村上虹郎、主演映画「ニドナツ」公開!「変人・変態が多い映画(笑)」【インタビュー】

9月1日公開の映画、『二度めの夏、二度と会えない君』。

青春、バンド、そしてラブストーリー……と、要素だけ聞けば「王道」と思われるかもしれない映画ですが、この映画は一筋縄ではいきません。

憧れのバンドの出身高で文化祭ライブをする、という夢を叶えるべく、転校してきたヒロイン、燐(りん)。文化祭ライブは無事成功を収め、夏の終わりに主人公の智(さとし)は自分の想いを燐に伝えるものの、取り返しのつかない事態になってしまう。

後悔の念に駆られる智は、ひょんなことから半年前、夏のはじまりにタイムリープ。「一度めの夏」で後悔した智は、「二度めの夏」では絶対に燐に告白をしない、もう好きにならない……と心に決め、夏をやり直していく。
けれど、「二度めの夏」は、「一度め」とは何かが違っていた……。

 

ちょっと変わったキャラクターたちが紡ぐそんな物語を、個性豊かな俳優陣が演じます。

 

今回主人公の篠原智を演じたのは、さまざまな映画に出演し、独特な存在感を持つ個性派俳優・村上虹郎さん。ヒロイン・森山燐を演じるのは、ガールズバンド「たんこぶちん」でボーカル&ギターを務める吉田円佳さん。そしてバンドメンバーは、ドラムの花京院姫子をnon・no専属モデル金城茉奈さんが、ベースの石田六郎を山田裕貴さんが、そして智の幼なじみで生徒会長の菅野瑛子をAKB48の加藤玲奈さんが演じる……と、あらゆるジャンルからキャストが集い、奇跡的な化学反応が生まれた今作。

今回、CanCam.jpは、主演の村上虹郎さんにスペシャルインタビュー!

映画の見どころや裏話はもちろん、村上さんの素顔にも迫ります。スペシャルインタビュー、じっくりとご覧ください。

CanCam.jp編集部(以下、編) まず、最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。

村上虹郎さん(以下、村上) そうですね……この映画は「青春、音楽、ラブストーリー」ですよね。でも、いわゆるキラキラの青春ラブストーリーとこの映画は何かが違う。そのとき、何が違うんだろう、と考えると、出てくるキャラクターが誰ひとりチャラチャラしていないんですよ(笑)。

 

 思い出してみると、高校時代のバンドって、いわゆるスクールカースト上位というか、キラキラ系の人がやっているイメージですよね。

村上 そう、軽音楽部ってカッコよくてキラキラで、みんなの憧れの的、というイメージがありますよね。それでいいと思うんです。でも、この映画に出てくるキャラクターたちは、みんな素朴。むしろキラキラどころか、学校で「少し浮いている」人たちですよね。

 

 確かに、智はまだ「普通」として、燐も、姫子も、六郎も、「変わり者」として扱われているような感じもありますよね。

村上 「会長」(※AKB48加藤玲奈さん演じる菅野瑛子)のセリフに、「ダメな人間は、ダメな人間同士でつるむんだ」というものがあって、それが結構頭に残っているのですが、それは、ある意味では一理ある。ただ、自分が共感や理解ができないタイプの人のことを「ダメな人間」ととらえるのは悲しいな、と思うんです。でも、今回は、金城さんが演じた花京院姫子も、山ちゃん(※山田裕貴さん)が演じた石田六郎も、本当に変人・変態がそろいにそろっている(笑)。ヒロインの燐も、実際に学校にいたら、いい意味でうるさいし、すごく目立つだろうな。逆に、智みたいな人って、結構いると思うんです。

 

 今回村上さんが演じた「篠原智」は、どんな人間だと思いますか?

村上 他のメンバーに比べると、まだそこまで我が強くなくて、好き嫌いもはっきりしてないんじゃないか、とは思います。智が通う北高出身の伝説のバンド「Animato Animato」が好き、音楽が好き、ギターが好き、そして燐が好き。で、他は? と聞かれたら、そんなにないような気がする。たとえば、ごはんを食べているときに「嫌いな野菜を残す」とか、あんまりなさそう(笑)。「なんとなく苦手だけど、食べろと言われたら食べるよ」くらいのキャラクターで、「これは絶対食べられません」と言えない、優しい人だと思います。

 ちなみに村上さん自身は好き嫌いって、言えるタイプですか?

村上 言いますね。でも……うーん、どっちだろう(笑)。自分がわがままだなと思うときはありますが、わがままを言えるような、自分を許してくれる相手も必要だなとも思います。ただ僕の場合、子どもの頃から周りに大人が多かったので、ずっとわがままを言える環境だったんです。そういうところで育って、いざ学校に行って集団行動を始めたらすごく居心地が悪かった。どうしてだろう、と考えたら、たぶん、大人に甘やかされていたから、対等な距離感でのコミュニケーション能力がなかったんだと思います。今は平気ですが、以前は同世代の友達ができにくい傾向にはありました。

 

 となると、今回の映画は村上さんと同世代の方がほとんどですが、どうでした?

村上 この作品に関してはみんなジャンルが違うんです。モデル、AKB、ガールズバンド、D-BOYSと、みんなそれぞれの肩書きを持っていますが、そういえば僕にはない……(笑)。ここまでさまざまなジャンルの人が集まって、ということは、なかなかないと思うんです。それは、今回の作品の物語とも共通する。メインキャラクター5人は、普通に考えて、もし同じクラスだったとしても、あんまり仲良くしてなさそうだし、それどころか話さないだろうな、という関係性。でも、なぜかバンドを組む。奇跡ですよね。

編 共演者の方の第一印象や、接するうちに実はこんな人だったんだ、ということはありますか?

村上 じゃあまず……山ちゃん。山ちゃんはもともと出演作品を見ていたので、面白い人だという第一印象でした。で、ただ面白いだけではなく、スベる。僕はスベっている山ちゃんが大好きですが、彼自身は、スベることに対してまったく恐怖心を抱いていない(笑)。引かないです。

 

 ヒロインの燐を演じた吉田円佳さんについてはどうですか?

村上 正直僕はガールズバンドにそんなに詳しくなかったので、円佳さんはすごく新鮮でした。円佳さんはお芝居が初挑戦で、僕に会う前に台本を読んだりお芝居の練習をしていたとは思うのですが、初めて円佳さんに会ったとき、役の「燐」と、それを演じる「円佳さん」が、あまり違わないな、という印象を受けました。もちろんお芝居をするから、100%そのままというわけではないですが。だから僕は最初に会ったときから撮影中まで、ずっと円佳さんのことを「燐」と呼んでいて、今公開前のタイミングで、初めて円佳さんと呼ぶようになりました。

 

 

編 バンド初挑戦ということでしたが、どうでしたか?
村上 めちゃくちゃ楽しかったです! 合宿のシーンとかね……皆さんやりたくないですか(笑)? しかも映画で楽器を弾いているシーンは、全部生演奏です。他の人が弾いた音に差し替えるということも、一切してないんです。

 すごい……!

村上 演奏のシーンはただただ楽しくて、音楽は偉大だなと思いました。音楽は、全部持っていってしまう。基本的に、智は「一度めの夏」で、自分が言ってしまったことをずっと後悔しているから、ちょっと暗くなってしまうことも多くて、ずっとつらいんです。でも、バンドのシーンはとにかく楽しい。

 

 演奏シーンは作品中に数多くありましたが、特にここが好き、というシーンは?

村上 最初のほうに出てくる、ライブハウスでサングラスをかけて演奏するところですかね。「二度めの夏」を一度めに近づけるべく、「ここでコケよう!」という……そんな発想をして、できるだけ同じ世界を歩もうとピュアになれるってすごい労力で、恋の力だな、と思います。

 

 今回の作品を見ていると、村上さんの表情のアップが非常に多く、それが印象的でしたが、いかがですか?

村上 アップ、多いですね。2時間の作品であんなにアップがあって、……劇場で見るに耐えられるかな(笑)。撮影しているときも、だいぶ慣れてはきましたが、カメラは怖いな、と思いました。デビュー作のときに、監督に何度も「カメラから逃げるな」と言われたんです。今よりもずっと自意識が高かったので、たとえば寄りで撮っているときも、走るシーンでも、あえてカメラを全然見ない(笑)。引くとカメラのほうを見るから、寄りだと恥ずかしさが勝って見れなかったんでしょうね……。

 「カメラから逃げるな」って、面白いですね。

村上 カメラの前でも自然体でいることがいちばんいいですし、そうでありたいし、僕自身は自然体だと思うのですが……やはり、カメラが回るとなんらかの自意識が出てきてしまう。

 

 それでも芝居の道、映像の道を選び、歩き続けるのは面白いですね。他にもし、「ここは難しかった」というシーンがあれば教えてください。

村上 この作品の中で僕のナレーションが多いのですが、ナレーションやモノローグがある、ということは、ひとりだけ2回めを生きている自覚がある、という境界線が智と他の出演者の間にある。この作品は基本的に大半が「2度めの夏」のできごとで、ほとんど全シーン、智は「2回め」だと自覚している。でも、よく考えると人間って、そこまで常にすべてを意識して生きているわけではない。「そんなことしていたっけ、そんなこと言っていたっけ」ということは、よくある。だから、脚本で決められているものとはまた別のところで、どこが「これは1回めのときもあった出来事だ」という自覚があって、どこが特に覚えていないのか。そのバランスは難しかったかもしれません。それに加えて、演奏しているときは「2回めだ」ということを意識せずに、ただ演奏してただ楽しんでいればよくて、ともすれば「1回めの回想」にも思えるかもしれない、というあいまいさを持たせてみたり……。

 その観点を持って映画を観るとまた映画の感想も変わってきそうですね。

村上 あと、難しいこととは別かもしれませんが、カット数が多くて何回もテイクを重ねたのは、六郎の「龍」のシーンです。あの「もう、いい。」のセリフのところ……泣けるんですよね。撮りながらも結構ぐっときて、これはいいシーンだな、と自覚しながらやっていました。しかもそのシーンは僕のセリフはほとんどなくて、どちらかというと傍観者。あそこの山ちゃんはよかったですね……「もう、いい。」

 

 ……六郎さんというか、山田さんの真似するの、うまいですね(笑)。

村上 山ちゃん好きなので(笑)。

 今だから話せる撮影秘話や共演者の方との裏話、ありますか?

村上 さっき映画の中のキャラクターは「変人・変態ぞろい」と言いましたが、実際の金城さんはごはんのときにお肉しか食べないそうで、ちょっと変人かもしれないなと思います(笑)。逆に、山ちゃんは自分で「変人になりたい人」と言っています。「ずっと変人になりたかったんですよ、ずっとシルバーヘアにしたかったんですよ、ずっとベースやりたかったんですよ!」って……全部かよ、ほんとかよ! と思います(笑)。

 

 村上さんは自分をどのタイプだと思いますか?

村上 僕の場合、両親が両親なので、一時期めちゃくちゃ「普通になりたい!」と思ったときはありました。たとえば、服ひとつとっても、両親が選んで家にある服は……なんていうか、民族っぽかったり、カラフルだったり、母親は自然系のものを着ていたり、彼らなりに選んだセンスのいいものだったんです。UNDERCOVERの服も結構あって、それを着ていたりしたのですが……でも、それに反抗してなのか、いきなりおばあちゃんとユニクロに行って、ユニクロのパーカーやフリースにジャージばっかり着ていた時期がありました。それが当時の自分なりに思った「普通」だったんだと思います。今はおしゃれなほうがいいなと思いますが、今は今で、ユニクロに行って「UT」でかわいいものを見つけて着たり、バランスが取れるようになってきたと思います。

 

 それでは最後に、「ちょっと気になるけど、映画館に行くか迷ってるんだよな……」という方におすすめポイントを教えてください!

村上 いや、もうこれは劇場で観て欲しいんです! バンドを中心にした物語で、音にもこだわって作っています。やっぱりこの迫力をいちばん感じられるのは劇場で、「見るかどうか迷っているうちに終わっちゃった」なんて、もったいないです。あとは、僕は今20歳で、撮影当時は19歳だったのですが、この映画で着た制服が10代最後の制服。きっとこれからも着る機会はあるかもしれませんが、今のところ最後の制服で、「制服を着てギターを弾く」ということにも、自分の中で価値があるな、と思います。
普段出会わないような、絶対仲良くしなさそうなタイプの人間が、それぞれ楽器ができる、という共通点があり、バンドと音楽によって繋がれていく。燐がバンドを組みたいけど、「ドラムがいないから」「ベースがいないから」と単純な理由で人を探して、どんどん繋がっていく。シンプルな動機で奇跡が生まれるんです。何かを始めたり、頑張る動機なんて、なんでもいいだろうって僕は思うんです。恋愛でもお菓子でも、頑張れる理由があるなら、それでいいじゃんって。
……そんな僕が出ています(笑)。

盛りだくさんに語っていただきました。
「いわゆる王道、ではないかもしれない、青春ラブストーリー映画」、『二度めの夏、二度と会えない君』。キュンとしたり、心揺さぶられたり、音楽に身をゆだねたり……夏の終わりを彩ってくれること間違いなし。
是非、劇場でご覧になってみてくださいね。

 

『二度めの夏、二度と会えない君』

公式サイト http://nido-natsu.com/
公式ツイッター @nidonatsu #ニドナツ2017年9月1日(金)全国公開愛する燐の病床で、初めて告げた「好き」という言葉。彼女を失い、それが決して伝えてはならない想いだったと気づいた主人公・智に起こった奇跡……。二人で過ごしたあの夏を、もう一度やり直す。最後のひと言を無かったことにするために――。出演:村上虹郎 吉田円佳 加藤玲奈 金城茉奈 山田裕貴/本上まなみ/菊池亜希子
原作:赤城大空『二度めの夏、二度と会えない君』(小学館「ガガガ文庫」刊/ガガガ文庫10周年企画)
脚本:長谷川康夫 監督:中西健二
配給:キノフィルムズ
©2017赤城大空・小学館/ 「二度めの夏、二度と会えない君」パートナーズ

 

 

撮影/諸田梢
取材・文/後藤香織

 

【あわせて読みたい】

※10の質問で「あなたが今観るべき映画」がわかる!【心理テスト】

※「なんか面白いことないかなぁ」そう思ったときのヒントになる、7つのこと

※「もうイヤだ…」人生や仕事に疲れたとき、元気をくれる12の気分転換法

※絶対知ってる単語なのに、意外と読めない。「忽ち」の読み方、知ってますか?

※うわ、マジか!「MD」を知ってる10代は…約33%しかいないという事実