…!?

徳田 職員人数が多すぎず少なすぎずちょうどいい人数なので、1〜2年目から裁量権を持って仕事ができますよ。最近ではNICTの紹介動画を新しく作ったほうがいい、ということを上司に提案し、鋭意制作中です。その他プレスリリースを出したり、メディアの方の取材対応や調整をしたり、日々やりがいをもって働いています。

浜崎 これまでの仕事の中で、特にやりがいを感じたものはありますか?

徳田 ここ最近ですと、総合パンフレットの制作です。NICTは5年ごとに中長期計画を立てて、そこに向かって研究をしていくのですが、そのタイミングで5年間使い続けるパンフレットを作るので、責任重大。研究者の方々に、それぞれ力を入れている研究内容をヒアリングして、一緒に制作していきました。NICTがどういう方向性に向かっていくのか改めて知ることができて、とても楽しかったですね。

徳田さんが担当した総合パンフレット。最先端の研究の情報がわかりやすくまとめられています。

◆2人目の先輩:電磁波研究所 空 稚那さん(23)2年目

次にお話をうかがったのは、現在2年目の空 稚那さん。3人の中で年齢的にも最も就活生に近い存在…ということで、就活時代のお話を中心に根掘り葉掘りインタビュー。
もともとは学芸員志望でしたが、途中で就職に切り替えて卒業を伸ばし、2021年卒として就職活動を行い、2020年6月に内定。人事担当と話し合った結果、2020年9月に卒業・10月に入構…と少しイレギュラーになりましたが「20卒も21卒も同期のような感じで楽しい!」と日々エンジョイしています。

空 稚那(そら わかな)さん PROFILE
電磁波研究所に所属。管理部門からの照会対応や庶務などを担当。
学生時代は文化財を守る学芸員に興味があり、土曜日も大学に通う生活。学芸員の勉強を続けるうちに「研究者を支える仕事に就きたい」と考え、現職。

浜崎 空さんがNICTに入ろうと思ったきっかけは何ですか?

空 稚那さん(以下、空) 学生時代に、文学部で歴史を専攻していて、「博物館や美術館などで文化財を守りながら、歴史を残していくお仕事が素敵だな…」と、最初は大学院に行って学芸員の勉強をしようと思っていたんです。でも、研究職になるための勉強や、研究者の先生たちとの会話を通して、「研究者の方を支える道もいいかもしれない」と感じるようになりました。自己分析もかなりしっかり行い「研究者のサポートをしたい」という軸で、国立研究開発法人、大学職員、教科書を作る会社など、30くらいエントリーをしました。その中で情報通信技術はコロナ禍・アフターコロナの社会で貢献できる分野だと思い、最終的にNICTを選びました。

浜崎 就活の最初の時期は他の業界も見ていましたか?

 そうですね、最初はもっと広く「自分はどこに興味があるんだろう?」と、夏のインターンも業界問わず足を運んでみました。NICTに入った後、他の方から話を聞いても、就活で大学職員や公務員を見ているうちに、独立行政法人を知って、そして国立研究開発法人であるNICTにたどりついた…というケースは結構多いです。

浜崎 入る前と入った後のギャップはありましたか?

 悪い意味でのギャップはまったくないです! 理系の公的な研究機関ということもあり、お堅い「THE 研究所」をイメージしていたのですが、座談会や説明会のイベントを通しても、本当にフランクな方が多いなと思っていて。私の就活は2020年春という初回の緊急事態宣言の頃だったのでほぼオンライン面接でしたが、最終面接だけは小金井の本部で対面で行われて。「あぁ、やっぱり素敵な雰囲気だな」と実感しました。

浜崎 研究所の面接はどんなことを聞かれるんですか?

 一般的なことはひと通り聞かれましたが、「NICTらしいな」と感じたのは「コロナ後を見据えて、ICTはどう活かせると思いますか」という質問ですね。ちょうど、コロナ禍でテレワークやオンライン授業など、情報端末を使う生活スタイルが根付き始めていた頃。たとえば旅行とか、今は対面だとできないと思われているものも、ICTを使えば可能になるのではないか、情報技術をもとにしたコミュニケーションツールを使って、新しい社会課題に貢献できるのではないか…と答えました。

浜崎 そこまで答えるためには結構しっかり事前準備が必要なのでは…と思いますが、正直なところ企業研究は難しくなかったですか?

 自分の生活にNICTの技術を落とし込み「そういえば、こういう場面にこんな技術が使われているな、役に立っているな」という経験から考えて、就活ノートにまとめていきました。学芸員の勉強をしていたときも、実は美術品などの文化財保護でも、今私が所属している部署である「電磁波」の技術が使われていたんです。絵画の調査などでも実際に手で触れてしまうと傷んでしまうことがあるので、電磁波を照射したり…。意外と研究と生活はリンクしているものなんですよ。

浜崎 少しノートを見せていただいてもいいですか? …すごい、こんなにたくさんいろいろ…!

 ちょっとお恥ずかしいですね(笑)。企業分析や自己分析、面接のまとめを一冊にまとめたノートです。NICTはどんな研究機関なのかを調べるだけだとうっかり忘れてしまうこともあるんですが、書き出すことによって覚えられるのでおすすめですよ。あとは面接で何を聞かれてどう答えたかも、面接のあとにすぐ携帯のメモに打っておいて、時間があるときにノートにまとめ直していました。同じようなことを他の機会で聞かれたらこう答えようと頭に入れられるので、就活のおともに欠かせないノートでした。

取材の場にいたスタッフ全員が驚いた就活ノート。空さんの就職活動が1冊に詰まっています。

◆3人目の先輩:ネットワーク研究所 桑原万苗さん(27)3年目

最後にお話を聞いたのは、入構当時は経営企画部で機構全体の方針を定める業務に関わり、今年の夏からネットワーク研究所に異動となった桑原さん。
日々研究の最先端にふれながら、それを社会に還元していくお仕事。難しそうでやりがいがありそうですが…実際の研究所のお仕事は、どのようなものなのでしょうか?

桑原万苗(くわはらまなえ)さん PROFILE
経営企画部に2年4か月在籍したのち、現在はネットワーク研究所で知的財産の管理や技術の社会展開に関わる業務を主に担当。
学生時代はアラビア語を専攻し、中東地域の政治・文化やアフリカの美術を研究。専門を深め社会に還元する仕事に興味があり「NICTは興味が尽きない環境だ」と入構を決意。

浜崎 桑原さんは最初は経営企画部、今は研究所で技術の社会展開にまつわるお仕事や知財管理のお仕事をされているとのことですが、どのようなことをしているのでしょうか?

桑原万苗さん(以下、桑原) たとえば…技術を隠す」こと。

浜崎 え、広めるのではなく隠すんですか?

桑原 あとで詳しくお話しますね。順を追って説明すると、最初は機構の年度計画や中長期計画の策定、研究開発業務の予算の管理・調整を担う「経営企画部」に所属していました。他の研究機関や、NICTを所管する総務省との情報共有や連携の調整をしたり、機構としての意思決定に係る部署なので、理事や幹部の方と接したりと緊張感溢れる日々。今年の夏に異動をして、ネットワーク研究所に所属しています。たとえば「5G」って耳にしますよね? 私たちの研究所では、その5Gを超えた「Beyond 5G」を実現するために必要な、無線・有線それぞれの通信技術の研究開発をしています。地上間の通信、宇宙での通信…本当にありとあらゆる「ネットワーク」にまつわる最先端の研究が行われていて、日々新鮮に感じています。

浜崎 異動前後で何か変化したことはありましたか?

桑原 経営企画部と研究所では、機構の中でも視点が違うので面白いですね。経営企画部は機構全体の動きを俯瞰して見ることが、研究所は研究者一人ひとりの方がどういう研究をしているかをより細かく具体的に見ることができます。研究所での仕事は8月からとまだ日が浅いのですが、やっている仕事もガラッと変わり、日々勉強です。

浜崎 研究所では、どのような仕事をされているのでしょうか?

桑原 基本はパソコンの前でデスクワーク中心です。研究所の皆さんが成果を生んで、学会で発表する・論文を出す…というときに、きちんと特許として出願して、権利化するかどうか検討することが大事になります。特許を出すと、その技術情報がオープンになります。そのため、企業等と適切な契約を結ぶ前に技術が模倣されてしまう恐れもゼロではないので、研究の成果を社会に効果的に使ってもらうために、「技術を広める」ことはもちろん、それと同時に「適切に守ること」も大事。それが最初にお話した、私たちがやっている知財管理の仕事のひとつ「技術を隠す」ことです。外国での権利化の必要性を考えたり、ときには技術の核となる部分を秘匿などして、攻めと守りのバランスを取りながら、研究所の優位性を高めたり、社会への実装を進めることを考えていきます。

浜崎 映画や小説のようなお話ですね…!

桑原 私もまだまだわからないことだらけです(笑)。あとは、NICTの技術に興味を持ってくださった企業さんから技術相談のお問い合わせをいただいたときの提案を研究者の方と一緒に考える仕事もあります。本当にたとえばですが、空港の滑走路に異物がないかを調べるために使っているレーダーを鉄道でも使えないか…などなど。NICTでは翻訳の機械から日本標準時まで、ありとあらゆる研究をしているので、日々が学び。一般的な視点を忘れずにバランスを取りながら業務の中で学びつつ、わからなければその都度調べ、対応しています。

浜崎 日々勉強、勉強で大変ではないですか?

桑原 もともと勉強をすることが好きなので、常に自分の知らないものがどんどん生まれていて、それを目の当たりにできるのがすごく楽しいし、すごいことだな…と思います。新しく始まる研究もあれば、10年近く同じ研究を続けている方もいる。最先端の研究が間近にありながら静かに仕事ができる環境で、仕事についてはストレスがありません。特に今はテレワークが推進されていて、出勤の頻度を調整できるのもありがたいですね。

浜崎 就活のときは最初からNICTを志望されていたのですか?

桑原 いえ(笑)。それこそ国立研究開発法人については、どんなところか正直あまり想像できていませんでした。「ずっと学び続けられる仕事」「情報を届ける仕事」がいいなと、出版社や大学職員などさまざまな仕事について調べているうちに「国研というものが面白いかもしれない」と気づいた流れです。私自身も学生時代に専攻していたのはアラビア語でしたし、入ってみたらあらゆるバックグラウンドを持つ人が集まっていて、何ができなきゃいけない…ということも特にありません。面接で入構前に学んでおいたほうがいいことを聞いたら「特にないですよ」と言われるくらい。ぜひ就活の選択肢のひとつとして、気軽に受けてみてほしいです。

 

3人の先輩に本音を聞いた浜崎に感想を聞くと「漠然と、理系の方しかダメなのかな? と思っていましたが、お話を聞いていると文系の私でも志望しやすそうですし、社風も優しくて働きやすそうですし、面白そう!」とのこと♡
最先端の技術にふれながら、穏やかに自分らしく働ける…。そんな環境をお探しの方は、ぜひNICTをチェックしてみてくださいね!

NICTを詳しく見る

NICT初の女性研究所長である盛合志帆さんのインタビューもあわせてチェック!

【前編】働く女性たちをエンパワー。仕事にまつわる10の大事なこと。 https://precious.jp/articles/-/28282
【後編】女性所長の働き方。セキュリティの専門家ってどう仕事してるの? https://precious.jp/articles/-/28284

 

協力/国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

写真/石山貴史 インタビュー/浜崎真衣 構成/後藤香織