睡眠の研究家直伝。寝苦しい熱帯夜でも快適に眠りやすくなるコツまとめ

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夏になる前にも30度越えを連発していた2019年。そして、まもなく本格的に夏に突入し、さらに暑くなる季節。

昼間の暑さ対策はもちろんですが、寝苦しい「夜」の対策も今のうちに知っておきたいもの。

今回は一般財団法人 日本気象協会が、西川株式会社と共同で“睡眠と熱中症の関係性”について調査した結果と、睡眠に良い温熱環境の専門家である水野一枝先生からのアドバイスを紹介します。

 

 

◆快適な睡眠へ~水野一枝先生のアドバイス~


睡眠に良い室内の温熱環境を追求している専門家である水野先生から、体の仕組みを交えた快適な睡眠を得る方法を教えていただきました。

「室内環境を整えること」と「体温の調整」が大きなポイントになります。

 

【1】「暑さ」は世代を問わず、顕著に睡眠の妨げに

日本は季節によって環境温度が大きく変わるのに、冷暖房を積極的に使わない傾向があるため、睡眠時には季節による温度変化の影響を強く受けることになります。特に、暑い夜は寝苦しい経験をしたことのある方が多いと思いますが、「暑さ」は子どもから高齢者まで世代を問わず、顕著に睡眠を妨げるということがわかっています。意外にも、寝つきまでの時間は暑いときも寒いときもそれほど差はないのですが、室温が高いままの場合、深い眠りに入りにくく、何度も目が覚めてしまい寝苦しさを感じてしまうのです。

 

【2】「寝苦しさ対策」は「体温調節」がカギ! 

実は、人は睡眠時に体の深い部分の温度(深部体温)を下げないと深い眠りに入れないことがわかっており、睡眠と深部体温のかかわりは非常に密接なものといえます。

深部体温を下げるためには体の表面から熱を逃がす必要がありますが、周りの気温が高いと熱を逃しにくく、深部体温が下がらないため、眠りにくくなります。

また、湿度にもご注意を。私たちの体は汗をかき、蒸発させることによって体から熱を逃がすのですが、湿度が高い場合は、汗が十分に蒸発できず、体の表面から熱が放出されないため、ますます睡眠の質が悪くなります。良質な睡眠のために室内温度や睡眠環境を整えるなど、暑さへの対策が必須になります。

 

【3】夏の睡眠時はエアコンの使用が必須! 

先ほども紹介した通り「寝るときにエアコンはちょっと抵抗が……」と思う方も多い傾向にありますが、夏の寝苦しさを解消するためには、やはり睡眠時のエアコンの使用が最も効果的。室温が29℃を超えると寝苦しくなりますので、エアコンを使用して快適な温度に調整するのが良いです。(もちろん冷やしすぎにはご注意ください)

エアコンは、出来れば一晩中使用することをおすすめしますが、どうしても抵抗のある方は、まず深部体温を下げる必要があるため睡眠時間の前半4時間程度は使用するようにしてみてください。

 

◆日中~寝る前にできる、眠りやすくするための工夫5箇条


【1】昼間に日光を浴びる

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日中に高照度の光を浴びておくと、夜、暗いところでメラトニンというホルモンが分泌され、その影響によって眠気を感じやすくなります。日中は無理のない範囲で日の当たるところに出ることで、夜の眠りやすさにつながります。通勤や通学、買い物、ランチなどで日を浴びるだけでも違ってくるはずです。

 

【2】夕食はなるべく早い時間にとる

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食事の直後は眠りにくいため、夕食が遅いと寝る時刻が遅くなります。量にもよりますが、夕食は早めの時刻に、できれば就寝の3~4時間前にはすませておくのが良いでしょう。また、コーヒーをはじめ、カフェインを含むものの摂取は、夕方以降できるだけ避けることをおすすめします。 

 

【3】寝る1~2時間前にぬるま湯につかる

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深い眠りに入りやすく、長くするためには寝る1時間程度前にぬるま湯での入浴で体温を上げておくことが効果的。熱いお風呂が好きな人は、もう少し前に入るのが良いでしょう。ただ、もちろん個人差があるので様々な温度や時間を試して、自身にあったタイミングに調整してみましょう。

 

【4】就寝時は着込まない

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就寝時に服を着込む人もいますが、汗が蒸発できない状態は寝苦しさの原因となり、良質な睡眠を妨げてしまいます。就寝時着用する衣類は下着を含めても3枚程度がおすすめ。もし寝ている間に汗をかいて寝苦しくなったときは、一度着替えてからエアコンを使用するのが良いでしょう。

 

【5】布団の中では「眠る」以外のことはNG

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寝る直前までスマートフォンを見ていると、睡眠が妨げられることは知られていますよね。また、布団に入ってから悩んだり考えこんだりすると、寝つきが悪くなってしまいます。布団の中では、「眠る」ことが最優先! もし一度布団に入っても寝付けそうな気配がないときは、そのまま無理に眠ろうとせず、一度布団から出て、自然に眠気がくるのを待ってみるのが良いでしょう。

 

“睡眠”はとても大切なこと。これから夏に向けて快適な睡眠を得るための習慣を今からつけておくのも良いのではないでしょうか? 「眠りにつきにくい」という人はもちろん、熱中症対策のひとつとして是非参考にしてみてください! (中川瑞月)

 

〈教えてくれたのは……〉
東北福祉大学 感性福祉研究所 特任研究員
水野一枝先生
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東邦大学医学部生理学第一講座、獨協医科大学第一生理学教室、産業技術総合研究所NEDOフェローを経て現在に至る。寝室の暑さや寒さ、寝具や寝衣と睡眠に関する研究に28 年従事。日本生理人類学、日本睡眠学会評議委員。NHK『サラメシ』、 NHK BS『美と若さの新常識 カラダのヒミツ』、 NHK『あさいち』などメディア出演、著書多数。

 

情報提供元/一般財団法人 日本気象協会

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